アメリカ競馬の祭典ブリーダーズカップが、今年はカリフォルニア州のサンタアニタパーク競馬場を舞台に、現地時間の11月3日と4日の2日間、あわせて14のGIレースが組まれて行われます。
日本調教馬は、6競走に7頭が参戦した一昨年を上回る6競走に8頭が参戦。そのうち日本時間の日曜早朝に行われる4レースについては海外馬券発売が行われます。そこで、日本調教馬が出走するレースのうち、海外馬券発売が行われる4つのレースを中心にみどころをまとめました(発走時刻はすべて日本時間。情報は11/1現在)。
日曜日の午前4:10発走、2日目の第4レースは、牝馬限定の芝2000m戦「BCフィリー&メアターフ」です。デルマーで行われた一昨年のレースでラヴズオンリーユーが日本調教馬初のBC優勝を果たしたレースに、今年は手塚貴久厩舎の6歳牝馬ウインマリリンがC・デムーロ騎手とのコンビで出走。海外馬券発売も行われます。
有力視されているのは、愛国A・オブライエン厩舎の3歳牝馬ウォームハート(R・ムーア)と、英国J&T・ゴスデン厩舎の4歳牝馬インスパイラル(F・デットーリ)という名伯楽&名騎手タッグの2頭。ウォームハートはヨークシャーオークス、ヴェルメイユ賞と英仏の芝2400mGIを連勝中。一方のインスパイラルはジャックルマロワ賞とサンチャリオットSという仏英の芝1600mGIを連勝中で、距離短縮と距離延長というそれぞれの臨戦過程も鍵になりそうです。
第6レースの「BCマイル(芝1600m)」は午前5:30発走予定。今春のマイルGIを連勝した林徹厩舎の5歳牝馬ソングライン(戸崎圭太)と、マイル重賞を2勝している鹿戸雄一厩舎の6歳牡馬ウインカーネリアン(三浦皇成)が出走し、海外馬券発売も行われます。
昨秋から今夏にかけGIでの4連勝を含む7連勝の快進撃を見せていた愛国A・オブライエン厩舎のパディントンが体調不良で回避し引退。GⅠを3連勝中の地元アメリカ・アップトゥザマークはBCターフに回ったことで、モーニングライン(主催者による想定オッズ)の人気は、ソングラインvsゴドルフィンの様相です。
堂々の1番人気はソングラインで3.5倍。一方、ゴドルフィンの5歳騙馬で重賞6勝をマークしているドバウィ産駒のマスターオブザシーズ(W・ビュイック)が4.5倍、同じゴドルフィンの3歳牝馬で今年の英1000ギニー優勝馬モージ(O・マーフィー)が5.0倍で続いています。
芝2400mの「BCターフ」は第8レース(午前6:50発走)。海外馬券発売が行われます。個人的な注目は、一昨年の日本ダービー馬・シャフリヤール(C・デムーロ)と今年の英愛ダービー馬オーギュストロダン(R・ムーア)というディープインパクト産駒の日英ダービー馬の競演です。
ほかにも、プリンスオブウェールズSと英インターナショナルSを制し、ロンジンワールドベストレースホースランキングでイクイノックスに続く2位タイの評価を受けているモスターダフ(J・クローリー)、辞めるのをやめたフランキーの神騎乗で英チャンピオンSを制し中1週の強行軍で臨むキングオブスティール、BCマイルではなくこちらに回ってきた地元アメリカのアップトゥザマーク(I・オルティスJr)、凱旋門賞で3着だったフランスのオネスト(M・ギュイヨン)など、豪華なメンバーが集いました。
ウシュバテソーロ(川田将雅)とデルマソトガケ(C・ルメール)が出走し海外馬券発売も行われれるメインレースの「BCクラシック」(ダート2000m)は第9レース、午前7:40発走です。過去39年の優勝馬のうち32頭までが地元アメリカ勢。残りはフランスとイギリスが各1回優勝というレースですが、日本調教馬初優勝の大きなチャンスかもしれません。
というのも、地元アメリカがフライトラインという絶対王者の引退で古馬の層が薄くなり、今年は3歳中心と目されていたところ、GIハスケルSでケンタッキーダービー馬メイジを退け勝利したゴーロケットライドが調教中の骨折で回避。さらにケンタッキーダービー馬メイジも熱発で回避が決まると、ベルモントS、トラヴァーズSとGIを連勝し、馬番確定後のモーニングラインで2番人気(4.5倍)に設定されていたアルカンジェロまでもが左後肢に熱があることから出走を取りやめて引退と、3歳の有力馬が相次いでリタイヤとなったのです。
これで、モーニングラインは、ケンタッキーダービーで有力視されながら故障で春を全休、復帰2戦目の前走パシフィッククラシックでGI初制覇を果たしたアレイビアンナイトが1番人気(4.0倍)。2番人気はホイットニーSを快勝した地元古馬勢の大将格ホワイトアバリオと、ドバイワールドカップの覇者、日本のウシュバテソーロが5.0倍で並んでいます。
一方、レーティングではウシュバテソーロとホワイトアバリオが122ポンドで並びトップ。デルマソトガケの118ポンドという数字はアレイビアンナイトらと並んで3位タイとなっていて、日本のダートホースが世界最高峰に立つチャンスは決して小さくありません。
その他、海外馬券発売の対象レースではありませんが、午前4:50発走(「BCフィリー&メアターフ」の次)の第5レースで行われる3歳以上牝馬によるダート1400m戦「BCフィリー&メアスプリント」には武英智厩舎の重賞6勝馬メイケイエールが池添謙一騎手とのコンビで出走。初めての海外、初めてのダート戦で新境地を見せて欲しいところです。モーニングラインでは、このレース連覇を狙う米C・ブラウン厩舎の5歳馬グッドナイトオリーブ(I・オルティスJr)や、S・アスムッセン厩舎の4歳馬ソサエティ(T・ガファリオン)が人気になっています。
また、同じく海外馬券発売の対象レースではありませんが、BCクラシックの次の第10レース(午前8:25発走)の「BCターフスプリント(芝1000m)」には、森秀行厩舎の4歳馬ジャスパークローネ(川田将雅)が参戦。同僚の2歳馬エコロネオも川田騎手とのコンビで初日の「BCジュヴェナイル(ダート1700m)」に出走予定でしたが、残念ながら左前球節のねん挫で出走取消となりました。
なお、サンタアニタパーク競馬場のマイル戦を除く芝のレースは、向こう正面奥から緩やかな下り坂が続き、4コーナーに繋がってダートコースを横切り芝馬場の最後の直線に入る“ヒルサイドターフコース”からスタートするのも、馬券検討も含めてみどころかと思います。
グリーンチャンネルでは、日曜日の午前3:30から9時まで5時間半の生中継でお伝えする予定です。進行役は私が務めさせていただきます。ちょっと朝が早すぎますが(笑)、ぜひ日本調教馬の応援とともに、アメリカ競馬の祭典を馬券を買いながら楽しみましょう!
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。