競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。今回のテーマは「サラブレッドの里・新冠をたずねて(1) ~道の駅サラブレッドロード新冠~」です。
今月初旬、「競走馬のふるさと」として知られる北海道日高地方の新冠町を訪ねました。
新冠町と馬のかかわりが始まったのは明治初期のこと。北海道開拓使長官・黒田清隆により設置された新冠牧馬場が、後に宮内省所管の新冠御料牧場となり、本格的な馬の生産が行われたのでした。
開設当初は軍用馬や農用馬の生産が主でしたが、やがてサラブレッドの生産が行われ、戦後に御料牧場が開放されると、専業で生産を行う農家が出現し、競走馬の一大生産地として確固たる地位を築いてきました。
▲放牧中のサラブレッド
▲サラブレッド銀座駐車公園からの眺め
道道209号線を山間部に向かう約8kmの道程は「新冠サラブレッド銀座」と呼ばれ、通りの左右に放牧されている美しいサラブレッドたちの光景が広がるという馬好きにはたまらない道でした。
新冠の地はこれまで数々の名馬を輩出してきました。
三冠馬コントレイル、ダービー馬のキズナやワンアンドオンリー、ダートGI馬トランセンドらを生産したノースヒルズ。
天皇賞馬マイネルキッツやオークス馬ユーバーレーベンらを生産したビッグレッドファーム。
ウインマリリンやウインブライトら香港GI馬を生産したコスモヴューファーム。
ダービー馬ディープブリランテや、英セントレジャーを制したコンティニュアスの生産牧場・パカパカファーム。
第一次競馬ブームの立役者ハイセイコーの武田牧場や、トウカイテイオーの長浜牧場。
そして三冠馬ナリタブライアンら多くのGI馬を輩出したかつての早田牧場も新冠町にありました。
日高地方の海岸線を走る国道235号線のほぼ中間に位置する「道の駅サラブレッドロード新冠」には、そんな新冠で生まれた名馬たちの銅像やオブジェが無数に並んでいました。
▲道の駅サラブレッドロード新冠
▲ハイセイコー像と「さらばハイセイコー」歌碑
▲ナリタブライアンとビワハヤヒデ兄弟の「優駿の碑」
また、ひと月前に東京ダービーを制したラムジェット(ノースヒルズ生産)を祝う垂れ幕も掛かっていました。
▲ラムジェットの東京ダービー優勝を祝う垂れ幕
豊かな大自然を背景に人間の力を合わせて、最強のサラブレッドを創造すべく「競走馬生産」という産業を脈々とつづけてきた新冠。その地を訪ね、歩んできた歴史の重みをひしひしと感じてきました。
※道の駅サラブレッドロード新冠
北海道新冠郡新冠町字中央町1番地の20(国道235号沿い)