『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。
今回のテーマは「馬体重の考え方」です。ぜひお楽しみください!
今回のテーマは「馬体重の考え方」です。ちょうど今週は桜花賞。馬体重と牝馬三冠の関係に注目します。
芝やダートの状態によって、馬体重の重い馬が強いレースもあれば、軽い馬が強いレースもある。これは理解できるかと思います。
重賞によって、馬体重の重い馬が強いレースもあれば、軽い馬が強いレースもある。このことも知っておく必要があります。
代表的な例として、桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬三冠をピックアップ。各レースの馬体重成績をまとめた表と、結論を記していきます。集計期間は2013年から22年の10年間。
▼桜花賞の馬体重成績(2013~22年)
桜花賞に強いのは、馬体重460キロから499キロ。勝ち馬10頭はすべてこのゾーンに入っていました。中型以上の馬が強いG1です。
2着や3着はもっと軽いゾーンにもいて、もう10年さかのぼると440キロから459キロの勝ち馬も5頭いますから「軽い馬を消せ」とまでは言いませんが、「1着馬は460キロ以上」は知っておくべき傾向でしょう。
最近の桜花賞を人気で凡走した馬体重の軽い馬は、
・22年ナミュール1番人気10着(426キロ)
・21年アカイトリノムスメ4番人気4着(444キロ)
昨年の1番人気ナミュールは馬体重だけ見たら、危ない人気馬だったのかも知れません。桜花賞で馬券圏外に敗れたナミュールはオークスで3着。アカイトリノムスメはオークスで2着と巻き返しました。
▼オークスの馬体重成績(2013~22年)
オークスに強いのは、460キロから479キロ。勝ち馬6頭がこのゾーンに入っていました。桜花賞と大きく違うのは、459キロ以下の馬も4勝していること。16年優勝のシンハライトは422キロでした。
「オークスは馬体重の軽い馬を狙え!」は、昭和の時代から有名な馬券術です。筋肉量が多いほど、走るための体内のエネルギーを消費するため、長距離戦だとスタミナ切れを起こしやすく、筋肉量が少ない馬はスタミナ切れを起こしにくい。これが大雑把なメカニズムです。人間もマラソン選手はやせ型が多く、短距離選手は筋肉質な体型が多い。
しかしその後、阪神競馬場の改修などもあり、桜花賞とオークスがつながりやすくなった結果、馬体重成績の違いも小さくなった。もっと昔のオークスは380キロ台の馬が勝ったりしましたが、近年はそこまで小さな馬だと厳しい。それでも桜花賞に比べれば、軽めの馬が活躍する傾向は残っています。
逆に480キロ以上の馬は過去10年で【0-1-2-23】。過去20年までさかのぼっても、勝ち馬は06年のカワカミプリンセス(484キロ)しかいません。
最近のオークスを人気で凡走した馬体重の重い馬は、
・22年サークルオブライフ1番人気12着(484キロ)
・21年ファインルージュ4番人気11着(494キロ)
やはり、昨年の1番人気が該当していました。サークルオブライフは馬体重だけ見たら、危ない人気馬だったのかも知れません。ファインルージュは桜花賞で3着に来て穴をあけた馬でした。
▼秋華賞の馬体重成績(2013~22年)
秋華賞は、480キロ以上の馬が5勝。さすがにひと夏を越えると、馬体重の重い馬の出走数も増え、このゾーンの活躍が目立ちます。
ただし、馬体重の軽いゾーンからも勝ち馬が出て、複勝率は優秀です。秋華賞はあまり馬体重を気にする必要がなさそうです。
あらためて桜花賞とオークスに絞り、表をシンプルにしてふたつのG1を比べたのが下の表です。