競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは今週末27日(日)に行われる「香港チャンピオンズデー3競走の有力馬紹介」です。
日曜日、香港競馬の春の祭典「チャンピオンズデー」がシャティン競馬場で開催されます。
今年も「チェアマンズスプリントプライズ」、「チャンピオンズマイル」、「クイーンエリザベスII世カップ」の3つのG1すべてに日本調教馬が出走。いずれも海外馬券発売が行われます。そこで、いつものように大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売りオッズを参考に各競走の有力馬を紹介します。(情報は4/23現在)
芝1200mの「チェアマンズスプリントプライズ」は、フローラSの直後、日本時間の15時50分発走です。日本からは過去最多の4頭が参戦。先月の高松宮記念で待望のGI初制覇を果たしたサトノレーヴ(牡6/美浦・堀宣行)、GIII・シルクロードSの勝ち馬エイシンフェンサー(牝5/栗東・吉村圭司)、ドバイからの転戦となるダノンマッキンリー(牡4/栗東・藤原英昭)、昨秋のスプリンターズS優勝馬ルガル(牡5/栗東・杉山晴紀)が、このレース8連勝中の地元香港勢に挑みます。
ウィリアムヒルの前売りオッズ1.25倍の断然の1番人気は地元香港のカーインライジング(騙4/デビッド・ヘイズ)です。G1初挑戦だった去年12月の香港スプリント勝利後も連勝を伸ばし、目下3つのG1を含む11連勝中。最新の世界ランキングではレーティング124ポンドと、スプリント部門のダントツトップ。ザック・パートン騎手が手綱をとる香港スプリント界の絶対王者に死角らしいものは見当たりません。
2番人気は8.5倍のオッズで日本のサトノレーヴと地元香港のヘリオスエクスプレス(騙5/ジョン・サイズ)が並んでいます。2走前の香港スプリントは3着だったサトノレーヴはジョアン・モレイラ騎手が3戦続けての騎乗。このところ無双状態の鞍上に期待がかかります。一方、ヒュー・ボウマン騎手が主戦を務めるヘリオスエクスプレスは目下4戦連続で“カーインライジングの2着”。王者には及ばずとも高い安定感を誇ります。
これに続くのは13.0倍で地元香港のラッキースワイネス(騙6/K・マン/J・マクドナルド)。2023年のこのレースの勝ち馬で、この年は香港スプリントも制しスプリント部門の世界ランキングでトップに立った実力馬ですが、骨折のため昨春から約1年間休養し、今回が復帰戦となります。本番に向けての模擬レースでは好時計をマークしているということで、G1・4勝の実績があるだけに侮れません。
このほか、前走のG2・スプリントCでカーインライジング、ヘリオスエクスプレスに次ぐ3着だったラッキーウィズユー(騙7/フランキー・ロー)が21.0倍の5番人気。日本のダノンマッキンリーは6番人気の26.0倍、ルガル(西村淳也)は51.0倍、エイシンフェンサー(C・ウィリアムズ)は67.0倍となっています。
芝1600mの「チャンピオンズマイル」は少し時間が空いて日本時間の17時発走予定。重賞1勝馬ながら、去年の安田記念ではロマンチックウォリアー、ナミュール、ソウルラッシュらと差のない4着だったガイアフォース(牡6/栗東・杉山晴紀)が初の海外遠征で挑みます。
ウィリアムヒルの1番人気は地元香港のヴォイッジバブル(騙6/リッキー・イウ/J・マクドナルド)で2.375倍です。去年12月の香港マイルでは、のちのドバイターフ勝ち馬ソウルラッシュに1馬身1/4の差をつけ完勝。目下マイルG1を3連勝中で、ゴールデンシックスティ引退後の香港マイル路線を牽引しています。
オッズ5.5倍で続くのがオーストラリアから参戦のミスターブライトサイド(騙7/ベン、ウィル&JD・ヘイズ/C・ウィリアムズ)。2022、23年のドンカスターマイルや去年の豪チャンピオンズマイルなど5つのマイルG1を含むG1・9勝の実力馬で、今年のチャンピオンズデーの目玉と言える強豪です。キャリア44戦目というベテランは7歳となった今シーズンも安定した成績で走っており、初の海外遠征でどんな走りを見せるか注目です。
3番人気は地元香港のマイウィッシュ(騙4/マーク・ニューマン)で8.5倍です。1~3月の香港4歳三冠戦では初戦のL香港クラシックマイルを優勝。2戦目のL香港クラシックC(芝1800m)と3戦目のL香港ダービー(芝2000m)は僅差の2着だった世代のトップホースです。
このほか、オーストラリアから参戦のロイヤルパトロネージ(牡6/G・ウォーターハウス&A・ボット)と、地元香港のギャラクシーパッチ(騙5/ピエール・ン/Z・パートン)が9.0倍で4番人気タイ。ロイヤルパトロネージはジオグリフも出走した前走のドンカスターマイルで僅差の2着だった馬で、3走前のカンタベリーS(芝1300m)で初のG1タイトルを手にしました。一方、ギャラクシーパッチは成績にムラはあるものの、1月のG1スチュワーズC(芝1600m)ではヴォイッジバブルの2着に入った実力馬です。
日本のガイアフォースは15.0倍の6番人気。1年前はクイーンエリザベスII世カップに出走し4着だった地元香港のハッピートゥギャザー(騙6/フランキー・ロー)と、3走前はサウジアラビアの1351ターフスプリントで3着だったバーレーン調教馬ゴエモン(牡6/ハイデル・エブラヒム)が26.0倍の7番人気タイとなっています。
そして「チャンピオンズデー」のメインレース、芝2000mの「クイーンエリザベスII世カップ」は日本時間の17時40分発走です。日本からは、このレース2年連続2着のプログノーシス(牡7/栗東・中内田充正)、去年12月の香港Cで2着だった一昨年の三冠牝馬リバティアイランド(牝5/栗東・中内田充正)、3着だった香港C以来の今年初戦となる一昨年のダービー馬タスティエーラ(牡5/美浦・堀宣行)の3頭が参戦します。
このレース3連覇のロマンチックウォリアーが不在の今年、ウィリアムヒルはフランスから参戦のゴリアット(騙5/フランシス・アンリ・グラファール)と日本のタスティエーラを4.0倍の1番人気タイに評価しました。
昨秋の来日時には、オーナーのジョン・スチュワート氏のキャラクターや鶏跛(=とりあし)と呼ばれる独特の歩様で話題をさらったゴリアットが、6着だったジャパンカップ以来となる今季初戦を香港で迎えます。
去年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは、のちの凱旋門賞馬ブルーストッキングやレベルスロマンス、オーギュストロダンらを相手に完勝するなど実力は文句なし。3歳時のG3プランスドランジュ賞(4着)以来となる2000m戦という距離がカギとなりますが、秋には今年もジャパンカップ参戦を目標にしているというゴリアットがシャティンでどんなパフォーマンスを見せるのか。今回も鞍上はクリストフ・スミヨン騎手です。
一方、これと並んで1番人気に評価されたタスティエーラ。昨秋は天皇賞・秋でドウデュースと僅差の2着、暮れの香港Cがロマンチックウォリアー、リバティアイランドに次ぐ3着と、一時期のスランプから完全に脱しました。今回の鞍上はダービーや前走の香港Cでも手綱をとったダミアン・レーン騎手です。
5.5倍のオッズで2頭に次ぐ3番人気に評価されたのがドバイからの転戦となるリバティアイランド(川田将雅)。ドバイターフは勝ち馬ソウルラッシュに突き放され8着。ただ、休み明けは去年の天皇賞・秋も13着に大敗し、つづく香港Cでは2着と好走しました。今回も“2戦目の変わり身”に期待したいところです。
プログノーシスは8.0倍の4番人気。3連覇を目指した前走の金鯱賞は6着に終わりましたが、QEII2年連続2着馬としてロマンチックウォリアー不在のここは簡単に引き下がれません。そして今回の鞍上は“Jマック”ことロマンチックウォリアーの主戦ジェームズ・マクドナルド騎手。名手の手綱さばきにも注目です。
このほか、キャリア17戦目の初勝利がL香港ダービーだったという地元香港のキャップフェラ(騙4/フランシス・ルイ)が11.0倍の5番人気。ニュージーランドからの参戦で、目下3つのG1を含む4連勝中というエルヴェンセドール(騙6/ステファン・マーシュ)、香港4歳三冠戦の2戦目・L香港クラシックCの勝ち馬ルビーロット(騙4/デビッド・ヘイズ)、2走前のG1香港ゴールドC(芝2000m)でヴォイッジバブルの2着だったエンスード(騙5/ジョン・サイズ)が15.0倍の6番人気タイ。前哨戦G2チェアマンズトロフィー(芝1600m)を勝ったストレートアロン(騙6/リッキー・イウ)が17.0倍で9番人気となっています。
今週、日本のGIレースはお休みですが、3つのG1が行われる香港競馬の春の祭典「チャンピオンズデー」で楽しみましょう!