競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「ラジオNIKKEIと中央競馬」です。
30日、福島競馬場では3歳限定のハンデ重賞「ラジオNIKKEI賞(GIII)」が行われます。
今年で73回目を数えるレースが創設されたのは1952年。中山競馬場の芝1800mを舞台に「中山4歳ステークス」の名称で、4月上旬に皐月賞の前哨戦として行われました。
現在のように春のクラシックシーズン終了後の6~7月に行われるようになったのは第3回からで、ダービーへの出走が叶わなかったり、ダービーで結果が出せなかった馬たちが出走してくることから、「残念ダービー」とも呼ばれてきました。
1959年に「日本短波賞中山4歳ステークス」という名称になり、その後1961年から1978年までが「日本短波賞」、舞台が福島競馬場に移った1979年から2005年までは「ラジオたんぱ賞」、負担重量が別定からハンデに変わった2006年からは現在の「ラジオNIKKEI賞」という名称になりました。
このように、過去何度も施行条件やレース名の変更を経て現在に至っていますが、長くレースに名を冠しているのが「ラジオNIKKEI」とその旧称です。
ご存知の通り、中央競馬全場の公式実況を担っている「ラジオNIKKEI」ですが、JRAとの関わりが始まったのは1956(昭和31)年のことでした。
日本短波放送(当時)が10月にメインレースなどの主要レースだけでなく継続的に実況を行う競馬中継を開始したことから、日本中央競馬会によって順次、各競馬場や場外馬券売り場などでも実況音声が流されるようになりました。
私にとっても中央競馬の観戦には欠かせないラジオNIKKEIのレース実況。今年は中央競馬初の女性場内実況が実現するなどの話題もありましたが、その歴史は大変長いのです。
ラジオNIKKEIとつくレースといえば、現在のホープフルステークス(GI)の前進である「ラジオNIKKEI杯(ラジオたんぱ杯)2歳ステークス」の名前にもなっていました。2014年からは京都2歳ステークスに正賞が移り、「ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GIII)」として行われています。
こうしてJRAとの関わりがとても深いラジオNIKKEI(社名は日経ラジオ社)。その企業情報を調べてみると、創立が1954年7月1日、開局が同年8月27日とあります。
お気づきでしょうか。1954(昭和29)年は日本中央競馬会が設立された年。ラジオNIKKEI創立の1954年7月1日は日本中央競馬会法が公布された日でもあり、開局から約1か月後に日本中央競馬会が設立、中央競馬がスタートしたのです。
今年のレースは「JRA70周年記念」として行われる「ラジオNIKKEI賞」。お読みいただいた皆さんは、ぜひ心の中で「ラジオNIKKEIも70周年記念」という副題をつけて観戦しましょう。