先週は土曜東京でG3サウジアラビアRCが行われました。今年で第9回という歴史の浅い重賞ながら、すでに4頭ものG1馬を送り出している出世レースだけに大きな注目を集めました。
結果は3番人気のゴンバデカーブースが優勝。2着に1番人気ボンドガール、3着に2番人気シュトラウスが入り、上位人気勢がワンツースリーという平穏決着となりましたが…レース展開は必ずしも平穏ではありませんでした。
まずスタートではシュトラウスとボンドガールが後手に回って後方から。おまけに道中は両馬ともに前に行きたがり折り合いに苦労するシーンが続きました。一方のゴンバデカーブースは互角のスタートを切ったものの、いつの間にか最後方のポジショニングに。3~4コーナーでは波乱の匂いも漂いましたが…そこからが素質馬たちの地力の見せどころでした。
最後の直線に向かうと、まずはシュトラウスが先頭に並びかけます。そして、それをめがけて伸びたのがボンドガール。どちらが抜け出すのか…と思わせたところで、さらに後方から一気に突き抜けたのがゴンバデカーブースでした。道中の位置取りは最も後ろになりましたが、それはライバルたちよりも早く折り合えたから。そこでエネルギーのロスを抑えられたことが、最後の爆発力につながりました。
逃げ切りだった初戦とは打って変わる追い込みで結果を出せたことは、非凡なセンスの表れ。騎乗した松山騎手も『予定していた形ではなかったですが、変にバタバタせずにリズムを大事に乗りました。それにしてもあれだけすごい脚を使ってくれるとは…。すごかったです』と目を丸くしていました。新種牡馬ブリックスアンドモルタル産駒の牡馬が、来年のクラシックへ向けて、まずは一歩抜け出しました。
さて、素質馬が集う秋の東京開催も始まったばかり。今回は今週デビュー予定の新馬から、土曜東京5R(芝1800m)を予定しているボーモンド(牡、国枝)をご紹介します。
▲14日(土)東京5Rでデビュー予定のボーモンド
素質馬が揃う秋の東京開催は始まったばかり。今週は名門厩舎が送る良血馬に注目/東スポ・藤井記者の“若駒”生情報!
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藤井真俊
東京スポーツ新聞社・レース部記者。昭和55年4月8日生まれ、埼玉県出身。美浦トレセンで毎週取材を続け、蛯名正義調教師や三浦皇成騎手のコラムを担当するほか、週末には予想コラム「ザ・飲ンフィクション」を連載中。「BSイレブン競馬中継」「ラジオ日本 土曜競馬実況中継」解説者。そのほか雑誌「Number」やキャロットクラブ会報、netkeibaなど各種媒体で執筆中。