先日行われた今年の日本ダービーは、シャフリヤールがエフフォーリアとの僅か10cm差の勝負を制し、88代目のダービー馬となりました。
手に汗握る大接戦だったことはもちろん、圧倒的1番人気に支持されたエフフォーリアが、父エピファネイア、その父シンボリクリスエス、母の父ハーツクライと同じ「2着」で、しかも勝ち馬シャフリヤールの鞍上が、8年前の父エピファネイアの鞍上・福永祐一騎手だったことなど、競馬の持つ不思議な巡り合わせを実感する、忘れられないダービーとなりました。
一方、今年のダービーは様々な点で異例ずくめのダービーでした。
その一つが「出馬投票段階からのフルゲート割れ」です。登録馬がフルゲートと同じ18頭だった今年のダービーは、ダノンザキッドの回避により、ダービーのフルゲートが18頭となった1992年以降初めて「出馬投票段階からのフルゲート割れ」が発生しました。
私たち競馬キャスターがダービーを盛り上げるために使う常套句に『〇〇年に生産されたサラブレッド△△頭の頂点を決める戦い』というのがあります。
また、その大舞台に立てる18頭を巡るトライアルレースを、『ダービーへの切符はあと〇枚』なんていうのも、お馴染みかと思います。
でも、そもそもフルゲート割れとなると、そういった表現も真実を伝えていないのかもしれません。そんな意味でも「忘れられないダービー」でした。
さぁ、ダービーが終わると、来年のダービーへの戦いが始まります。『ダービーからダービーへ』を合言葉に、ダービーの翌週から2歳新馬戦がスタートするようになったのが2012年。今年で9年目なんですね。キタサンブラックなど新種牡馬の産駒のデビューなど、皆さんも楽しみにされていることと思います。
ところで、この「新馬戦」、2008年から「メイクデビュー〇〇(〇〇は場名)」という愛称が設定されましたが、皆さんは使っていますか?
当初は、定着させるために私たちにも「なるべく使うように」という要望がJRAからあったものですが、あれから13年、今では特に何も言われません。
「競馬特有の用語を、少しでもわかりやすく身近に感じられる言葉に置き換えて」という目的は果たされているのか。個人的には「新馬戦」の方が、わかりやすく、身近に感じられる気がして、実は最近、「メイクデビュー」をあまり使っていないことは「ココだけのハナシ」です。