今週末は秋の天皇賞。今年は、皐月賞馬ジオグリフと、春は2冠連続2着だったイクイノックスの木村哲也厩舎の2頭と、ダービー1番人気のダノンベルーガという関東の3歳馬3頭を、豪華メンバーの札幌記念を制したジャックドール、去年のダービー馬シャフリヤール、ドバイターフ優勝馬パンサラッサ、大阪杯勝ち馬ポタジェといった関西の古馬たちが迎え撃つ…といった構図でしょうか。非常に楽しみです。
ところで、秋の天皇賞に3歳馬が最も多く出走したのは2010年で、牝馬を含め5頭が出走し、最先着は安藤勝己騎手のペルーサで、ブエナビスタ(C.スミヨン)の2着でした。
3歳馬の出走頭数が2番目に多かったのは、今年と同じ3頭の出走があった2004年と2012年です。このうち2004年は藤沢和雄厩舎のゼンノロブロイが優勝。同厩の桜花賞馬ダンスインザムードが13番人気の低評価を覆し2着と健闘しましたが、皐月賞馬ダイワメジャーはシンガリ負けを喫しました。
また、天覧競馬となった2012年は、ダービーでハナ差に泣いたフェノーメノが1番人気に支持されましたが、2世代上のダービー馬エイシンフラッシュに屈し2着。この年の3歳馬は他に、NHKマイルC優勝馬のカレンブラックヒルと、本格化1歩前のジャスタウェイという、今思えば錚々たる顔ぶれでした。
秋の天皇賞に3歳馬の出走が可能になった1987年以降の過去34年間で、3歳馬の出走は36頭ありました。このうち優勝したのは、1996年のバブルガムフェロー、2002年のシンボリクリスエスの藤沢和雄厩舎の2頭と、去年3歳馬として19年ぶりに秋の天皇賞を制したエフフォーリアの3頭だけ。2着には5頭、3着には3頭が入っています。
今年出走する3歳馬は3頭とも関東馬ですが、同時期にクラシック3冠目の菊花賞が関西で行われることから、3歳の好走馬の多くは関東馬で、関西の3歳馬最先着は、クラシック出走資格のなかったオグリキャップが2着に入った1988年(34年前)まで遡ります(2006年アドマイヤムーンと2008年ディープスカイは3着)。
今年は同年の皐月賞馬が出走しますが、同年の皐月賞馬が秋の天皇賞に出走するのはジオグリフが6例目で、1995年ジェニュイン(2着)、2004年ダイワメジャー(17着)、2014年イスラボニータ(3着)、2019年サートゥルナーリア(6着)、そして去年のエフフォーリアが初めて優勝しました。
一方、古馬になってから天皇賞・秋を制した皐月賞馬は、1990年ヤエノムテキ、2000年テイエムオペラオー、2006年ダイワメジャー、2007年メイショウサムソンの4頭がいます。ちなみに、秋の天皇賞を制したダービー馬は、スペシャルウィーク、メイショウサムソン、ウオッカ、エイシンフラッシュ、レイデオロの5頭です。
最後に、出走予定馬の中に8歳馬カデナの名前がありますが、同馬が秋の天皇賞に出走するのは実に5回目。秋の天皇賞だけで5回出走するのは、単独で歴代最多の回数となります。若駒もベテランも力を出し切って、今週も熱いレースを期待しています。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。