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競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ
2026/09/17 (木)

ジョッキークラブゴールドカップ展望/競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ

競馬キャスター・大澤幹朗氏がお届けする、知れば競馬の奥深さがより味わえる連載『競馬キャスター大澤幹朗のココだけのハナシ』。

今回のテーマはフォーエバーヤングが出走する「ジョッキークラブゴールドカップ展望」です。

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競馬アナウンサーと学ぶ ゼロから分かる競馬教養



現地時間18日(日本時間の土曜早朝)、アメリカ・ニューヨーク州のベルモントパーク競馬場では、約3年半にわたる大規模改修工事からのリニューアルオープン当日に「第108回ジョッキークラブゴールドカップ」(ダート2000m)が行われます。

1919年創設のジョッキークラブGCは、1984年BCクラシックが創設されるまで秋のダート最強馬決定戦と位置付けられていたレース。過去の優勝馬には、1920年の第2回の優勝馬マンノウォーをはじめ、1938年ウォーアドミラル、1960~64年5連覇のケルソ、1979年アファームド、1995年シガー、2007・08年連覇のカーリンなど、伝説の名馬たちが名を連ねています。

このアメリカ東海岸を代表する歴史と伝統を持つレースに、今年は日本のスーパースター・フォーエバーヤング(牡5/栗東・矢作芳人厩舎)が、日本調教馬として初参戦。今月から海外馬券発売の対象レースに指定されたことで、初めて日本で馬券発売も行われます。

2022年の秋以降、総額5億5500万ドル(約861億円)を投じてコースやスタンドの改修工事が行われたベルモントパーク競馬場。北米最大規模の1周2400mのダートコースと、内側の2つの芝コースに加え、今回の改修で新たに1周1600mのオールウェザー(タペタ)コースが設置された他、1万人収容の新スタンドやクラブハウスも建設されました(全面開業は来春)。

ゴールを新スタンドの位置に合わせるレイアウトの微調整により、これまで約330mしかなかった最終コーナーからゴールまでの最後の直線距離は、約120フィート(約36m)長くなって、最後の直線の長さは、チャーチルダウンズ競馬場の約376mとほぼ同じの約371mになりました。

また、ジョッキークラブGCの舞台でもあるダート2000mのコースのスタート地点は、これまでは1~2コーナーの中間点にあり、スタート直後からカーブすることになって外枠の馬が不利なコースでしたが、今回、ゴール地点が変更されたことに伴って新たなスタート地点を設置し、改良されました。

来年(2027年)には22年ぶりにブリーダーズカップを開催することが決まったベルモントパーク競馬場。優勝馬にBCクラシックの優先出走権が与えられるジョッキークラブGCは、2020年以来6年ぶりにベルモントパーク競馬場に戻り、新生ベルモントパーク競馬場のこけら落としとなるメインレースにも選ばれました。

そこに、去年のBCクラシック優勝馬であるフォーエバーヤングが参戦することで、現地は大歓迎して盛り上がっているのです。

当初は、昨年のエクリプス賞年度代表馬で、前走のホイットニーSで復活劇を見せたソヴリンティが出走を予定していて、去年のBCクラシックでも叶わなかったフォーエバーヤングとの対決が実現するかと思われましたが、左後肢の膿瘍(のうよう)のために回避。またしても直接対決はお預けとなりました。

また、出走馬は7頭立てで発表されましたが、3番チャンクオブゴールドと5番バニシングの2頭が出走を取り消すことになり、レースは5頭立てという少頭数で行われる見込みです。

主催者想定の単勝オッズ「モーニングライン」の1番人気は、もちろんフォーエバーヤング(馬番7/坂井瑠星)で1.6倍です。

2着だったドバイワールドカップ以来、半年ぶりの復帰戦となりますが、15日の最終追い切りでは、47秒57、33秒97、21秒77、11秒77という素晴らしい動きを披露し、騎乗した坂井瑠星騎手も「楽しんで走っていたし、何も心配がない」と順調さをアピールしました。

矢作調教師も「今も成長していて夏より良くなっている」と語るフォーエバーヤング。重箱の隅をつつくならば、一番外の枠に入ったことと、前走のドバイWCで末脚を封じられたマグニチュードと同タイプの馬(フィリアスフォッグ)がいることが気になるというところでしょうか。

しかし、新コースとなって不公平感が緩和された上に、5頭立てという少頭数でもあり、むしろ被される心配のない外枠は歓迎と思われます。また、素人目にも馬の状態がよく、いつも正直なコメントを出してくれる陣営も自信たっぷりなことから、ここは問題なく勝利してくれると思っています。

今回勝てば、エイシンプレストン、モーリス、父の妹ラヴズオンリーユーを抜き、海外G1勝利数が日本調教馬最多の「4」となるフォーエバーヤング。BCクラシック連覇と日米年度代表馬選出という壮大すぎる夢に向かって、まずは新生ベルモントパーク競馬場の歴史にその名を刻みます。

