プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は『最も期待値を取りやすい「普段は前に行っていない馬が前に行ける」パターン』です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
3月26日中京11R 高松宮記念(芝1200m)
高松宮記念は中京芝1200mで施行。初角となる3コーナーまでは300m強あり、ポジション争いにおける内外の有利不利はあまりありません。テンの速さがあれば外枠からでも先行争いに加われます。ただ、G1という頂上決戦であり、相対的にロスの少ない内枠がベターでしょう。
今回の登録メンバーで、前走の通過順位に3番手以内があるのは、アグリ、ウォーターナビレラ、オパールシャルム、キルロードの4頭(前走香港スプリントのメイケイエールを含めると5頭)。スプリントG1にしては先行馬が揃っていない印象です。
ただ、前を行く人気薄候補の3頭(ウォーターナビレラ、オパールシャルム、キルロード)は、前走14着、15着、12着と大敗を喫している点が気掛かり。昨年17番人気3着と波乱を演出したキルロードも、当時はオーシャンSを0.4秒差6着からのステップでした。
昨年◎として、5番人気2着と期待に応えてくれたロータスランドは今年も面白そう。前走1400mで18-17という通過順位は気になりますが、その前走は大外枠も堪えた部分があるでしょう。本来は、もう少し位置が取れる馬ですし、想定通りの人気なら。
ファストフォースは前走のシルクロードSでナムラクレアとタイム差無し。それでナムラクレアとは人気が大きく開きそう。同様に、ダディーズビビッドは前走の阪急杯でアグリとタイム差無しながら想定オッズは大きく開いています。「前走2着」が穴のキーワードになるかもしれません。
オーシャンSで重賞2勝目を挙げたヴェントヴォーチェ、昨年の覇者ナランフレグも想定通りの人気ならば期待値は十分に取れるでしょう。
人気が予想されるナムラクレアはもちろん有力。ただ、前走の着差を見ても、スプリント戦線において圧倒的に抜けた存在とも言えず、オッズと見合うかは微妙でしょう。
メイケイエールは単勝では常に過剰人気傾向のある馬なので、単勝の期待値は取りにくそう。もちろん、潜在能力の高さは疑いようがないので、2列目、または3列目には押さえておく必要はあります。
期待値がありそうな馬が揃い、各馬の差は僅か。枠や並びが大きな鍵を握る一戦です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
[枠順確定後注目馬]
1トゥラヴェスーラ
4ダディーズビビッド
5メイケイエール
7ヴェントヴォーチェ
8ロータスランド
12アグリ
13ファストフォース
週中の展望通り、かなり混戦模様なレース。配当妙味有る馬が多く、狙える馬は多いが、中団より少し前に付けれる馬からここは狙いたい。
■みねたの金言72
『最も期待値を取りやすい「普段は前に行っていない馬が前に行ける」パターン』
★ピックアップレース★
2022年10月15日新潟6R・3歳以上1勝クラス(ダ2500m良)
◎10マイネルオーサム
○2イシュタルゲート
▲8ダノンピーカブー
△4イーサンバーニング
☆5デュアルレインボー
[参考買い目]
単勝 10 2000円
ワイド 10-2.8.4 各1000円
馬連 10-2.8.4.5 各600円
3連複 10-2.8-2.8.4.5 各500円
──前回に引き続いて、10月の的中を振り返っていきたいと思います。テーマは、「普段は前に行っていない馬が前に行けるパターン」についてでしたね。
みねた: そうです。まずおさらいしておくと、
(1)競馬は基本的に先行有利(特に下級条件)
(2)ただし、前回先行していた馬は期待値が取りにくい
ということ。よく、「競馬は逃げ馬を買えば勝てる」と言われ、それは事実なのですが、今回逃げる馬は事前にはわかりません。前走で逃げていた馬、前に行った馬は、今走でも逃げるだろうと期待をかけられるので、オッズに反映されてしまうため、期待値が取りにくいのです。
逆に、最も期待値を取りやすいのが「普段は前に行っていない馬が前に行ける」パターン。極論を言ってしまえば、この読みの精度が上がれば、競馬は負けません。
──わかります。先日のフィリーズレビューのシングザットソングが前付けした時、「そりゃあ来るよ」と思いました。
みねた: ああいう、出遅れ癖があるタイプは、事前に読むのは難しいですけどね。事前に読めるパターンとして、前回取り上げた「距離延長」、それから「逃げ挟み」、そして「近走の捲り経験」などがあります。
──前回は、1400m→2000mへの距離延長だったビップクロエが、逃げの手に出て波乱を演出した2022年10月1日中京2Rを取り上げましたね。
みねた: 大幅な距離延長は、行き脚がついてポジションが上がる可能性が高いです。ただ、先行馬が揃っているレースだと、タフなレースになって距離延長馬は苦しくなるので、先行馬の数が少ないレースでの狙いですね。
▼参考記事
【第71回】阪神大賞典展望&「先行馬の割合が少ないレース」はわかりやすい/馬券師・みねたの金言
──「逃げ挟み」についてはいかがですか?
みねた: 逃げ挟みというのは、本来は、差し馬の両脇が逃げ馬だと、スムーズに追走して、外にも出しやすいというのが基本的な考え方です。
ただ、この連載をずっと読んでいる方は思い当たる節があると思うのですが、逃げ挟みで狙った差し馬は、そもそも前に行って好走するケースも多いんですよね。おそらく、馬は元々群れで生きる動物なので、周囲の馬がダッシュよく出ていくと、それにつられて前に行けるのかもしれません。
──隊列だけでなく、ポジションという点でも「逃げ挟み」は優位性があるんですね。道理で強いわけだ。そして最後が「近走の捲り経験」です。
みねた: これが今回のメインテーマです。10月の的中例として候補に挙げてもらったレースでも、「近走の捲り経験」が活きたケースが目につきました。
──10月15日新潟6Rの3歳以上1勝クラス(ダ2500m)は、出走馬10頭に、前走3番手以内経験馬が1頭もいないという珍しい1戦でした。
みねた: スローペースの時は、前にいる馬か、道中で動いていける捲りタイプが狙い目になります。10マイネルオーサムは前走9-9-8-7で4着と捲る競馬をしており、前日3時段階で単勝オッズ10倍。絶好の狙い目と考えて◎にしました。
──レースでは、その10マイネルオーサムが2-2-2-1と先行して1着。まさに「普段は前に行っていない馬が前に行ける」パターンでした。
みねた: 前提として、捲るということは、コーナーで外を回って加速するわけですから、距離ロスが大きく、馬には大きな負担が掛かっています。つまり、捲って好走するというのは、能力上位でないとできない芸当で、そんな馬が先行してロスなく競馬できれば、パフォーマンスがアップするのは当然ですよね。
そして、捲れるということは、馬自身が前向きになっている証明でもあります。捲りを打った馬が、その後の何走かの間に、突如先行して波乱を演出するというケースは枚挙に遑がありません。
──2022年の関屋記念で、前走のメイステークスで捲っていたシュリが逃げを打って12番人気2着したのは鮮明に覚えています。
みねた: 10月16日新潟8Rの3歳以上1勝クラス(ダ1800m)で◎にした6タガノカンデラも同じパターンで、2走前に15-15-3-3から3着というロスの多い競馬をしていました。このレースは、次回、改めて解説しましょう。