Mの法則でお馴染みの今井雅宏氏と当サロン主催・亀谷敬正との師弟トークコラム『今井雅宏×亀谷敬正 ~トレンド種牡馬トーク~』。馬券的に美味しい種牡馬の解説、馬券的な活用方法などをデータを交えながら説明いたします。
第69回目の今回は実戦的な馬券の捉え方を議論します。師弟によるディープな競馬トークをお楽しみください!
亀谷敬正(以下、亀): 前回(※)は木更津特別を例にとって、馬券の捉え方を議論しましたが、今回はその話を深めていこうと思います。
(※)【第68回】カレンブラックヒル#1 消しても買っても美味しい種牡馬!/今井雅宏×亀谷敬正 ~トレンド種牡馬トーク~
カレンブラックヒルは短縮好きなので、短縮好走後のミスヨコハマは危なかったという話でしたよね。しかも、前走は逃げて好走ですから。カレンブラックヒルは芝で前走3角1番手の馬だと、単勝回収率24%しかないですよ。しかも前走逃げて4着以内好走馬に限定すれば、27戦して0勝2着1回ですから、好走後だとより危なくなっています。
今井雅宏(以下、今): 前走と比べて、道中の追走を馬が辛く感じるか、楽に感じるかの問題が大きいよね。あとミスヨコハマは、前残り競馬をそもそも前に行けずに凡走したように、ショック好きの種牡馬はショックで好走した後は余計に危ない。心身の反動が出ると肝心の行き脚自体がつかなくなっちゃうわけだから。
それでああいう危ない人気馬が多いレースでは、亀谷君はフォーメーション馬券を推奨しているという話だったよね。
亀: ええ。人気サイドの小点数を当てて回収率100%前後よりも、ボクはああいう危ない馬が多いレースで100点買って高い回収率を安定して出すほうが情報としての価値が高いと思っているんです。
今: 僕は1、2点目そのものにはかなり価値を置いている人間だけどね
亀: ボクも究極は、人気薄を小点数で仕留めることだとは思ってますよ。凱旋門賞もそうでした。
今: そうなんだよね。職人的にレースを読む予想の場合はレース質が読めるか読めないかだから、当たるときは3点目以内になりやすい。実際、先週の土曜も3連単224倍を本線1点目(中山8R)とか、3点目以内で2レース、万馬券を当てたんだよ。
ただ、展開やペースなんかは、騎手当人でさえもやってみないと分からないから、どういう展開になろうが儲かっちゃう「単勝爆弾」や、亀谷君の「フォーメーション馬券」のほうが運を排除出来るし、普遍性があって良い部分はあるよね。
亀: そうなんですよ。小点数で人気薄を絞って取れるレースは、たくさんあるわけでもないし、ハマり待ちはあります。
一方、人気馬が飛びさえすれば期待値が確実に取れるレースは、運任せにならないんですよね。データから単勝期待値の高い馬をフォーメーションの1列目に持って来て、危ない人気馬を切って点数を多く買う。これだと、別に何が勝とうがどうでもよいわけです。人気馬が消えた時点でほぼ勝ちは確定ですから。しかも、プラス確定のたくさんの目をさらに絞り込んで回収期待値を上げることができます。
今: 釣りで例えるなら、穴を小点数で絞り込んで取るのは一本釣りになる。1頭の魚を追っているわけだ。
一方で、多点買いは、確たる本命のいない馬券だから味気ないように一見思えるけど、レースを流れの中の生き物全体として、俯瞰的に捉えているということになるね。定置網を仕掛けるような買い方になるわけだけれども、それも自然の摂理を利用したものだから。
亀: つまり、釣りで言うならば、一本釣りも定置網も魚と向き合わなければ勝てないことは同じなんですよね。
今: そうだよね。一本釣りと定置網の違いは、個人の作為が介在するか? しないか? だからね。
亀: どちらも違うようでいて、真理はつながってもいますよね。多点買いの期待値が高いレースを推奨するのがいいところは、プラス確定の目がたくさん売っていて、あとは個人の作為で一本釣りを楽しむ余地があるところですね。
我々が追及している理論は、定置網でも儲けられるフィールドの中で、一本釣りも楽しめることです。
しかし今井さんから釣りの例えが出るとは思いませんでした。実はボクもこの前、サロンメンバーに釣りで例えて話をしたんですが、そこには釣りを生業にしている方がいて『それは釣りの真理をついています』って言われたんですよ(笑)。
今: ハハハ。定置網のなかで一本釣りをするのがいいわけだよね。つまり1、2点目を厚めに買いつつ、単勝爆弾なりフォーメーションを利用するのが僕は一番好みだね。