先週の大阪杯は、武豊騎手に導かれたジャックドールが後続に脚を使わせる外連味のないレース運びで悲願のG1勝利。後方から1頭違う脚でハナ差まで詰め寄ったスターズオンアースもお見事でした。そんな好勝負を彩ってくれたのが阪神競馬場の桜。大阪杯当日は満開の花を見せてくれていましたが、今週末の桜花賞まで何とかもう1週間、見頃を保ってもらいたいものです。
例年4月の第1、もしくは第2日曜日に行われている桜花賞ですが、満開の桜の下で行われたことは案外少なく、過去のレース映像を振り返ってみると4~5年に1度程度のようです。そこで今回は、阪神競馬場の外回りで行われるようになった過去16年の桜花賞の中で、満開の桜の下で行われたレースを5つピックアップしたいと思います。予想の参考にする際に、一緒にお花見も楽しめる桜花賞ベスト5です。
第5位 2010年4月11日 第70回桜花賞
優勝馬:アパパネ
のちに史上3頭目の三冠牝馬となるアパパネが勝った1冠目の桜花賞は、ピンク色の花を美しく咲かせた桜をバックに行われました。最後は勝ち馬アパパネに差されたものの、ゴール寸前まで逃げ粘った馬の名はオウケンサクラでした。なお、この年までレース映像は4:3の標準比率です。
第4位 2020年4月12日 第80回桜花賞
優勝馬:デアリングタクト
続いても三冠牝馬が勝利した1冠目です。コロナ禍の中で行なわれた2020年の桜花賞当日は朝から雨が降り続き、芝コースは重馬場。タフな消耗戦を、渋った馬場での適性に不安もあったデアリングタクトが1頭違う末脚で外差しを決めたレースでした。観客のいない競馬場で美しい花を咲かせた桜が雨に濡れていました。
第3位 2013年4月7日 第73回桜花賞
優勝馬:アユサン
クリスチャン・デムーロ騎手が初めてJRAのG1を勝利した桜花賞。アユサンに騎乗予定だった丸山元気騎手が落馬負傷となり急遽、決まった騎乗でした。ゴール前は13歳年上の兄ミルコ・デムーロ騎手が乗ったレッドオーヴァルとの馬体を併せての追い比べ。満開の桜がイタリア人兄弟騎手のワン・ツーを祝っていました。
第2位 2016年4月10日 第76回桜花賞
優勝馬:ジュエラー
後方2番手から追い込んだジュエラーが、先に抜け出したシンハライトをわずか2cm捉えた桜花賞史に残る接戦。ミルコ・デムーロ騎手は、ジュエラーの父ヴィクトワールピサ、その父ネオユニヴァースと父仔3代でのG1勝利となりました。「宝石商」という名の馬が勝利した日、西日に照らされた桜も宝石のように輝いていました。
第1位 2014年4月13日 第74回桜花賞
優勝馬:ハープスター
大外18番枠に入ったハープスター。単勝1.2倍の圧倒的1番人気に支持されていました。鞍上の川田将雅騎手はハープスターを最後方に下げ、最後の直線に向くとようやく追い出します。すると、上がり32.9秒の末脚で駆け上がったハープスターは前の17頭をごぼう抜き。桜花賞の歴史に残る圧巻のパフォーマンスは、零れ落ちんばかりの満開の桜の下でなされました。2冠牝馬ベガの孫にあたるハープスター。同じ松田博資調教師が管理した偉大なる2冠牝馬が勝った1993年の桜花賞もまた、この日と同じく満開の桜の下で行なわれていました。
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大澤幹朗
1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。