中央競馬は先週末、JRA通算1570勝の藤沢和雄調教師はじめ7人の定年引退調教師との別れを惜しんだのも束の間、騎手・調教師免許の更新月である3月に入り、今度は5人の調教師が新たに開業した他、週末の競馬からは新人騎手が続々とデビューします。
JRA通算2598勝の元騎手・蛯名正義調教師は、藤沢和雄厩舎からコントラチェック、レイエンダ、ゴーフォーザサミットといった重賞ウイナーを含む33頭を引継ぎ新規開業。管理馬のデビューは来週末以降になりそうです。
既に1月1日付で騎手免許を取得していた嘉藤貴行調教師は師匠の田中清隆調教師から25頭中24頭を引継ぎオープン。中にはミルファーム所有の3頭も含まれていて、調教師としても「白赤格子」の勝負服で大穴をあけてくれるかもしれません。
また“ミスター千直”西田雄一郎調教師は堀井雅広厩舎から9頭、高橋祥泰厩舎から13頭、古賀史生厩舎から3頭を迎えて開業。二ノ宮敬宇厩舎の調教助手時代にナカヤマフェスタを担当されていたという堀内岳志調教師は、柄崎孝厩舎の14頭をはじめ、堀井厩舎から5頭、田中厩舎、古賀厩舎から各1頭を迎えてオープンしました。一方、小崎憲厩舎の元調教助手で、栗東で唯一の新規開業となる中村直也調教師は、浅見秀一厩舎が管理していた36頭中32頭を引き継いでスタートしています。
そして、今週からは10人の新人騎手がデビュー。10人もの新人がデビューするのは田辺裕信騎手らがデビューした2002年(競馬学校18期生)以来20年ぶり。競馬学校の卒業生に限っても、9人の卒業生がデビューするのは、浜中俊騎手、藤岡康太騎手らがデビューした2007年(競馬学校23期生)以来15年ぶり。最近では2018年の3人のみという年もあっただけに、多くの新人騎手たちがフレッシュな風を運んでくれるのは喜ばしいことです。
さてメディアの注目は、やはりJRA史上10人目の女性ジョッキー今村聖奈騎手に集まっているようです。もちろん、2001年の中山大障害を最低人気のユウフヨウホウで制し単勝114.7倍の高配当を演出した今村康成現調教助手の長女でもある聖奈騎手にも注目ですが、私の最注目は小牧加矢太騎手。
1982年の競馬学校設立から40年の歴史で初めてとなる競馬学校騎手課程または他の競馬機関に所属した経験がないJRA騎手の誕生です。競馬学校不合格、再受験断念から障害馬術の道に進み、全日本障害飛越選手権優勝まで果たした25歳。園田競馬のレジェンドから転身しJRA通算900勝以上を上げている大ベテラン小牧太騎手の助言で切り拓いた、初めての「一発試験」からのJRA騎手デビュー。障害馬術と障害競馬の共通点や違いがどんなものなのか素人には全く見当もつきませんが、彼が騎乗する障害レースが俄然たのしみになったのは間違いありません。
とにもかくにも、年々、人の名前を覚えるのが難儀になっってきたアラフィフのおじさんキャスターは、早く顔と名前を覚えらえるように頑張ります!
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。