先週は阪神で3歳牝馬クラシックの第一弾・桜花賞が行われました。結果は昨年の2歳女王・リバティアイランドが単オッズ1.6倍の圧倒的支持に応えてV。着差こそ2着コナコーストとわずか3/4馬身差でしたが、その勝ちっぷりはまさに圧倒的でした。
スタートで後手を踏み、道中は後方4番手のインで待機。4角で大外に持ち出した際には、ほとんど最後方というポジションでしたが…いざ追い出しにかかると直線一気の差し切り勝ち。上がり3F32秒9の切れ味はレース上がりを1秒6も上回る破壊力でした。
さらに特筆すべきは、必ずしも今回が目一杯の仕上げではなかったこと。レース後に川田騎手が『調教時計を見ればわかると思いますが、オークスを見すえながらの調整でした』と振り返ったように、2週前に栗東坂路4F52.4秒をマークして以降は、1週前に栗東ウッド5F68.9秒、当該週に同5F69.1秒とソフトな仕上げ。約4か月ぶりの実戦を考えると物足りず、私もその点に隙があると考えて対抗評価に落としたのですが、結果的には次走以降に伸びシロを残す最良の結末となりました。状態面、折り合い面などオークスへ向けて視界は良好です。
2着コナコーストは逃げるモズメイメイに2番手からプレッシャーをかける先行策。前後4F45.9-46.2秒とよどみのない流れを作り、ゴール直前まで先頭に立っていたのだから立派でした。しかし母コナブリュワーズ、祖母アンブロワーズと母系は短距離系。次走は不明ながら、距離はマイル前後がベストかもしれません。
3着には先週の当欄で取り上げたペリファーニアが食い込み関東馬の意地を見せました。こちらはエフフォーリアの半妹ながら父はモーリスで、喉鳴りの症状を抱えている現状。やはり2400mへの距離延長が歓迎とは映らず、こういった背景からも、現時点ではリバティアイランドの二冠制覇確率はかなり高いように映ります。
さて、桜花賞のあとは皐月賞。リバティアイランドの1強ムードで推移してきた牝馬路線と異なり、3歳牡馬路線はいつまでたっても混戦模様で、そのままクラシックの第一冠をむかえることとなりました。
登録メンバーを見渡しても、重賞勝ち馬は6頭だけで、重賞2勝以上挙げている馬はゼロ。例年であれば“核”となる東スポ杯2歳Sの勝ち馬ガストリックが戦線を離脱し、ホープフルSの勝ち馬ドゥラエレーデはドバイのUAEダービー(2着)から日本ダービーへの参戦を表明するなど、混沌としています。
そんな皐月賞は、近年は関東馬の活躍も目立っており、過去10年では関西馬4勝に対して関東馬は6勝と優勢。近2戦も関東馬がワンツーフィニッシュを決めており、今年も目が離せません。
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藤井真俊
東京スポーツ新聞社・レース部記者。昭和55年4月8日生まれ、埼玉県出身。美浦トレセンで毎週取材を続け、蛯名正義調教師や三浦皇成騎手のコラムを担当するほか、週末には予想コラム「ザ・飲ンフィクション」を連載中。「BSイレブン競馬中継」「ラジオ日本 土曜競馬実況中継」解説者。そのほか雑誌「Number」やキャロットクラブ会報、netkeibaなど各種媒体で執筆中。