プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“時にはシンプルな対戦比較も”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月17日 阪神11R 阪神大賞典 芝3000m
阪神大賞典は阪神芝3000mで施行。初角となる3コーナーまでは360mほどで、先行争いにおける内外の有利不利はあまりありません。とはいえ、コーナー数が多いだけに、道中でずっと外を回らされる競馬は厳しいでしょう。狙い馬のジョッキーにはロスなく乗ってもらいたいところです。
今回の登録メンバーで、前走の通過順位に3番手以内があるのは、アンタンスルフレ、サヴォーナ、ジャンカズマ、ディアスティマの4頭。登録15頭中4頭と割合は低く、アンタンスルフレが地方所属馬であることも加味すると、先行争いは激しくなりそうにありません。前に行ける馬が有利でしょう。
1番人気想定のサヴォーナは展開面でも恵まれそう。能力面、長距離適性にも不安はなく、人気になるのも頷けます。
先行勢の穴ならディアスティマでしょうか。近2走は2桁着順、特に前走は3.9秒という大敗でしたが、3走前には目黒記念2着という実績があり、これが能力ではないでしょう。想定通り10番人気前後なら狙ってみる手はあります。
上位人気が予想されるテーオーロイヤルは好位を取れそうな脚質で当然有力。前走8-8-8-6から1着というブローザホーンも悪くありません。
2020年から5年連続の出走となるのがユーキャンスマイル。2020年に1着、2021年に2着の実績があります。9歳馬ですが、昨夏の新潟記念で2着とまだまだ健在というところをみせてくれました。前走も0.7秒差とそれほど負けていません。長距離適性は高く、距離延長はプラス材料。高齢が理由で嫌われるなら、妙味ある存在になるでしょう。
ワープスピードは長距離重賞で連続好走中。中団につける脚があり、川田騎手なら、もう一列前で競馬する可能性もあります。想定通り、6番人気10倍なら、期待値は十分にあります。
ショウナンバシットは、3走前にはジャパンカップで8-8-8-6と押し上げる競馬をみせ、2走前のAJCCでは0.5秒差に善戦。初ダートとなった前走は度外視可能ですが、そこでも道中押し上げての0.6秒と悪くない走りをみせました。想定オッズ46倍は、かなり舐められている印象です。
有力どころはそれなりに力を発揮できそうですが、面白い穴馬も揃った印象。しっかりオッズにも注視して、最適解を導き出したいと思います。
▼みねたの金言121
時にはシンプルな対戦比較も
★ピックアップレース★
2月24日 阪神11R 仁川S ダート2000m
◎5ウェルカムニュース
○14ダイシンピスケス
▲9ラインオブソウル
△15ビヨンドザファザー
☆2オーロイプラータ
注6ゼットリアン
[参考買い目]
単勝 5 2000円
ワイド 5-14.9.15 各1000円
馬連 5-14.9.15 各500円
3連複 5-14.9.15-14.9.15.2.6 各300円
―先週は恋路ヶ浜特別やアネモネSなど、素晴らしい的中があったのですが、今回は、前週に引き続いて2月4週目の競馬について取り上げます。2月24日阪神11Rの仁川Sは○→◎の決着で、ワイド1000円×17.4倍、馬連500円×57.3倍が的中し、払い戻し額は46050円となりました。なぜ、このレースを『厳選勝負レース』にできたのか、その思考をお聞きます。
みねた)予想の出発点としては、1番人気の16アイコンテーラーが「危険な人気馬」だったからです。阪神ダート2000mの大外枠というのは恵まれましたが、牝馬限定戦のJBCレディスクラシック勝ちを評価されての斤量57キロというのは厳しいだろうと考えました。1番人気を切るなら上位人気馬を◎にしても期待値は取れるので、他の上位人気馬をチェックしていきます。
―2番人気が2オーロイプラータ。
みねた)馬柱を眺めたら、この馬「イイな」と思いますよね。先行馬の1番と3番に挟まれた「逃げハサミ」で、直近4走はメンバー最速の上がりを記録。前走は5着止まりでしたが、G2の東海Sでした。そこで、この馬を評価するとして、改めて馬柱とオッズをチェックすると、必然的に5ウェルカムニュースが浮上してきます。
―2オーロイプラータが単勝3.7倍、5ウェルカムニュースが単勝8.7倍でした。
みねた)この2頭、実は2走前のカノープスSで直接対決していて、5ウェルカムニュースが先着しています(1着。オーロイプラータは3着)。当時と比較して、ともに斤量1キロ増なので、斤量差も変わりません。先着馬の方に甘いオッズがついている、しかも3.7と8.7と2.35倍も違うのであれば、これは5ウェルカムニュースに期待値があるだろうと考えるのが自然ですよね。
―オッズ差を生んだのは、やはり「前走成績」でしょうか。
みねた)でしょうね。前走の着順が掲示板に載る5着と掲示板を外す7着という違い。5ウェルカムニュースの場合は7着でしたが、金言32「競馬で勝ちたければ、4と6を意識しろ」に通ずる、期待値の取りやすいパターンで、0.5秒差・7着という金言9「前走僅差の6着以下」にも該当していました。
―5ウェルカムニュース単体でみても、期待値が取れる材料が揃っていたわけですね。
みねた)そういった小さな積み重ねが、馬券で勝つためには重要です。さらに欲を言えば、5ウェルカムニュースは過去に阪神ダート2000mで1着、阪神ダート1800mで2着しており、阪神ダートコースは1-1-0-0という成績でしたが、これがともに4着であれば、着別度数は0-0-0-2になって、もっと甘くなった可能性はあります。もちろん、このレースにおいては8.7倍で十分に期待値はありましたけどね。
―貪欲ですね(笑)。
みねた)競馬で勝つというのは、それぐらい大変なことなんですよ(笑)。あと、5ウェルカムニュースに関しては並びも良かったですね。このレースの出走馬で、前走の通過順位に3番手以内があったのは、1、3、5、11、13、14の6頭。5ウェルカムニュースにとっては、自身の外5頭が差し・追い込み馬でした。前回の当欄でも、「道中でスムーズに走れるかどうか=周りに馬がいるかどうか」というお話をしましたよね。先行馬にとって、スタート直後に周りに馬がいるかどうかで、負荷の掛かり方は大きく変わります。この並びなら、よほど外の先行馬が鋭角に切れ込んでこない限りは、外から被される心配はないと判断できました。
―実際には16アイコンテーラーが被せ気味に内に切れ込んでいく展開となりましたが、おっしゃる通り、14ダイシンピスケスが壁になるような形で、5ウェルカムニュースまでは被されることはありませんでした。
みねた)スタート直後のポジション取りで、手綱を引くか引かないかは大きな違いですからね。ちなみに、このレースでは、一旦、隊列が決まりかけたところで、11バハルダールが動いてハナを奪いましたが、そういう(隊列が決まった後で動いた)馬は脚があがります。いかに、ロスなくスムーズに先行するかが大事。
―実際、このレースも4角3番手以内の3頭で決着しましたが、11バハルダールだけが16着に沈んでいます。結局、2番手を進んだ14ダイシンピスケスが押し切り、◎5ウェルカムニュースは惜しくもクビ差の2着。3着に16アイコンテーラーが粘ったので、3連複系は流したものの、ワイドと馬連で大きな払い戻しとなりました。
みねた)14ダイシンピスケスは強かったですね。この馬の扱い方というのも、馬券的な示唆に富んでいるので、次回、詳しくお話したいと思います。
(次回に続く)