競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは12/8(日)に香港・シャティン競馬場で開催される香港国際競走の有力馬紹介です。
8日、4つのG1レースが行われる香港国際競走が香港のシャティン競馬場で開催されます。今年は4レースあわせて9頭の日本調教馬が参戦。日本での海外馬券発売も行われる香港国際競走を、今回も大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売りオッズを参考に展望します(情報は12/4現在)。
まずは日本時間15:10発走予定、芝2400mの香港ヴァーズ。ステレンボッシュ(牝3/美浦・国枝栄厩舎)とプラダリア(牡5/池添学厩舎)の2頭が出走します。
ウィリアムヒルの1番人気は日本の3歳牝馬として初めて香港ヴァーズに出走するステレンボッシュ。オッズは4.0倍です。1年前の阪神JFが2着、今年の桜花賞を優勝、オークス2着、秋華賞3着と、デビュー以来7戦すべて3着以内。今回は桜花賞を制したモレイラ騎手とのコンビ復活です。
5.5倍の2番人気は、オーストラリアのウィズアウトファイト(騙7/A&Sフリードマン厩舎)。イギリスから移籍した去年、コーフィールドCでG1初勝利をあげると、メルボルンCも制してカップダブルを達成。故障の影響で1年間の休養後、前走11/9の豪チャンピオンS(G1)で復帰し、ヴィアシスティーナの3着でした。
7.0倍の3番人気は2頭が並んでいます。1頭目はイギリスのジアヴェロット(牡5/M・ボッティ厩舎)。アイアンバローズやリビアングラスが出走した3月のG2ドバイゴールドCで5着の後、英愛のG2を連勝。前走は2800mのG1愛セントレジャーで3着でした。
もう1頭は、A・オブライエン厩舎のルクセンブルク(牡5/R・ムーア)。今年はコロネーションCでG1・4勝目を挙げた後、キングジョージ、愛チャンピオンS、前走BCターフと3戦連続で6着に終わっています。
その他、2021年の香港Cが4着、2023年のクイーンエリザベス2世Cが3着と香港での実績もあるイギリスのドバイオナー(騙6/W・ハガス厩舎)と、今年のG2フォワ賞の勝ち馬で去年のジャパンカップにも来日したフランスのイレジン(騙7/J・ゴーヴァン厩舎)が11.0倍。
日本の重賞3勝馬プラダリア(C・デムーロ)は13.0倍、A・オブライエン厩舎のハーツクライ産駒コンティニュアス(牡4/W・ローダン)は26.0倍の評価となっています。
続いて、日本時間15:50発走予定、芝1200mの香港スプリント。日本からはサトノレーヴ(牡5/堀宣行厩舎)、トウシンマカオ(牡5/高柳瑞樹厩舎)、ルガル(牡4/杉山晴紀厩舎)の3頭が出走します。
オッズ1.36倍。ウィリアムヒルの圧倒的1番人気は地元香港の超新星カーインライジング(騙4/D・ヘイズ厩舎)です。デビューからちょうど1年の戦績は10戦8勝のパーフェクト連対。前哨戦のG2ジョッキークラブスプリントでは名馬セイクリッドキングダムのタイムを17年ぶりに更新するレコードで2着に3馬身1/4差をつけ圧勝しました。層の厚い香港短距離界に新たに出現した怪物がZ・パートンとのコンビで初のG1戦に臨みます。
11.0倍と大きく離れた2番人気は地元香港のカリフォルニアスパングル(騙6/A・クルーズ)。今年3月にクイーンズシルバージュビリーC、アルクオーツスプリントとG1を連勝して昨季の香港最優秀スプリンターに選出された実績馬ですが、前走のジョッキークラブスプリントは8着と大敗しています。
13.0倍の3番人気は同じく地元香港のハウディープイズユアラブ(騙5/J・サイズ)。前走のジョッキークラブスプリントで勝ち馬カーインライジングに着差はつけられたものの2着に入っています。鞍上J・マクドナルド。
