競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは日本時間5/4(日)に米国・チャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーダービーです。
日本時間の日曜日の朝、アメリカ・ケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場で第151回ケンタッキーダービー(G1/D2000m)が行われます。
全米のホースマンたちが目指す名誉ある舞台に立てるのはたったの20頭。そのうち2枠を今年も日本調教馬が獲得しました。
「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」の対象レース「ヒヤシンスS」と「伏竜S」を勝利して出走権を手にしたルクソールカフェ(美浦・堀宣行/J・モレイラ)と、「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー欧州&中東」シリーズの最終戦「UAEダービー」を勝利して出走枠を獲得したアドマイヤデイトナ(美浦・加藤征弘/C・ルメール)の2頭が参戦し、4年連続で日本での海外馬券発売も行われます。
優勝馬ミスティックダン、2着シエラレオーネ、3着フォーエバーヤングの3頭による写真判定決着となった150回目のダービーから1年。今年の出走馬を主催者想定単勝オッズ「モーニングライン」の人気順に紹介します。(情報は4/30現在)
モーニングライン4.0倍の1番人気は8.ジャーナリズム(M・マッカーシー/U・リスポリ)です。西海岸の最重要前哨戦G1サンタアニタダービー(D1800m)では去年のBCジュヴェナイル勝ち馬で最優秀2歳牡馬シチズンブルらを相手に完勝。重賞3勝を含む4連勝中のCurlin産駒です。
鞍上はかつてキンシャサノキセキでの高松宮記念や、ルーラーシップでのクイーンエリザベス2世Cの優勝経験もあるもあるウンベルト・リスポリ騎手。2020年から拠点にしているアメリカでビッグチャンスが巡ってきました。同胞のレジェンド、フランキー・デットーリも今年は立てなかった夢舞台での千載一遇をものにできるでしょうか。
2番人気は18.ソヴリンティ(W・モット/J・アルバラード)で6.0倍です。デビュー3戦目のG3ストリートセンスS(D1700m)で初勝利を挙げると、一昨年のダービー馬メイジ、去年のベルモントS勝ち馬ドーノックを輩出したG2ファウンテンオブユースS(D1700m)も勝利。
主戦のJ・アルバラード騎手が負傷で乗り替わっていた前走のG1フロリダダービー(D1800m)は2着に敗れましたが、大本番の今回は主戦の手に戻って臨むゴドルフィンのInto Mischief産駒です。
7.0倍の3番人気は17.サンドマン(M・キャシー/J・オルティス)。芦毛のTapit産駒で、ここまでの戦績は8戦3勝です。前走のG1アーカンソーダービー(D1800m)では、激流の中、後方から末脚を炸裂させ、最後は右に左によれながら後続を突き放しての完勝しました。
4番人気は13.0倍のオッズで2頭が並んでいます。4.ロドリゲス(B・バファート/M・スミス)は前走G2ウッドメモリアルS(D1800m)を快勝し重賞初制覇。2020年のケンタッキーダービー馬Authenticの産駒で、管理するのは父Authenticも手掛けたボブ・バファート調教師です。
2021年の1位入線馬メディーナスピリット(失格)から禁止薬物が検出されたことによるペナルティで管理馬を出走させるのは4年ぶり。2018年の三冠馬Justifyと同じマイク・スミス騎手とのタッグでケンタッキーダービー単独最多7勝目を狙います。
一方、9.バーナムスクエア(I・ウィルキス/B・ヘルナンデスJr)はLiam’s Map産駒の騙馬。近年の勝ち馬から2018年2着グッドマジック、2021年3着エッセンシャルクオリティ、去年2着シエラレオーネと、ケンタッキーダービーの上位馬を多く出しているG1ブルーグラスS(D1800m)を勝利し、G3ホーリブルS(D1700m)につづく重賞2勝目を挙げました。鞍上は去年、オークス&ダービーW制覇を果たしたブライアン・ヘルナンデスJrです。
オッズ16.0倍で単独の6番人気に評価されているのが日本の7.ルクソールカフェです。クールモアグループがアメリカ・ケンタッキーに所有するアッシュフォードスタッドで生まれ、父は2015年の米国三冠馬American Pharoah、全兄にカフェファラオ。アメリカでの騎乗は12年ぶりでケンタッキーダービーは初騎乗となるジョアン・モレイラ騎手を背にどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
