『田端到・加藤栄の種牡馬事典』で知られる田端到氏が、馬券術の入門から応用まで競馬予想の考え方・コツを伝授する『王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」』。
今回のテーマは「芝1800mと芝2000mの考え方」です。ぜひお楽しみください!
▼『田端到・加藤栄の種牡馬事典 2023-2024』が発売されました!
10月20日(金)に『田端到・加藤栄の種牡馬事典 2023-2024』が発売されました。32年選ばれ続ける大定番の種牡馬事典。本シリーズを立ち上げた当初から守り続ける「血の物語を読める事典」のテイストはそのまま。新たに競馬を学びたい初心者にも、血統馬券を極めたい上級者にも納得していただける内容となっています。
距離の考え方。今回は芝1800と芝2000を取り上げます。芝1400と芝1600の考え方については、本連載の第14回に書いていますのでそちらを参照してください。
▼参考記事
【第14回】距離の考え方(入門編)。1400mと1600mの違いをサンカルロとダイアトニックに学ぶ/王様・田端到の「名馬に学ぶ馬券術」
芝1800と芝2000の違いでまずおさえておくべきは、芝2000はG1レースが組まれている距離(皐月賞、大阪杯、秋華賞、天皇賞・秋)であるのに対して、芝1800はトライアルレースが多く組まれている距離という点です。
芝2000mは能力検定のための距離として位置付けられているのに対して、芝1800mはそうではない。アメリカのダービー(ケンタッキーダービー)も距離は10F(2000m)で、その前哨戦の多くは9F(1800m)です。
では、このふたつの距離は具体的に何が違うのか。2013年から2022年の10年間の重賞を対象に、違いを検証します。
どの競馬場で施行される重賞か、G1かG3かといった要素を排除して、距離だけで分けると「その距離が持つ特徴」が見えてきます。芝1800の重賞は171レース、芝2000の重賞は236レースありました。
ポイント1: 逃げ馬が残りやすいのは芝1800
逃げ馬の成績を比較したのが表1です。JRA-VANのデータをもとに「3コーナー1番手」だった馬を逃げ馬として扱います。
▲(表1)芝1800と芝2000の重賞、3角1番手の成績(2013年から22年)
大きな違いがあります。芝1800重賞の逃げ馬の勝率は12.9%、芝2000重賞は8.9%。10年間の集計でこれは大差です。複勝率も5%近い差が開いています。
芝1800重賞にもいろいろありますから、なかには逃げ馬が不振のレースもあります。しかし、芝1800全体の成績を見ると、明らかに芝2000よりも逃げ馬が残りやすい。これが最初のポイントです。
芝1800は、スタートしてから最初のコーナーまでの距離が短いコースが多いため、逃げ争いが起こりにくく、また、ペースも早めに落ち着きやすいためです。
ポイント2: 1枠の有利が大きいのも芝1800
別の角度からも比べてみましょう。芝1800重賞と芝2000重賞の、枠番別の成績をまとめたのが表2と3です。