競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは「2025サウジカップデーの見どころ」について。
サウジアラビアの首都リヤド郊外にあるキングアブドゥルアジーズ競馬場で、2日間に渡って行われる「サウジカップウィークエンド」の開催が今週末に迫ってきました。
なかでも日本時間の土曜深夜から日曜未明にかけてのサウジカップ当日には、今年も6競走に日本から地方馬含め18頭が参戦。グリーンチャンネルで22時~27時半までの中継も決まり、私が進行を担当させていただきます。
▼2/22(土)22:00~
2025サウジカップデー中継
馬券発売が行われるのはメインのサウジカップのみですが、そのほかの日本馬出走レースも含めて今回も大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズを参考に有力馬をご紹介します(情報は2/19現在)。
まずは日本時間の土曜22:20発走予定の3歳馬によるダート1600m戦サウジダービー(G3)。「サンバサウジダービーカップ」の名称だった2020年の第1回は武豊騎手騎乗のフルフラット(森秀行厩舎)が、「サウジダービー」に改称された2021年には同じく森秀行厩舎のピンクカメハメハ(戸崎圭太騎手)が、そして去年はフォーエバーヤングが勝利し、過去5回の歴史で日本馬が3回優勝しています。
日本からは、デビュー3連勝で全日本2歳優駿(国際JpnI)を制したミリアッドラヴ(牝/西村淳也騎手/新谷功一厩舎)、アルテミスSの2着馬でダートは2戦目となるミストレス(牝/坂井瑠星騎手/矢作芳人厩舎)、藤田晋オーナー所有の外国産馬で初ダートのシンフォーエバー(牡/菅原明良/森秀行厩舎)の3頭が参戦します。
なかでも去年のフォーエバーヤングと同じく3戦無敗で臨むミリアッドラヴは、ウィリアムヒルが3.25倍の1番人気に評価。牝馬がレースを制すればレース史上初めてとなります。
3.5倍とほとんど並んだ2番人気がアメリカのサイクロンステート(牡/チャド・サマー厩舎)。デビュー4戦目で初勝利を挙げてから前走1月のリステッドまで目下3連勝中のマッキンジー産駒です。
3番人気は前走1/24のUAE2000ギニー(G3)を勝ったゴールデンヴェコマ(牡/UAE)で5.5倍。アイルランドのジョセフ・オブライエン調教師が管理するウートンバセット産駒の牡馬で、前走が去年10月の仏2歳G1クリテリウムアンテルナシオナルで3着だったアップルズアンドバナナズ(ディラン・マクモナグル騎手)が9.0倍の4番人気。シンフォーエバーは13.0倍の5番人気、ミストレスは17.0倍の6番人気という評価です。
続いて、日本時間の土曜23:00発走の3歳以上のダート1200m戦リヤドダートスプリント。今年からG2に格上げされ、1着賞金も120万米ドル(約1億8000万円)に増額されました。2021年は1着コパノキッキング、2着マテラスカイの日本馬のワン・ツー、2022年はルメール騎手のダンシングプリンスが、去年は前年が福永祐一騎手の現役ラスト騎乗(3着)だったリメイクが川田騎手とのコンビで優勝を果たしました。
今年は3年連続出走となるリメイク(牡6/川田将雅騎手/新谷功一厩舎)、2年連続出走(去年は4着)のジャスパークローネ(牡6/団野大成騎手/森秀行厩舎)、カペラSの勝ち馬ガビーズシスター(牝4/C・ルメール/森一誠厩舎)、地方のダートグレード競走3勝のチカッパ(牡4/武豊騎手/中竹和也厩舎)、それに去年のドバイ以来の海外遠征となる兵庫のイグナイター(牡6/笹川翼騎手/新子雅司厩舎)の5頭の日本馬が参戦します。
日本馬も強力なラインナップですが、ここにはアメリカから大物が出走してきます。去年のBCスプリントを制しエクリプス賞チャンピオンスプリンター牡馬に選ばれたストレートノーチェイサー(牡6/ジョン・ヴェラスケス騎手/ダン・ブラッカー厩舎)が参戦。ウィリアムヒルのオッズも2.25倍の1番人気に評価しています。
これに続くのが去年の優勝馬リメイクで3.0倍。ガビーズシスターとジャスパークローネは13.0倍で並んだ3番人気タイ。チカッパとイグナイターが15.0倍の5番人気タイとなっており、完全に構図は「ストレートノーチェイサーvs日本」です。
日付が変わって日本時間の日曜午前0:25発走の芝2100mネオムターフカップ(G2)。2022年にオーソリティがC・ルメールの手綱で逃げ切り勝ちを収めました。
今年、日本からはジャパンカップ2着馬シンエンペラー(牡4/坂井瑠星騎手/矢作芳人厩舎)と去年の2着馬キラーアビリティ(牡6/O・マーフィー/斉藤崇史厩舎)の2頭が参戦します。
ウィリアムヒルの1番人気は凱旋門賞以来の海外遠征となるシンエンペラーで2.1倍の高評価です。これに続くのがキーファーズが共同所有するベルリン大賞の勝ち馬で去年の凱旋門賞でも武豊騎手とのコンビで出走した(11着)アルリファー(牡5/武豊騎手/J・オブライエン厩舎)で4.5倍。
去年の優勝馬で、サッカー・イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドの伝説的名将“サー”アレックス・ファーガソン氏の所有馬として知られるスピリットダンサーが9.0倍の3番人気。2年連続出走のキラーアビリティは15.0倍の5番人気となっています。
