競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「競馬のチカラ」です。
2024年最初の投稿になります。
本来ならば、新年の定番のご挨拶で始めたかったのですが、元日に能登半島などを襲った大地震で甚大な被害と多くの犠牲者が出てしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
今回の被災地にも私たちの大切な仲間である多くの競馬ファンがいるはずです。詳しくは存じ上げませんが、サロンメンバーもいらっしゃることでしょう。
また、2か月前にリアルサロンスペースに来場されたばかりの角居勝彦元調教師が、引退競走馬の保護を目的に去年8月に開設した「珠洲ホースパーク」も震度6強の揺れを観測した能登半島北部の石川県珠洲市にあるため、大変心配しましたが、角居さんやスタッフ、馬にはケガなどはなかったということで、ひとまず安堵しました。
ただ、施設内に損壊した場所があるほか、周辺の道路が通行止めとなりスタッフが自宅に戻れないなど、不自由な状態が続いているようです。一日でも早く日常が取り戻されるよう祈っています。
震度5強を観測した金沢市には金沢競馬場があります。競馬場関係者のSNSによると、施設に所々被害があるということです。強い余震も繰り返されており、人馬とも不安な日々を送っていることと案じています。現在は冬季のシーズンオフ期間中ですが、3月の新シーズンが復興に向けて力強く迎えられることを願っています。
大きな震災があるたびに、被災地から離れたところからは祈ることしかできないもどかしさを感じます。6日から2024年の中央競馬が開幕しますが、このような状況下で競馬を楽しんでいてもいいのかと、うしろめたさを感じる方もいるかもしれません。
私も、長年務めたグリーンチャンネルの中央競馬中継で、このような大きな災害があった直後のオープニングは、どのような気持ちで始めればよいのか、いつも悩みました。
そこに明確な答えはないのですが、被災していない人たちは、被災された人たちに心を寄せながら、いつもの日常を続けるというのがいいのではないかというのが、私個人の考えです。傷ついた方々の元気を取り戻すためにも、まずは元気な人たちが元気であり続けることが大切だと考えます。
そして、競馬主催者や関係者が義援金を募る行動を起こしたときに、少しでも気持ちがあるならば、目に見えるかたちで協力をする。売上が、石川県や金沢市に還元される金沢競馬の馬券を買うことでも、被災地の力になることが出来るのです。
戦後、公営競技は戦災復興を目的に開始、再開されました。また、戦後の1948年に制定された現行競馬法の第1章総則第1条には、競馬を行うことができる市町村として、
・著しく災害を受けた市町村
・その区域内に地方競馬場が存在する市町村
とあり、競馬は災害復興目的で存在していることが明確に記されています。
これまでも競馬は、震災などの自然災害に際して、少なからず被災地支援に貢献をしてきました。被災地域の皆さんへ想いを馳せながら、競馬を思いっきり楽しむこと。これが、今すぐ私たちにできることかもしれません。
さて、既にご存知の通り、昨年いっぱいをもちまして、18年間務めさせていただいたグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから外れることになりました。
昨年中にリアルサロンスペースでお会いしたサロンメンバーの皆さんには本当のことが言えず申し訳ありませんでした。とても心苦しかったのですが、噂などが先行するのを避けるために止む無く伏せておりました。どうかご理解ください。
同じグリーンチャンネルの馬券発売がある海外競馬中継は引き続き担当させていただく予定です。また、これまでの経験を活かして、新たな挑戦もしていきたいと意気込んでいるところです、ご報告できることがありましたら、当コラムでもお知らせさせていただきます。
また、2021年にスタートした当コラムも4年目となりました。今回のテーマもですが、なかなか放送などでは語ることができない想いを、競馬ファンの皆さんに伝えることができる場を提供していただき、亀谷主宰はじめサロンの皆様には心から感謝しています。
今後も、普段あまり触れられないが、知れば競馬の奥深さがより味わえるような話題を皆様に提供できればと思っておりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします!