競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「ドバイワールドカップデーの見どころ」です。
「ドバイワールドカップデー」が日本時間の土曜夜に迫ってきました。今年は7競走に、中央・地方あわせて23頭の日本調教馬が参戦。後半4競走は日本での海外馬券発売も行われます。
そこで今回は、今年もグリーンチャンネルの中継の進行を担当させていただく私が、TV観戦の見どころをまとめました(情報は3/26現在)。
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2024ドバイワールドカップデー中継
まず、TV中継が始まってすぐにスタートするダート1600mのG2ゴドルフィンマイル。一昨年、バスラットレオン(坂井瑠星)が制したレースですが、今年は8年ぶりに日本からの参戦がありません。
大手ブックメーカーのウィリアムヒルは、前走のサウジカップでセニョールバスカドールとウシュバテソーロに次ぐ3着だったサウジクラウン(アメリカ)を2.0倍の1番人気、去年の優勝馬アイソレート(UAE)を3.0倍の2番人気に評価しています。
続いて、日本時間の21時40分に発走予定の芝3200mのG2ドバイゴールドカップ。去年は松島正昭オーナーが共同所有する7歳馬のブルームがレコード勝ちしたレースに、今年はアイアンバローズ(牡7 栗東・上村洋行厩舎)とリビアングラス(牡4 栗東・矢作芳人厩舎)の2頭が、いずれもサウジからの転戦で出走します。
ウィリアムヒルは、去年の2着馬でゴドルフィンのシスカニーと、前走サウジのレッドシーフターフHを勝利したA・オブライエン厩舎のタワーオブロンドンを5.0倍のオッズで1番人気タイに評価。
ゴスデン親子の管理馬でゴドルフィンのトローラーマンと、英愛セントレジャー勝ちの実績があるエルダーエルダロフ(イギリス)に6.0倍のオッズをつけています。なお、アイアンバローズとリビアングラスは、ともに41倍の評価です。
日本時間22時15分発走の芝直線1200mのG1アルクオーツスプリントには、サウジから転戦のジャスパークローネ(牡5 栗東・森秀行厩舎)が今回も団野大成騎手とのコンビで出走します。馬券発売はありません。
ウィリアムヒルのオッズは、3歳牝馬ながら前哨戦を古馬相手に好走しているゴドルフィンのスターオブミステリーと、香港のA・クルーズ調教師の管理馬で、前走クイーンズシルバージュビリーCで2022年の香港マイル以来のG1・2勝目をあげたカリフォルニアスパングルの2頭が4.0倍の1番人気タイ。
去年のBCマイル3着馬カサクリード(アメリカ)と、前走G3ナドアルシバターフスプリントではスターオブミステリーに勝っている3歳牝馬フロストアットドーンが8.0倍のオッズでつづいています。ジャスパークローネは13倍です。
ロード・トゥ・ケンタッキーダービーとしても注目のG2・UAEダービーは日本時間22時50分発走。日本からは、サトノフェニックス(牡3 栗東・西園正都厩舎)、ジョージテソーロ(牡3 美浦・嘉藤貴行厩舎)、バロンドール(牡3 栗東・松永幹夫厩舎)、フォーエバーヤング(牡3 栗東・矢作芳人厩舎)の4頭が出走します。
ウィリアムヒルの堂々の1番人気は、前走サウジダービーまで無傷の4連勝中のフォーエバーヤングで2.5倍。ただ1頭アメリカから参戦のパンダゲートが7.0倍、昇竜S2着馬ジョージテソーロ(川田将雅)が8.0倍、A・オブライエン厩舎のヘンリーアダムズが9.0倍となっています。
なお、サトノフェニックス(O・マーフィー)は34倍、27年ぶりのドバイ遠征となる横山典弘騎手が騎乗するバロンドールは41倍のオッズです。
ここからは海外馬券発売が行われる後半4つのG1レース。まずは日本時間の23時25分発走予定のダート1200m戦ドバイゴールデンシャヒーンです。日本からは、ケイアイドリー(牡7 栗東・村山明厩舎)、ドンフランキー(牡5 栗東・斉藤崇史厩舎)、リメイク(牡5 栗東・新谷功一厩舎)のJRA勢3頭と、NARグランプリ2年連続年度代表馬イグナイター(牡6 兵庫・新子雅司厩舎)が参戦し、日本勢初優勝を目指します。
ウィリアムヒルの1番人気は、去年のBCスプリント3着馬ナカトミ(アメリカ)と、前走でサウジのリヤドダートスプリントを勝利したリメイクの2頭で6.0倍のオッズ。
次いで去年の勝ち馬シベリウス(アメリカ)が8.0倍、大井の笹川翼騎手とのコンビで挑むイグナイターが9.0倍、米国ボブ・バファート厩舎のホプキンスが10倍、ドンフランキーは13倍、ケイアイドリーは15倍です。
過去6頭が優勝し、目下、施行7回連続連対中という日本勢大得意のG1ドバイターフ。日本時間では日付が変わって日曜日の午前0時10分発走予定の芝1800m戦に、今年は日本からダノンベルーガ(牡5 美浦・堀宣行厩舎)、ドウデュース(牡5 栗東・友道康夫厩舎)、ナミュール(牝5 栗東・高野友和厩舎)、マテンロウスカイ(セン5 栗東・松永幹夫厩舎)の4頭が出走します。
ウィリアムヒルが3.5倍のオッズで1番人気に評価するのはドウデュース。去年は直前に無念の取消となった最強世代のダービー馬が、日本のレジェンド・武豊騎手とともに1年前の忘れ物を取りにいきます。
2番人気は前走G1ジェベルハッタを快勝した地元ゴドルフィンのメジャードタイムで5.0倍。つづく3番人気は、フランキー・デットーリを背に4連覇に挑むロードノース(J&T・ゴスデン厩舎)で8.0倍。去年の2着馬ダノンベルーガ(J・モレイラ)が9.0倍。
ホリー・ドイルが騎乗する一昨年の仏オークス馬ナシュワが11倍、ナミュール(C・デムーロ)が13倍、前走・中山記念を勝ったマテンロウスカイ(横山典弘)は、ネオムターフCの4着で評価を下げたルクセンブルク(A・オブライエン厩舎)と同じ15倍というオッズになっています。
豪華メンバーが集った芝2400mのG1ドバイシーマクラシックは午前1時ちょうどの発走。過去5頭が優勝し、目下、施行4回連続連対中の日本勢は、春の天皇賞馬ジャスティンパレス(牡5 栗東・杉山晴紀厩舎)、一昨年の優勝馬シャフリヤール(牡6 栗東・藤原英昭厩舎)、一昨年の2冠牝馬スターズオンアース(牝5 美浦・高柳瑞樹厩舎)、3冠牝馬リバティアイランド(牝4 栗東・中内田充正厩舎)の強力4頭がスタンバイします。
ウィリアムヒルの1番人気はリバティアイランド(川田将雅)で3.25倍。BCターフ以来となるディープインパクトのラストクロップにして英国ダービー馬のオーギュストロダン(R・ムーア)が3.5倍、スターズオンアース(C・ルメール)が7.0倍。
去年のコロネーションC優勝馬エミリーアップジョン(牝5 J&T・ゴスデン厩舎)が9.0倍、ジャスティンパレス(J・モレイラ)が11倍、地元ゴドルフィンの6歳騙馬で一昨年のBCターフ勝ち馬レベルスロマンス(W・ビュイック)が13倍。
去年の香港ヴァーズの勝ち馬ジュンコ(A・ファーブル厩舎)と、“サー”アレックス・ファーガソンが生産・所有する前走ネオムターフC優勝馬スピリットダンサーが15倍、シャフリヤール(C・デムーロ)は21倍のオッズとなっています。
1着賞金696万米ドル(日本円で約9億8205万円)のメインカード、ダート2000mのG1ドバイワールドカップは、日本時間午前1時35分発走。去年は大挙8頭が参戦し、ウシュバテソーロが見事レースを制した日本勢は今年、ウィルソンテソーロ(牡5 美浦・小手川準厩舎)、ウシュバテソーロ(牡7 美浦・高木登厩舎)、デルマソトガケ(牡4 栗東・音無秀孝厩舎)、ドゥラエレーデ(牡4 栗東・池添学厩舎)の4頭が出走します。
ウィリアムヒルは3.5倍のオッズでディフェンディングチャンピオンのウシュバテソーロ(川田将雅)を1番人気に評価。2018、19年のサンダースノー以来、2頭目の連覇に挑みます。
4.0倍の2番人気はデルマソトガケ(C・ルメール)。サウジでは輸送中のトラブルがあっただけに、去年UAEダービーを大楽勝で制し、BCクラシックで2着に入った実力馬の巻き返しに期待が高まります。
5.0倍の3番人気は、地元UAEの4歳馬カビールカーン。カザフスタンでデビュー後、去年までロシアを主戦場にしていたという異色の経歴のカリフォルニアクローム産駒はアルマクトゥームチャレンジを圧勝しています。
一方、サウジC優勝馬セニョールバスカドールは8.0倍の4番人気。今月3日のサンタアニタHでデットーリ騎手を背にG1を初制覇したアメリカのニューゲートが15倍で5番人気となっているほか、若武者・原優介騎手の手綱で挑むウィルソンテソーロが17倍、ドゥラエレーデ(B・ムルザバエフ)は26倍のオッズとなっています。
デルマソトガケがUAEダービーを大楽勝し、イクイノックスがドバイシーマクラシックで世界に衝撃を与える圧勝劇を見せ、ドバイワールドカップでウシュバテソーロが最後方からの追い込みを決めて見せた「忘れ得ぬ長い夜」から1年。今年は、どんなドラマが待っているのでしょうか。ともに歴史の証人となりましょう!