7月11日と12日、日本最大のサラブレッド市場「セレクトセール」が行われました。1歳セールと当歳セールを合わせた総売上は過去最高を記録した昨年を約14.1%上回る257億6250万円を記録。落札率も95.3%と、まさに大盛況でした。
また、セレクトセールと言えば高額落札馬。1億円超えは、1歳セールが25頭、当歳セールが28頭。このうち3億円を超えたのは、1歳セールが2頭、当歳セールが4頭でした。
もちろん「高い馬が走るとは限らない」のは競馬界の常識です。セレクトセールの歴代最高額取引馬は、2006年の当歳セールで6億円(税抜)で落札されたトゥザヴィクトリーの2006(ディナシー)ですが、競走馬として走ることは一度もありませんでした。ちなみに、繁殖牝馬になったディナシーの7番仔が現4歳の牝馬メイサウザンアワー。31日のクイーンSに出走予定とのことで、“6億円の母”の娘は重賞ウイナーになれるでしょうか。
一方で、セレクトセールは、取引価格を遥かに凌駕する賞金を獲得する競走馬を数多く輩出しています。そこで、セレクトセールで1億円以上の高額で取引され、かつ“お値段以上”稼いだ主な馬をまとめてみました(取引価格は税抜)。
ラヴズオンリーユー・・・取引価格1億6000万円(2017年1歳)、獲得賞金約9億1400万円(海外含む)。プラス7億5400万円(5.7倍)の“お値段以上”。
スワーヴリチャード・・・取引価格1億5500万円(2014年当歳)、獲得賞金8億9132万円。プラス7億3632万円(5.8倍)の“お値段以上”。
サトノダイヤモンド・・・取引価格2億3000万円(2013年当歳)、獲得賞金8億6512万円。プラス6億3512万円(3.8倍)の“お値段以上”。
トーセンジョーダン・・・取引価格1億7000万円(2007年1歳)、獲得賞金7億506万円。プラス5億3506万円(4.1倍)の“お値段以上”。
▲ノーザンホースパークにて、マルペンサの2013(サトノダイヤモンド)の落札時
また、ディープインパクトは2002年の当歳セールで7000万円で落札され、賞金14億5455万円を獲得(プラス13億8455万円、20.8倍)。2008年の当歳市場で主取りとなったレディブラッサムの2008は、競走馬ロードカナロアとして国内外で約8億5000万円を獲得しました。
1歳馬や当歳馬の将来を見極めるのが、いかに難しいかを実感しますが、今年のセレクトセールで上場された469頭の中から1頭でも多く“お値段以上”の活躍をしてくれる競走馬が出現することを祈りたいと思います。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。