いよいよ“騎手・福永祐一”の雄姿を見られるのも残りわずかとなりました。福永騎手は騎手としての最終週にサウジアラビアのG3リヤドダートスプリント(25日)に出走するリメイクに騎乗するため、国内で見ることができるのは今週末がラストチャンスです。
そんな福永騎手がデビューしたのは今から27年前の1996年。同期は福永騎手の他に、和田竜二騎手、古川吉洋騎手、双子の柴田大知騎手と未崎さん、常石勝義さん、高橋亮現調教師、そして女性騎手の細江純子さん、田村真来さん、増沢(牧原)由貴子さんという10人で、JRA競馬学校の12番目の卒業生である彼らは「花の12期生」と呼ばれています。
福永祐一騎手の父である伝説の名ジョッキー・福永洋一さんの馬事公苑騎手養成所の同期は、岡部幸雄さん、柴田政人さん、伊藤正徳さんの3人のダービージョッキーらも名を連ね、「馬事公苑・花の15期生」と呼ばれました。そのため、落馬事故で引退を余儀なくされた洋一さんの長男・祐一騎手とその同期も、双子の兄弟や3人の女性騎手がいるなど話題が多かったこともあって「花の12期生」となったのです。
それにしても、福永祐一騎手の同期は「花の12期生」の名にふさわしい華やかな顔ぶれです。
現役10位のJRA通算1400勝以上をあげ、テイエムオペラオーらとのコンビで数々のビッグタイトルを手にしてきた和田竜二騎手。
通算の騎乗数は10400回以上。デビュー2年目の1997年暮れにアインブライドで制した阪神3歳牝馬Sのタイトルが同期一番乗りのGI勝利だった「フルキチ」こと古川吉洋騎手。
騎手時代はダイタクリーヴァらとのコンビで重賞7勝。2012年に「花の12期生」では初めて調教師に転身し、毎年コンスタントに20勝前後をあげている高橋亮調教師。
双子としてデビュー前から話題だった柴田大知&未崎兄弟。兄の大知騎手は、中山グランドジャンプを2011年と12年に連覇し、2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制して、熊沢重文騎手以来2人目の平地・障害GI騎手に。弟の未崎さんは今は調教助手です。
2003年の中山グランドジャンプを制している他、平地重賞も2勝している常石勝義さんは、落馬によるダメージが原因で騎手を引退後、今は障害者馬術選手として活動されています。
細江純子さん、田村真来さん、増沢(牧原)由貴子さんは、JRA史上唯一の同期3人の女性騎手。調教助手に転身した増沢由貴子さんが騎手時代にあげた通算34勝という数字は、藤田菜七子騎手が塗り替えるまで長くJRAの女性騎手最多勝利記録でした。私たちと同じメディアの側で大活躍されている「ホソジュン」の競馬界における貢献は紹介するまでもありません。
そして、歴代4位の通算2600勝以上、中央・地方・海外含め重賞201勝(うちGI級45勝)、単独2位の日本ダービー3勝、コントレイルでの3冠達成などなど、名実ともに「花の12期生」を代表する存在だった福永祐一騎手が、まもなく鞭を置きます。
10人それぞれの27年間は、とても短い言葉で表せるものではありません。栄光、挫折、事故、ケガとの戦い、そして再起…。競馬学校12期生それぞれが、それぞれの「花」を咲かせてきた力強く尊い27年間だったことでしょう。同期では2人目の調教師となる福永祐一騎手と12期生10人の「花」がこれからもますます咲き誇らんことを祈っています。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。