モーニングラインの2番人気は、馬番4番のフィリアスフォッグ(セン6/グスタヴォ・ロドリゲス厩舎/ケンドリック・カームーシュ騎手)で5.0倍です。

G1出走はサラトガ競馬場で行われた去年のジョッキークラブGC1回のみで、その時はスタート直後に大きく内に斜行し失格となりました。しかし、逃げ馬から離れた2番手を追走し、最後は勝ったアンティクエリアン(先月のホイットニーSでソヴリンティ、ナイトロジェンに次ぐ3着。バエザには先着)からは3馬身差、2着のシエラレオーネ(BCクラシック一昨年1着、去年2着)からは1馬身半差の3位に入線しており、馬柱からの情報の見方には注意が必要です。

また、去年はアンティクエリアンの追撃をアタマ差凌いだG2・サバーバンS(サラトガD10f)を、今年は圧勝しての連覇。10馬身の差をつけた2着馬は去年のドバイWC優勝馬ヒットショーで、いつもの逃げの手から直線に向いてぐんぐんと差を広げる強い競馬でした。ここには去年のジョッキークラブGC優勝馬アンティクエリアン(4着)や、今年の出走馬スターズアンドストライプス(8着)も出走していて、相手関係から実力はG1級と見た方が良さそうです。

管理するグスタヴォ・ロドリゲス調教師はメキシコ出身で、長い下積みを経てフィリアスフォッグのサバーバンSが初の重賞勝ちだったという苦労人。また、主戦のケンドリック・カームーシュ騎手は通算4000勝以上を挙げている42歳のジョッキーです。

入線順だけで見れば、ダート9~10f戦は【6-3-1-1】。逃げ・先行という脚質を考えても、フォーエバーヤングにとっては、すでに勝負付けがついているバエザよりも、このゴドルフィン生産馬の方が不気味な存在と見ています。

モーニングライン3番人気は、馬番1番のバエザ(牡4/ビル・モット厩舎/ジュニア・アルバラード騎手)で5.5倍です。

ソヴリンティが回避することになったビル・モット厩舎からは、今年2月に死去した名伯楽ジョン・シフレス厩舎から転厩したバエザが1番手として出走。鞍上にもソヴリンティの主戦ジュニア・アルバラード騎手を迎えて臨みます。

近走は、6月のG1・スティーブンフォスターS(チャーチルダウンズD9f)がマグニチュードに1馬身1/4差の2着、8月のG1・ホイットニーS(サラトガD9f)が勝ったソヴリンティから約6馬身差の4着と、いずれも豪華メンバーを相手に善戦はしているものの、勝ち馬に肉薄とまでは至っていません。

というのも、この馬の最大の特徴は「出負け」。いつも最後方からの競馬で、その分、最後は鋭い末脚で伸びては来るのですが、勝ち負けに加わるには、どうしても展開の助けが必要となっています。今回は少頭数な上、また6着だった去年のBCクラシックの勝ち馬フォーエバーヤングとの着差は約10馬身だったことから、勝負付けは済んでいるというのが私の見方です。

1995年のシガー、2012年フラットアウト、2013年ロンザクリーク、2022年オリンピアドでジョッキークラブGCを4回も制しているビル・モット調教師は、もう1頭、馬番2番スターズアンドストライプス(牡4/ジョン・ヴェラスケス騎手)を出走させます。モーニングラインは16.0倍です。

4月に行われた3走前のG3・ベンアリS(サラトガD9.5f)が唯一の重賞勝ちで、前走はサラトガのダート14f(2800m)という長距離のリステッド競走バードストーンSを勝利。今回は大幅に距離を短縮してのレースになります。

鞍上は初コンビとなる殿堂入りジョッキーの54歳ジョン・ヴェラスケス。ジョッキークラブGCは、2015年トゥーナリスト、2016年ホッパーチュニティ、そして去年のアンティクエリアンと3回優勝しています。この馬の出方は、レースのカギを握っているかもしれません。

そして、もう1頭は馬番6番のレンダージャッジメント(牡4/ケネス・マクピーク厩舎/マニー・フランコ騎手)。モーニングラインは21.0倍です。

2010年のジョッキークラブGCの新生ベルモントパーク競馬場の2着馬ブレイムの産駒で、ここまで通算14戦2勝。その2勝は、いずれも条件戦で、17着に終わった去年のケンタッキーダービー以来のG1の舞台では格下と評価せざるを得ません。

なお、今年は3歳馬や牝馬の参戦がなく、負担重量はいずれも57㎏(126ポンド)となっています。

フォーエバーヤングの雄姿が見られるのも残り少なくなってきました。日本のスーパースターホースが新生ベルモントパーク競馬場を駆け抜ける姿をしっかりと瞼に焼き付けましょう。土曜早朝4:30からのグリーンチャンネルの中継でお目にかかります。

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大澤幹朗 近影

大澤幹朗

1973年9月22日生まれ。千葉県出身。IBC岩手放送アナウンサー時代に岩手競馬のレース実況に携わり、メイセイオペラら名馬と出会う。2003年にフリー転身後、2006年よりグリーンチャンネル中央競馬中継キャスターに。2013年からは凱旋門賞など海外中継も担当。そのほか、WOWOWヨーロッパサッカー実況アナウンサーとしても活動中。

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