世代の頂点を決める日本ダービーは皐月賞2着馬・タスティエーラの優勝で幕を閉じました。スタート直後やレース直後のアクシデント。スローの影響もあり平凡に終わった決着タイムなど、“新スター誕生”といったムードは感じられませんでしたが、管理する堀宣行厩舎の技術力には脱帽させられました。
2月のG3共同通信杯では4着に敗退。その時点ではトップレベルとは少し実力差があるように映りましたが、そこから調整法を工夫し、この中間は従来のノーザンFしがらきでの調整ではなく、ノーザンF天栄へと放牧先を変更。それもわざわざ、しがらきのスタッフが天栄に出向して携わる周到ぶりでした。
最終追い切りも厩舎のスタンダード(木曜にBコース経由でウッド追い)とはやや異なる、水曜に坂路経由でウッド追いという変則仕上げ。1週前の追い切り後の気配や、当日の馬場状態を加味しての行動だったそうですが、その正しさを見事に“結果”で証明してみせました。
レース前の会見でトレーナーは『それぞれの厩舎、私どもの厩舎にも基準はあります。しかし基準を行うことが必ずしもいいことではなく、基準を行ったことで分かったことを次にフィードバックしていくことが大事だと思っています』と話していましたが、今はその言葉の重みを噛みしめています。
ダービーの余韻も冷めやらない中、今週から2歳の新馬戦がスタートします。とりわけ評判馬が集まったのが日曜東京芝1600mの牝馬限定戦です。
まずは手塚厩舎のボンドガール(父ダイワメジャー、母コーステッド)。
▲手塚厩舎のボンドガール
昨年のセレクトセール(1歳)で2億3100万円で取引された馬で、昨年のダービー(4着)や天皇賞・秋(3着)で好走したダノンベルーガの半妹です。手塚調教師は『もう少しパワーがつけば理想的だけど、追い切りでは年長馬を相手に楽に動けているので』と手応えをつかんでいます。
対するは木村厩舎のチェルヴィニア(父ハービンジャー、母チェッキーノ)。
▲木村厩舎のチェルヴィニア
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藤井真俊
東京スポーツ新聞社・レース部記者。昭和55年4月8日生まれ、埼玉県出身。美浦トレセンで毎週取材を続け、蛯名正義調教師や三浦皇成騎手のコラムを担当するほか、週末には予想コラム「ザ・飲ンフィクション」を連載中。「BSイレブン競馬中継」「ラジオ日本 土曜競馬実況中継」解説者。そのほか雑誌「Number」やキャロットクラブ会報、netkeibaなど各種媒体で執筆中。