一方、重賞4勝馬で前走スプリンターズSはクビ差2着のトウシンマカオ(菅原明良)が15.0倍の4番人気。
骨折を乗り越え、前走のスプリンターズSで初のG1タイトルを手にしたルガル(西村淳也)が17.0倍。
夏の北海道シリーズで重賞を連勝しスプリンターズSでは1番人気に支持されたものの7着に終わったサトノレーヴ(J・モレイラ)は26.0倍となっています。
日本時間17:00発走予定の香港マイル(芝1600m)には、ジャンタルマンタル(牡3/高野友和厩舎)とソウルラッシュ(牡6/池江泰寿厩舎)の2頭のマイルGI馬が出走します。
ゴールデンシックスティが引退し地元香港の絶対王者が不在となった中、ウィリアムヒルの1番人気は日本のソウルラッシュで4.5倍です。前走のマイルCSでついにGIタイトルに手が届いたソウルラッシュ。4着だった去年に続いての香港マイル参戦となります。鞍上は4度目のコンビとなるジョアン・モレイラ騎手です。
2番人気は6.0倍で3頭が並んでいます。1頭目はGI・2勝の日本の3歳馬ジャンタルマンタル(川田将雅)。マイル戦は朝日杯FSとNHKマイルCを含め3戦3勝です。秋の始動戦に予定していた富士Sを熱発で回避したため7か月ぶりのレースとなります。
2頭目は地元香港のヴォイッジバブル(騙6/J・マクドナルド)。去年の香港マイルはナミュールやソウルラッシュに先着しゴールデンシックスティの2着。ドバイターフ13着、安田記念17着と遠征は結果が出ませんが、地元では1月の香港スチュワーズCでG1勝利、前哨戦のG2香港ジョッキークラブマイルでも勝利しています。
3頭目はフランスのラザット(騙3/C・デムーロ)。今年1月のデビューから無傷の6連勝でG1モーリスドゲスト賞を制覇。初の遠征となった前走ゴールデンイーグルは2着で連勝はストップしました。豪州からの転戦と、過去7戦の中での最長距離が1500mであることがカギとなりそうです。
日本時間17:40発走予定、芝2000mの香港カップには、タスティエーラ(牡4/堀宣行厩舎)とリバティアイランド(牝4/中内田充正厩舎)が出走します。
単勝オッズ1.5倍。ウィリアムヒルの断然の1番人気は、このレース3連覇を狙うロマンティックウォリアー(騙6/C・シャム)です。去年10月のコックスプレートから2走前の安田記念、前走のG2ジョッキークラブCまで目下6連勝中。今回も日本馬の前に立ちふさがります。
去年の三冠牝馬リバティアイランド(川田将雅)は6.5倍の2番人気。復帰戦となった天皇賞・秋では期待を大きく裏切る13着とデビュー以来初めての大敗を喫しました。アクシデントで急仕上げだったという報道もあり、大幅な体重増だった前走からどれだけ巻き返せるか。お嬢さんの復活の走りに期待です。
13.0倍の3番人気はA・オブライエン厩舎の3歳牝馬ウイングスパン。前走はBCターフ5着でした。
15.0倍の4番人気が去年のダービー馬タスティエーラ。古馬との対戦ではなかなか結果が出ませんでしたが、前走の天皇賞・秋ではドウデュースの2着と復活の兆しを見せました。父は2016年の香港ヴァーズを勝ったサトノクラウン。そして今回の鞍上はダービーで手綱を取ったD・レーンです。
そのほか、サッカー・マンチェスター・ユナイテッドの伝説的名将“サー”アレックス・ファーガソンが共同所有する英国馬スピリットダンサー(騙7/R・フェイヒー)も参戦。オッズは17.0倍です。遠征では2月のG2ネオムターフC(サウジアラビア)や前走のG2バーレーンインターナショナルで勝利するなど良績を残しています。
いずれも楽しみな香港国際競走。阪神JF、カペラSなど日本のレースとあわせて注目しましょう!