Mの法則でお馴染みの今井雅宏氏と当サロン主催・亀谷敬正との師弟トークコラム『今井雅宏×亀谷敬正 ~トレンド種牡馬トーク~』。馬券的に美味しい種牡馬の解説、馬券的な活用方法などをデータを交えながら説明いたします。
第110回目のトークテーマは先週の実践例と前回に続きスワーヴリチャード。師弟によるディープな競馬トークをお楽しみください!
今井雅宏(以下、今):前回の馬体重と生命リズムの話、先週の重賞でもやっぱり同じことが繰り返されたよ。アイビスサマーダッシュだけど。
亀谷敬正(以下、亀):1番人気のチェイスザドリームですか? プラス20キロでしたよね。
今:チェイスザドリームは馬体重でさすがにアウトだったよね~。前走が「初芝+短縮」という鮮度抜群で激走した後なんで、反動が出る可能性はそれなりにあったし。ただ、まだ直線競馬2戦目で生命リズムが流動的なんで、このケースだと8キロくらいの増減はあんまり気にならないんだよね。
亀:ステップによって馬体重の許容範囲が異なるわけですね。
今:うん。だけど、さすがに20キロ増だと少なくとも1着の可能性は限りなくゼロだよ。同一条件を勝った後の休み明けでもない5歳馬が20キロ増は、明らかに反動が出た証左になる。馬体重が悪くても好走することはあるけど、勝ち切る可能性はガグンと落ちちゃうのが競馬だから。
亀:こういう断然人気馬が勝てないときこそ、単勝多点買い、つまり単勝爆弾の出番ですよね。
今:本命はモズメイメイだったけど、これこそ馬体重が重要だったんだ。休み明けの12キロ増と馬体を戻して3着に頑張った後の中3週だから、反動が出る可能性は少なからずあったんだよね。もし反動が出ればアウト、出なければ勝つ可能性の限りなく高い馬だったよ。揉まれ弱くて、パワーとスピードがあるから直線競馬向きで、かつ初の直線競馬という鮮度もあるからね。
しかも、再三話題にしている「脚質転換の3戦目」で、ステージ鮮度が上がってるから余計に有利になる。ということで、反動が出るかどうかがほとんど全ての馬だったんだ。
亀:それが馬体重で分かるわけですね。
今:そうなんだよね。このステップだと4キロ増以上か8キロ減以上で反動が出た可能性が極めて高くなる。逆に少しだけ絞れれば反動は出ない。前走増えた馬体をちょうど良く走れる馬体に戻そうという意識が、陣営と、そしてこれが最も重要なんだけど、馬自身に残っているという証明になるんだ。ということで予想でも「少しだけ絞れて欲しい」って注釈を入れたんだけど。
亀:そしたら4キロ減と注文通り「少しだけ絞れた」わけですね(笑)。
今:これが「馬体重の予見性」だよね。別に結果論ではく、どの馬体重なら走るのか分かっていて、事前に警告を出すことも出来るわけだよ。これで反動が出ないのはほぼ確定したんで、単勝7.6倍で大勝負になった。しかもライバルの断然人気が走る前から20キロ増と脱落したわけだから、余計に単勝勝負だよね。
馬体重が悪くても展開に嵌まりきると2~3着ならあるから、そのパターンを怖がって馬単の相手として押さえるのはもったいないんで、単勝の方が良い。
それと大雨予報を嫌って押さえ評価にしたディヴィナシオンが良馬場で怖くなったけど、これも8キロ減だから、もう勝つことはないんで余計に単勝勝負だったよ。条件鮮度の薄い7歳馬が8キロ減で、ここ1年の最低体重更新だから、好走してもまず勝ちきれない。実際プラマイ4キロくらいで良馬場なら、勝ち負け出来た可能性も高かったと思うよ。
亀:チェイスザドリームは20キロ増の馬体重が発表されても、それほどオッズは落ちなかったですもんね。やっぱり馬体重は期待値の高いファクターですよね。
今:個人的には勝つ可能性が馬体重で1%未満になったと思うけど、誰がどう考えても馬体重発表前よりも最低3倍以上くらいは勝つ可能性が下がったわけだから、少なくとも単勝10倍くらい付かないと割が合わないわけだけど、単勝3倍という普通では考えられないような「オッズの美味しいバグ」が出るのが馬体重だから、馬券では重要になるわけだよね。
亀:ではここからは前回からスタートしたスワーヴリチャードの続きです。前回は短縮でよく走るという話の途中でした。特にどんな条件が面白いですか?