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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2024/10/10 (木)

第103回凱旋門賞の備忘録/競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ

競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。

今回のテーマは「凱旋門賞の備忘録」です。



今年の凱旋門賞が終わりました。

優勝したのは12万ユーロ(約1920万円)の追加登録料を払って参戦してきた英国の4歳牝馬ブルーストッキング。日本調教馬55年目の悲願も、日本のレジェンドジョッキー30年の夢も、叶いませんでした。

シンエンペラーは12着。

レース後、『正直かなり自信がありました』と話していたという矢作調教師も相当落ち込んでいる様子でした。緻密なプランと心強いバックアップで挑んだ人馬だからこそ大いに期待していたので、私もショックでした。

一方、自身11回目の凱旋門賞となった武豊騎手が騎乗したアルリファーは11着。ベルリン大賞の勝ちっぷりは出走馬の前走の中でも最もインパクトある勝ち方だっただけに大チャンスと思われましたが、こちらも直線で伸びてくることはありませんでした。

敗因については簡単ではありませんが、各陣営がしっかりと分析していくはず。まずは日本から参戦した全人馬とも無事に帰国し、心と体の疲れを癒して次なる戦いに向かって欲しいと思います。

さて、私たちファンも次なる戦いに気持ちを切り替えたい…ところですが、馬券発売が来年以降もあるだろうという前提で、上位馬に一定の偏りが見られた今年の凱旋門賞を備忘録にまとめておきましょう。


(1)牝馬のワン・ツー
今年の凱旋門賞は1着ブルーストッキング(牝4)、2着アヴァンチュール(牝3)で、出走馬16頭中4頭しかいなかった牝馬のワン・ツーフィニッシュでした。

凱旋門賞は牝馬の好成績が他のレースと比べても目立っていて、牝馬の優勝は2015年からの10年で5頭目、2005年からの20年で10頭目と、ちょうど半数を牝馬が制しています。

この中には、トレヴやエネイブルといった連覇した馬が含まれてはいるのですが、牡馬と比べて出走頭数が少ないことを考えるとかなりの好成績です。同時期の英チャンピオンSにおける牝馬の優勝が10年間でマジカル1頭、20年間に広げてもプライドとあわせて2頭だけですので、その相性の良さは際立っています。

オープンストレッチが設置され「パリロンシャン競馬場」の名称になった2018年から今年まで凱旋門賞には、延べ107頭が出走し、うち21頭が牝馬でした。成績は「3.4.0.14」で勝率.143、連対率.333。去年4着のスルーセブンシーズも牝馬でしたが、4~5着も多く、5着内率は.524と5割超え。

さらに、現地5番人気以内だった牝馬に限ると、勝率.300、連対率.700と、その率は跳ね上がります。やはり凱旋門賞は「牝馬」です。


(2)ヴェルメイユ賞と同じ1~2着
牝馬のワン・ツーだった今年の凱旋門賞ですが、その1~2着馬は、アークトライアルデーの牝馬限定G1ヴェルメイユ賞と全く同じでした。

今年は近年稀に見る好メンバーが揃ったアークトライアルデー3競走でしたが、中でもヴェルメイユ賞は、凱旋門賞には出てこなかった仏オークス馬のスパーキングプレンティーやナッソーS勝ち馬オペラシンガーらも名を連ねるなど、メンバー的にもハイレベルでした。

その優勝タイムは重馬場で「2:31.53」。出走頭数の違いはありますが、34秒台だったニエル賞やフォワ賞より3秒も速いタイムでした。そして、同じく重馬場で行われた今年の凱旋門賞の優勝タイムも「2:31.58」。ヴェルメイユ賞で1~2着だったブルーストッキングとアヴァンチュールは、3週後の凱旋門賞でも同じタイムで走っていたのです。


(3)ゲート番は4より内
「馬番」と「ゲート番」が違う欧州の競馬ですが、馬券検討のためには「ゲート番」で結果を振り返らなければ意味がありません。

今年の凱旋門賞上位3頭の「ゲート番」は1着:3、2着:4、3着:10でした。このうちゲート番10のロスアンゼルスは逃げての3着でしたから、基本的に内目だった馬が上位に入りました。

オープンストレッチが設置された2018年以降、ゲート番4以内の28頭の連対率は.286、複勝率は.357。この7年間で3着以内に入った21頭のうち、ほぼ半数の10頭がゲート番4以内でした。凱旋門賞は「内枠」です。


(4)キャメロットとシーザスターズの凱旋門賞
最後は当サロンの十八番「血統傾向」です。

今年の凱旋門賞上位5頭の血統を見ると、1着ブルーストッキング、3着ロスアンゼルス、5着セヴェナズナイトの3頭が「キャメロット産駒」、2着アヴァンチュールと4着ソジーのヴェルテメール兄弟所有の2頭は「シーザスターズ産駒」でした。

キャメロット産駒、シーザスターズ産駒ともに、今年の凱旋門賞に出走していたのは上記の馬のみで、それぞれ出走産駒すべてが上位に入ったことになり、明らかに血統的傾向が出たと言っていいでしょう。この辺りは亀谷主宰の分析を私も楽しみにしています。

ちなみに、自身はオルフェーヴルがソレミアに勝利をさらわれた2012年の凱旋門賞で7着だったキャメロットですが、産駒の凱旋門賞優勝は初めてでした。その父はエルコンドルパサーが2着だった1999年の凱旋門賞馬モンジュー。「モンジュー系」という括りでは、2005年のハリケーンラン(父・モンジュー)、2013・14年連覇のトレヴ(父・モティヴェイター)に次いで10年ぶり3頭目(4勝目)でした。

一方、自身は2009年の凱旋門賞馬であるシーザスターズ。その母アーバンシーも1993年の凱旋門賞馬なので、シーザスターズ産駒には親子3代制覇がかかっているのですが、2017年クロスオブスターズ2着、2018年シーオブクラス2着につづいて3度目の2着。「兄弟制覇」同様、「3代制覇」も達成とはなりませんでした。

馬場によって傾向がガラッと変わる凱旋門賞。今年の傾向が当てはまる年がいつになるかはわかりませんが、「その時」のために、情報としてアップデートしておきましょう。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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