今年も残すところ、あと半月を切りました。そこで今週と来週は2021年にこの世を去った名馬たちを偲びたいと思います。
▼クロフネ 1月17日 23歳没 老衰のため
「外国産馬への開放初年度のダービーを勝って欲しい」と名付けられたクロフネ。アグネスデジタル(12/8没)の出走で天皇賞秋の出走が叶わず向かったダートの武蔵野ステークスと、つづくジャパンカップダートでの圧勝劇は忘れられません。
ダート1600mの1分33秒3とダート2100mの2分5秒9は今もJRAレコード。去年のマイルチャンピオンシップ南部杯でアルクトスが1分32秒7という日本レコードを樹立しましたが、この時の盛岡のダートは稍重。クロフネが2001年に出したレコードタイムは、いずれも良馬場でのものです。
父としては、スリープレスナイト、カレンチャン、ホエールキャプチャ、ホワイトフーガ、アエロリット、そしてソダシと、牝馬の大物を多く出すフィリーサイアーでした。
▼シーザリオ 2月27日 19歳没 子宮周囲の動脈断裂による出血性ショックのため
日本のオークスとアメリカの芝のオークス・アメリカンオークスを勝った競走馬としてはもちろん、エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアらを出した母としても、まさに平成を代表する名牝中の名牝でした。
▼ジャングルポケット 3月2日 23歳没 病気のため
クロフネやアグネスタキオンと同世代のダービー馬。トニービン産駒らしく東京競馬場は3戦負けなしの一方で中山競馬場では3戦全敗。
お笑いトリオ「ジャングルポケット」は斉藤慎二さんが「東京では負けない」という思いを込め、この馬の名前をトリオ名にしたとか。「ジャンポケ」の名は、童謡、競走馬、お笑いトリオと受け継がれています。
▼ネオユニヴァース 3月8日 21歳没 種付け中の事故のため
ミルコ・デムーロ騎手を背に2003の皐月賞とダービーを制した2冠馬。古馬相手の宝塚記念出走も敗れはしましたが格好いい挑戦でした。産駒ロジユニヴァースがダービー親仔制覇。ヴィクトワールピサは、震災の年、父と同じミルコを鞍上にドバイワールドカップを優勝。社台ファームを代表する名馬でした。
つづく
2021年に旅立った名馬たち(1)/大澤幹朗の競馬中継ココだけのハナシ
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。