今週末はエリザベス女王杯です。即位から70年を迎えた今年9月、96歳で逝去されたエリザベス女王への深い感謝と哀悼の意を込めた特別なレースになります。そこで今回は世界に存在するエリザベス女王の名を冠したレースをまとめました。
1975年のエリザベス女王来日を記念して創設され、今年で47回目となる日本のエリザベス女王杯。英語では当初「Queen Elizabeth II Commemorative Cup」(Commemorative=記念)という表記でしたが、2013年「Queen Elizabeth II Cup」と改められました。1999年に外国調教馬に門戸が開かれ、2010、11年に英国調教馬スノーフェアリーが連覇を果たしたことで、レースの国際的評価が高まったことがきっかけになったのは間違いありません。
「Queen Elizabeth II Cup」と言えば、春に香港・シャティン競馬場のチャンピオンズデーで行われる芝2000mのGIも同名です。2002、03年にエイシンプレストンが連覇、12年ルーラーシップ、17年ネオリアリズム、19年ウインブライト、去年ラヴズオンリーユーが制したこのレースも、1975年のエリザベス女王によるハッピーヴァレー競馬場来訪を記念して創設されました。歴史は日本の「エリザベス女王杯」より1回多く、今年が48回目でした。
毎年10月に行われる英国競馬の祭典「ブリティッシュチャンピオンズデー」の中で、アスコット競馬場・芝8ハロンで行われるGIが「クイーンエリザベス2世ステークス」です。レース自体は1955年の創設で1987年にGI昇格。67回目の今年はトム・マーカンド騎乗のベイサイドボーイが勝利しました。その他の優勝馬には、ドバイミレニアム、ファルブラヴ、フランケルなど、名馬たちが名を連ねます。
オーストラリアの「クイーンエリザベスステークス」は、毎年春、ランドウィック競馬場で行われる芝2000mのGIです。これまでにトゥザワールド、トーセンスターダム、クルーガー、ダノンプレミアムの4頭の日本調教馬が参戦していますが、まだ優勝はありません。1851年創設という長い歴史を持ちますが、1954年2月6日にエリザベス女王が訪問したことを記念して現在のレース名になりました。
アメリカのキーンランド競馬場では、毎年10月「クイーンエリザベス2世チャレンジカップステークス」という3歳牝馬限定・芝9FのGIが行われます。1984年のエリザベス女王の来米を記念して創設されました。エリザベス女王のケンタッキー州訪問の際、キーンランドの関係者たちは模擬のセリを開催するという珍しい方法で女王を歓迎したそうです。
このようにエリザベス2世の名を冠した競走は世界各地に存在します。女王は亡くなっても、そのレース名が女王の競馬への多大なる愛情と貢献を後世に伝えていくことでしょう。
阪神競馬場の芝2200mを舞台に、愛オークス馬マジカルラグーンも出走して行われる今年の日本版「Queen Elizabeth II Cup」こと「エリザベス女王杯」。その栄誉ある杯を手にするのは果たしてどの馬の関係者でしょうか。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。