21.0倍のオッズで7番人気タイには5頭が並んでいます。2頭出しのボブ・バファート厩舎のもう1頭は、ジャーナリズムのくだりでも触れた1.シチズンブル(M・ガルシア)。Into Mischief産駒はサンタアニタダービーで5頭立ての4着に完敗。評価を下げています。
去年はフィアースネスがまさかの15着に終わった米国の大物馬主マイク・リポール氏が所有する10.グランデ(T・プレッチャー/J・ヴェラスケス)はウッドメモリアルSの2着馬。キャリア3戦のCurlin産駒です。
BCフューチュリティを勝ちBCジュヴェナイルで1番人気に支持されるも9着に大敗したのが12.イーストアベニュー(B・ウォルシュ/M・フランコ)。ブルーグラスSは僅差の2着と復調気配のMedaglia D’oro産駒です。
アーカンソーダービーで2着だったのが13.パブリッシャー(S・アスムッセン/I・オルティスJr)。幾度も北米チャンピオンに就いた鞍上とトレーナーがともに悲願のダービー初勝利を目指すAmerican Pharoah産駒です。
スティーヴン・アスムッセン厩舎2頭出しのもう1頭はG2ルイジアナダービー(D1900m)の勝ち馬ティズタスティック(J・ロザリオ)。2020年のケンタッキーダービー2着馬Tiz the Lawの産駒です。
モーニングラインでは、残りの9頭をオッズ31.0倍の横並びの評価にしています。その中の1頭が日本の6.アドマイヤデイトナ。現役時に米国のダート短距離路線で活躍したドレフォンの産駒で、鞍上はUAEダービー後に馬上から参戦を猛アピールしていたクリストフ・ルメール騎手です。
ケンタッキーダービー騎乗は、2022年クラウンプライド(13着)、2023年デルマソトガケ(6着)につづく2年ぶり3度目。名手が見せる手綱さばきに注目です。
フロリダダービー3着馬2.ネオエクオス(S・ジョセフJr)。騎乗するのは2019年に繰り上がりでダービージョッキーとなったフラヴィアン・プラ。2017年のドバイワールドカップ3着馬Neolithicの産駒です。
G3ジェフルビーS(AW1800m)勝ちの3.ファイナルギャンビット(L・マチャド)は2021年繰り上がりでダービートレーナーとなったブラッド・コックス調教師の管理馬。Not This Time産駒です。
去年はシーズザグレイでプリークネスSを勝利。ダービー4勝、御年89歳の生ける伝説ウェイン・ルーカス調教師は今年もJustify産駒の5.メリカンプロミス(N・フアレス)で参戦します。
日本産の種牡馬Karakontie産駒の11.フライングモホーク(D・ベックマン/J・ラモス)は、3年前に3着馬リッチストライクがアップセットを起こしたオールウェザーのジェフルビーSの2着馬。
Blame産駒の15.レンダージャッジメント(J・ルパルー)を管理するのは、去年ケンタッキーオークス&ダービーのW制覇を成し遂げたケニー・マクピーク調教師。
8戦5勝、Coal Front産駒の16.コールバトル(L・ブライリー/J・ヴァルガス)はアーカンソーダービーの3着馬。
Preservationist産駒の19.チャンクオブゴールド(E・ウエスト/J・ラブベリー)はG2リズンS、G2ルイジアナダービーで重賞連続2着中。
2走前G3タンパベイダービー(D1700m)を勝利した後、ブルーグラスSは6着に敗れた20.オーウェンオールマイティ(B・リンチ/J・カステリャーノ)はSpeightstown産駒です。
なお、補欠馬のバエザは名伯楽ジョン・シフレスが手掛けるMcKinzie産駒で、半兄に2023年のダービー馬メイジや、去年のベルモントS勝ち馬ドーノックがいる血統馬。サンタアニタダービーはジャーナリストの0.1秒差2着と、もし繰り上がり出走となれば侮れません。
最後にもうひとつ“ココだけのハナシ”を。
Netflixで2024年の米国クラシック三冠をめぐる騎手・調教師・馬主の戦いを追ったドキュメンタリーシリーズ「レース・フォー・ザ・クラウン~華麗なる王たちのスポーツ~」が配信中です。今週末のケンタッキーダービーに向けテンションが高まること請け合い。オススメします。
さて、今年も私は「The most exciting two minutes in sports(あらゆるスポーツの中で最もエキサイティングな2分間)」をグリーンチャンネルのスタジオからお伝えします。日曜の朝、ぜひ早起きしてご覧ください!