サウジアラビアの建国年であるイスラム暦1351年にあやかって距離が設定されている芝1351m戦の1351ターフスプリント(G2)は、日本時間の日曜午前1:10発走予定。日本馬は2022年にソングライン(C・ルメール)、2023年にはバスラットレオン(坂井瑠星)が優勝を果たしています。
今年は日本から、オーストラリアのゴールデンイーグルに続く海外遠征となるアスコリピチェーノ(牝4/C・ルメール/黒岩陽一厩舎)、BCマイルで4着と健闘したヴィクトリアマイルの優勝馬テンハッピーローズ(牝7/津村明秀騎手/高柳大輔厩舎)、GII・阪神Cなど重賞4勝のウインマーベル(牡6/松山弘平騎手/深山雅史厩舎)の3頭が参戦。ウィリアムヒルのオッズ上位を独占しています。
1番人気はアスコリピチェーノ3.0倍。去年の優勝馬アナフ(牡6/英マイケル・アップルビー厩舎)が7.0倍の2番人気。3番人気タイに、テンハッピーローズ、ウインマーベルと、イギリスのタスクフォース(牡4/ロジャー・ヴァリアン厩舎)の3頭が9.0倍で並んでいます。
今年からG2に昇格した芝3000mのハンデ戦・レッドシーターフハンデキャップ。2022年にステイフーリッシュ(C・ルメール)、2023年にシルヴァーソニック(D・レーン/池江泰寿厩舎)が優勝したレースは、日本時間の日曜午前1:50発走予定です。今年は去年のきさらぎ賞の勝ち馬ビザンチンドリーム(牡4/O・マーフィー/坂口智康厩舎)が参戦します。
1番人気はA・オブライエン厩舎のハーツクライ産駒コンティニュアス(牡5/ライアン・ムーア騎手/H61)で5.0倍。6.0倍の2番人気タイには3頭。前走は英セントレジャーで3位入線の4着降着だったデイラマイル(牡4/英オーウェン・バローズ厩舎/H60.5)、去年のドバイゴールドCで2着の実績があるアルナイール(騙7/英トム・クローバー/H62)、それにジョン&タディ・ゴスデン厩舎のグレゴリー(騙5/ジェームス・ドイル騎手/H61.5)。
さらに、英国のエピックエポット(騙6/デヴィイド・オメーラ厩舎/H58.5)7.0倍の5番人気。ハンデは60kgに設定されたビザンチンドリームは13.0倍の6番人気タイとなっています。
そして先週のコラムでも触れたメインのサウジカップ(G1)。ダート1800m戦の1着賞金は1000万米ドル(約15億円超)という世界最高賞金レースです。2023年にパンサラッサが逃げ切って優勝、去年はウシュバテソーロが惜しくも2着だったレースに、今年も日本からフォーエバーヤング、ラムジェット、ウシュバテソーロ、ウィルソンテソーロの4頭が参戦し、2年連続で馬券発売も行われます。
米国勢の相次ぐ回避に続いて、先週のコラムで編集から伝えていただいた通り、去年のドバイワールドカップを勝ち世界ランキングトップタイの評価を受けていたローレルリバーも回避。レースの構図はフォーエバーヤングvsロマンチックウォリアーの一騎打ちムードとなっています。
去年のUAEダービーも勝利し舞台実績もあるフォーエバーヤング(牡4/坂井瑠星騎手/矢作芳人厩舎)と、初ダートとなる香港の最強馬ロマンチックウォリアー(騙7/ジェームズ・マクドナルド騎手/チャップシン・シャム厩舎)。“夢の対決”に今から胸が躍ります。
なお、ウィリアムヒル1番人気はフォーエバーヤングで2.625倍、ロマンチックウォリアーは3.25倍の2番人気となっています。
そのほか、前哨戦のG3二聖都の守護者杯(キングアブドゥルアジーズD1800m)を勝利し米国勢では唯一の参戦となったラトンロール(牡6/ジョエル・ロザリオ騎手/ケニー・マクピーク厩舎)が11.0倍の3番人気。
去年のドバイターフの勝ち馬でダートは前走G1アルマクトゥームチャレンジ3着に続く2戦目となるファクトゥールシュヴァル(騙6/ミカエル・バルザローナ騎手/仏ジェロム・レニエ厩舎)が13.0倍の4番人気です。
その他の日本馬は、ウシュバテソーロ(牡8/菅原明良騎手/高木登厩舎)が15.0倍の5番人気、ラムジェット(牡4/三浦皇成騎手/佐々木晶三厩舎)とウィルソンテソーロ(牡6/川田将雅騎手/高木登厩舎)が26.0倍の7番人気タイとなっていますが、日本のオッズではこうはいかないでしょう。
サウジカップの発走は日本時間の日曜午前2:40。だいぶ深い時間ですが、夜更かしする価値はあります。
ところで、サウジカップの前日(日本時間の金曜深夜)には、女性騎手、男性騎手各7名が出場する騎手招待競走「インターナショナルジョッキーズチャレンジ」が行われ、日本からは永島まなみ騎手が選出されています。
他にも、レイチェル・キング(オーストラリア)、ホリー・ドイル(英国)ら日本でもおなじみの女性騎手や、ジェームズ・マクドナルド(ニュージーランド)、ジョン・ヴェラスケス(米国)、クリストフ・スミヨン(フランス)、オイシン・マーフィー(アイルランド)ら豪華な顔ぶれが出場。グリーンチャンネルの中継内でもレースの模様をVTRでご紹介する予定です。
永島まなみ騎手には大きな経験となるはず。こちらも日本代表として、大いに暴れてきて欲しいですね。
さて、当コラムは2021年1月の連載開始から今回で200回目となりました。気がつけば5年目に突入。競馬の昔話から海外情報まで、これからも競馬ライフにコクと深みを加えられるような少しマニアックなネタを投稿していきます。
次は300回。そして、目指せ1000回! これからもよろしくお願いします!