競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。
今回のテーマは、日本時間の25日深夜にイギリス・アスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの有力馬紹介です。
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日本時間の25日深夜、イギリス・アスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに、日本からマスカレードボール(牡4、美浦・手塚貴久厩舎)とヴェルテンベルク(牡6、栗東・宮本博厩舎)の2頭が出走。日本での海外馬券発売が行われます。
“キングジョージ”に日本調教馬が参戦するのは、2019年のシュヴァルグラン以来7年ぶりで、複数の日本馬が出走するのは初めてです。
総賞金額が前年から50万ポンド増額され(113万4200ポンド)、1着賞金は113万4200ポンド(1ポンド=215円換算で約2億4385万円)となった今年のレースには、この路線のトップホースが集結。近年にない豪華メンバーとなりました。
大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」の前売り1番人気は、史上4頭目の連覇を狙うカランダガン(セン5/仏 F・グラファール厩舎)で2.625倍です。2025年のカルティエ賞年度代表馬にして世界ランク1位。レコード勝ちしたジャパンCでアタマ差の接戦を演じたマスカレードボールと再び相まみえます。
今年も去年と全く同じローテーションで使われ、3月のG1・ドバイシーマクラシック(メイダン芝2410m)を勝利すると、英ダービーと同じ日に行われた6月のG1・コロネーションC(エプソム芝12f)は道悪をこなせず大敗。しかし、良馬場だった前走7/5のサンクルー大賞(サンクルー芝2400m)では8頭立ての最後方から直線で強烈な末脚を炸裂させ快勝。連覇を果たすとともに、6つ目のG1タイトルを手にしました。
なお、やや硬めの良馬場になることが多いこの時期のアスコット競馬場ですが、しばらく雨の予報は出ておらず、馬場は驚異の瞬発力を武器とするカランダガンに味方しそうです。
2番人気は4.0倍でA・オブライエン厩舎の3歳牡馬ベンヴェヌートチェッリーニ。父はフランケル、母はBCジュベナイルフィリーズターフなど米G1を2勝しているニュースペーパーオブレコードという良血馬です。
5月のG1・英ダービー(エプソム芝12f)では最有力視されていたものの、苦手な重馬場だった上に、左後肢がゲートに引っかかった状態でスタートし、10位入線後に出走取消扱いに。続く6/28に良馬場で行われたG1・愛ダービー(カラ芝12f)では、8頭立ての最後方から直線で持ち味の瞬発力を発揮して、同厩の英ダービー馬クリスマスデーに1馬身3/4差をつけて勝利しました。
3歳勢の代表格として初の古馬との対戦となる今回は真価が問われる一戦です。
日本のマスカレードボールは5.0倍の3番人気です。3歳時、春は皐月賞3着、ダービー2着。秋は天皇賞・秋を制した後、ジャパンカップではカランダガンとアタマ差の2着でした。今年初戦は4月に香港に遠征し、G1・クイーンエリザベス2世カップ(シャティン芝2000m)でロマンチックウォリアーに1馬身差の2着。
中東情勢の悪化から遠征を回避しドバイシーマクラシックでのカランダガンとの再戦は実現しませんでしたが、1度海外遠征を経験して、今度は英国の地での再戦が実現することになりました。
馬主の社台レースホースと、生産した社台ファームの吉田照哉代表にとって、このレースは悲願。ちょうど20年前の2006年に出走した同じ勝負服、同じ生産者のハーツクライは、最後の直線で先頭に立ったものの、ゴール直前でハリケーンランとエレクトロキューショニストに交わされ3着でした。
1頭だけで参戦したために体が減ってしまっていたという20年前の反省を踏まえ、今回は同じ社台F生産馬で個人名義(オーナーズ)の所有馬ヴェルテンベルクと2頭での参戦。日本競馬の結晶とも言える血統馬は、ハーツクライの時と同じC・ルメール騎手を背に、日本を代表するホースマンの夢を叶えられるでしょうか。
4番人気は、A・オブライエン厩舎の4歳牝馬ミニーホークで7.0倍です。3歳時にオークストリプル(英・愛・ヨークシャーオークス)を達成したフランケル産駒は、凱旋門賞でもダリズのアタマ差2着と負けて強しの内容でした。
欧州以外への初遠征となったBCターフで6着に敗れた後、今シーズンは5月から始動し、G2・ムールブリッジS(カラ芝10f)を勝利しましたが、今季2戦目のG1・タタソールズゴールドC(芝10f110y)は勝ったアルマカムから9馬身差の5着と凡走。前走6/17のG1・プリンスオブウェールズS(芝9f212y)は、勝ち馬オンブズマンに4馬身差はつけられたものの2着でした。
5番人気は昨年の2着馬カルパナ(牝5/英 A・ボールディング厩舎)で8.0倍のです。ジャドモントの自家生産によるスタディオブマン(その父ディープインパクト)産駒。アスコットではG1・英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(芝11f211y)連覇の他、前走のG2・ハードウィックSでも2着と【2-1-1-0】というコース実績を誇ります。
9.0倍の6番人気は、2年ぶりの参戦となる一昨年の優勝馬ゴリアット(セン6/仏 F・グラファール厩舎)。昨年末はG1・香港ヴァーズ(シャティン芝2400m)で3着と力を示した後、年明けはカタールに遠征しG2・アミールT(アルライヤン芝2400m)でディープモンスターとクビ差の2着でした。
今シーズンは5月のG2・シャンティイ大賞(芝2400m)で重賞6勝目。G1馬が6頭揃った前走のG2・ハードウィックS(芝11f211y)は、鞍上のC・スミヨン騎手がバランスを崩して鐙(あぶみ)が外れるアクシデントもあって3着でした。
7番人気はベイシティローラー(牡4/英 G・スコット厩舎)。カランダガンが道悪に苦しみ大敗を喫した前走のG1・コロネーションCで圧勝したニューベイ産駒で、G1初タイトルとなった去年のバイエルン大賞(ミュンヘン芝2400m)の時も重馬場でした。
しばらく雨の予報がなく、レース当日の馬場が硬くなる可能性があることから、管理するG・スコット師は、散水ではなく、自然の雨によって馬場がgood(良馬場の上から4番目)にならない限りは出走させないと明言していることから、オッズは34.0倍と高くなっています。
ヴェルテンベルクは大手ブックメーカー各社とも51.0倍という評価です。前走の天皇賞・春では12番人気ながらクロワデュノールとハナ差の2着。OPでの連対はこれが初めてでしたが、3200m戦で好走したスタミナと末脚は、タフなアスコットのコースでも活きるはずです。手綱を取るのはO・マーフィー騎手。去年はカルパナで2着に入っています。
この他、A・オブライエン厩舎から近走不振が続く去年の英愛ダービー馬ランボーン(101.0倍)と、フランケル産駒の3歳牡馬アクション(151.0倍)の2頭もエントリーしています。
スピードシンボリの初挑戦から57年、ハーツクライの3着からは20年――。日本調教馬の快挙への期待はもちろんのこと、豪華メンバーが集った今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSは大注目の一戦。
レースの模様はグリーンチャンネルで土曜夜23時から生中継。進行は私が担当します。ぜひご覧ください!
