競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「サウジカップデーの見どころ」です。
サウジアラビアの競馬で2020年に創設された2日間のカーニバル開催が、今年も首都リヤド郊外にあるキングアブドゥルアジーズ競馬場を舞台に行われます。
なかでも日本時間の24日深夜から25日未明にかけての「サウジカップデー」には、日本から6競走に過去最多の22頭が参戦。とりわけサウジカップは日本での馬券発売も決まり、例年以上に注目を集めています。
そこで今回は、当日グリーンチャンネルの中継で進行を担当する私が、サウジカップデーの見どころをご紹介します(発走時刻や出走馬の情報は2月21日現在のもので、変更になる場合があります)。
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2024サウジカップデー中継(2/24 22:30~)
日本時間の土曜23時に発走予定のG3サウジダービーは、3歳馬によるダート1600m戦です。「サンバサウジダービーカップ」の名称で行われた2020年の第1回のレースは武豊騎手騎乗のフルフラット(森秀行厩舎)が、「サウジダービー」に改称された翌年のレースは同じく森秀行厩舎のピンクカメハメハ(戸崎圭太騎手)が優勝しています。
今年のレースには、G1全日本2歳優駿を圧勝し3連勝中のフォーエバーヤングをはじめ、G3札幌2歳Sを圧勝したセットアップ、兵庫ジュニアGPの2着馬サトノフェニックスの3頭が日本から参戦。大手ブックメーカーのオッズでは、G3フューチュリティS(ダート1200m)を勝っている米国のブックンダンノ(Book’Em Danno)らを抑えて、フォーエバーヤングを圧倒的1番人気に評価しています。
日本時間23:40発走のG3リヤドダートスプリントは3歳以上のダート1200m戦。2021年の第2回は1着コパノキッキング、2着マテラスカイの日本馬のワン・ツーフィニッシュ。第3回はルメール騎手が騎乗したダンシングプリンス(宮田敬介厩舎)が優勝したほか、去年のレースは、リメイク(新谷功一厩舎)に騎乗した福永祐一騎手の現役ラスト騎乗(3着)ということでも話題になりました。
今年のレースには、2年連続の参戦となるリメイクのほか、BC、香港に続く海外遠征となる去年のサマースプリントチャンピオン・ジャスパークローネ、北海道スプリントカップの勝ち馬ケイアイドリーの3頭が参戦。大手ブックメーカーは、G3カウントフリートスプリントHの勝ちの米国馬スケリー(Skelly)らを抑えて、リメイクを1番人気に評価しています。
一昨年はソングライン(C・ルメール/林徹厩舎)、去年はバスラットレオン(坂井瑠星/矢作芳人厩舎)が優勝しているG2の1351ターフスプリントは、日本時間では日付が変わって、日曜日の午前0:25発走予定です。
北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上による芝1351mには、連覇を狙うバスラットレオンをはじめ、G2スワンSの勝ち馬ウイングレイテスト、G3阪急杯の勝ち馬アグリ、去年の京都牝馬S優勝馬ララクリスティーヌの4頭が参戦。大手ブックメーカーによると、フランス、カナダ、UAEで重賞勝ちがあるゴドルフィンの4歳騙馬ミステリアスナイト(Mysterious Night)が1番人気に評価されています。
なお、「1351」という数字は、サウジアラビアの建国年であるイスラム暦1351年にあやかって設定されています。
一昨年のレースでオーソリティ(C・ルメール/木村哲也厩舎)が逃げ切った北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上による芝2100mネオムターフカップは、日本時間の日曜、午前1:10発走予定です。
今年からG2に昇格した競走に、日本からはG1ホープフルS、G3中日新聞杯勝ちのキラーアビリティ(斉藤崇史厩舎)、去年のダービー3着馬ハーツコンチェルト(武井亮厩舎)、奥村豊厩舎のハービンジャー産駒スタッドリーの3頭が参戦。大手ブックメーカーが1.8倍の1番人気に評価している愛国A・オブライエン厩舎の5歳馬でG1競走3勝の実力馬ルクセンブルクに挑みます。
G3ながら1着賞金は150万米ドル(約2億2400万円)に設定されている芝3000mのハンデ戦・レッドシーターフハンデキャップ。一昨年はステイフーリッシュ(C・ルメール/矢作芳人厩舎)、去年はシルヴァーソニック(D・レーン/池江泰寿厩舎)が優勝したレースは、日本時間の日曜午前1:50発走予定です。
日本からは、半兄にパレスマリス、半弟に天皇賞馬ジャスティンパレスを持つステイヤーズSの勝ち馬アイアンバローズ(上村洋行厩舎/H61.5)、小倉記念と七夕賞のハンデ重賞2勝のエヒト(森秀行厩舎/H60.5)、一昨年のアルゼンチン共和国杯優勝馬ブレークアップ(森田直行厩舎/H61.5)、キングアブドゥルアジーズ競馬場の芝コースに強いキズナ産駒・リビアングラス(矢作芳人厩舎/H60)の4頭が参戦します。
そして、初めて日本での馬券発売も行われるG1サウジカップは日本時間の日曜午前2:40発走予定。北半球産馬4歳以上および南半球産馬3歳以上によるダート1800m戦の1着賞金は1000万米ドル(約15億円)です!
去年パンサラッサが逃げ切った世界最高賞金レースに、日本からは去年のドバイワールドC優勝馬ウシュバテソーロ(高木登厩舎)と、去年の最優秀ダートホース・レモンポップ(田中博康厩舎)という日本の2トップが砂漠の国で初の直接対決を迎えるほか、去年のBCクラシック2着馬デルマソトガケ(音無秀孝厩舎)、ダートGI級4勝馬メイショウハリオ(岡田稲男厩舎)、2年連続参戦(去年は5着)のクラウンプライド(新谷功一厩舎)の日本ダート界のトップホース5頭が集結しました。
日本馬のライバルとなるのは、去年のBCクラシックの覇者ホワイトアバリオ(米国リチャード・ダトローJr厩舎)、去年の米国クラシック・プリークネスS優勝馬で、先月のG1ペガサスワールドカップも制したナショナルトレジャー(米国ボブ・バファート厩舎)ら、ダートの本場・米国のトップホースたちです。
なお、キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートコースは、2コーナーで合流する全長450mのシュートコースがあり、ダートの競走はいずれも左回りのワンターンです。
サウジカップが行われる1800m戦の前半はバックストレッチを3コーナーまで真っ直ぐ800m走り、中山競馬場と同程度のコーナーをカーブした後、最後の直線は500mあります(芝コースは438m)。
そして馬場ですが、紅海産の粒子の細かい砂に、クレイ(粘土)、シルト(泥=いわゆるダート)、砂を濃縮したもの、さらに樹皮素材のウッドチップを混ぜもので、米国ともドバイとも、もちろん日本とも違います。
先日、番組収録でご一緒した坂井瑠星騎手に話を聞いたところ、『馬場が毎年違うんですよ』という答えが返ってきました。サウジカップデーでの騎乗は今年で4年連続となる坂井騎手の証言だけに気になるところ。砂、濃縮物、ウッドチップそれぞれの比率や、散水の量は、年によって異なるようなのです。
坂井騎手は前日の国際騎手招待競走にも選出されているので、今年の馬場の特徴をいち早く掴んでくれるはず。馬場の特徴が気になる方は、当日の中継で現地からの情報も参考にしてください。
それでは皆さん、土曜日の深夜、砂漠の国の競馬を一緒に楽しみましょう!