夏競馬の北海道シリーズは後半戦の札幌開催がスタート。7週14日間にわたる開催の初日だった23日は、前日夜から断続的に降った雨の影響で、芝コースは「稍重」のコンディションで始まりましたが、当日に雨はほとんど上がったため、それ以上は悪化せず、翌日には「良」に回復しました。
土曜日の中継でも話題になったのですが、札幌競馬場の芝コースが「重」になることは滅多にありません。2012年から2021年までの10年間で札幌競馬場の開催日数は116日(2013年はスタンド改修のため函館で代替開催)ありましたが、このうち芝コースが「重」になったのは、2016年8月20日(2回札幌1日)、2017年8月12日(1回札幌5日)、2020年8月30日(2回札幌6日)の僅か3日のみです。特に2016年8月の「重」は、函館競馬場のスタンド工事のために代替開催していた2009年7月19日以来、実に7年ぶりの芝「重」でした。
そして、1990(平成2)年に札幌競馬場の芝コースが運用されるようになってから今年で32年目、これまで「不良」になったことは1度もありません。
これに対して函館競馬場はというと、2012年から2021年までの10年間の開催日数132日間のうち、芝コースが「重」となったのは10日、「不良」は2日ありました。「不良」となった2日間というのは、札幌競馬場のスタンド改修で24日間の長期開催となった2013年最終週の土日で、1000万条件の芝2000m戦「大雪ハンデキャップ」の勝ち時計が2分15秒2もかかったことで記憶に残っている方も多いかと思います。札幌と比べて函館の馬場が悪化するイメージがあるのは、この年の印象が強いからかもしれません。
梅雨のない北海道とは言え、南端に位置する函館での梅雨時期の開催だから馬場が悪化しやすいのは当然だと思いがちです。ところが、気象庁の資料で1991年から2020年まで30年間の月別降水量の平均値を見ると、函館の降水量は6月が79.8mm、7月は123.6mmなのに対し、札幌の8月の降水量は126.8mmと、むしろ札幌の方が多いことがわかりました。
ハヤヤッコが勝利した今年の函館記念は「重」で行われましたが、函館競馬場の芝コースが「重」となったのは2019年以来3年ぶりのことで、函館も近年は馬場が悪化していなかったことが分かります。
札幌競馬場の芝コースが「重」になることが少なく、「不良(含水率20%以上)」に1度もなっていないのは、気象条件以上に、やはり馬場の水捌けが抜群に良いからなのだと思います。
去年の年度代表馬・エフフォーリアら多くのクラシックホースを輩出している新馬戦に、大一番の札幌記念(8月21日)など、楽しみいっぱいの札幌競馬を、この夏も存分に楽しみたいですね。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。