★今週の重賞ピックアップ★
5月8日東京11R NHKマイルC(芝1600m)
NHKマイルCは東京芝1600mで施行。初角となる3コーナーまで500m以上と距離がたっぷりあるため、先行争いにおける内外の有利不利はそれほどありません。
このレースの特徴としては、弥生賞、皐月賞といったクラシック路線を歩んでいた組もいれば、徹底してマイルを使われてきた組、ここが距離延長になる短距離路線組など、異なる路線を進んできた馬が相まみえる点でしょう。ここをダービーへのステップと捉えている馬もいますよね。
過去の傾向を紐解くと、第1回が前走2000m戦を使われていたタイキフォーチュン、ツクバシンフォニーのワンツーだったのが象徴的ですが、基本的には長い距離を使われているタイプが優勢です。
また、脚質的な傾向として、比較的、逃げ馬が残っている点が挙げられます。逃げ馬というのは1レースに1頭しかおらずサンプル数が少ないため、この傾向が統計的に有意であるとはいえませんが、3歳5月ともなると、「意志を持って逃げている強い馬が逃げていることが多い」というのが、2歳~3歳前半戦との違いです。もし、実力のある逃げ馬が舐められている状況であれば、逃げ馬狙いも面白いでしょう。
今年は登録段階で、前走3番手以内を経験しているのが、カワキタレブリー、キングエルメス、ジャングロ、ソネットフレーズの4頭だけ。GIですし、スローにはならないと思いますが、ポジション争いが激しくなりにくいので、穴を狙うなら先行~好位差しタイプがよいでしょう。
前出の4頭ならキングエルメス、ジャングロに注目。また、マテンロウオリオンは、東京替わりで前進が見込めるパターンに該当しています(こちらについては後述します)。王道ローテ組からはインダストリア。この馬も東京替わりはプラスで、今回はレーン騎手騎乗。好走確率はかなり高いとみます。あとは、オッズが見合うかどうかだけでしょう。皐月賞で0.8秒差・10着のダンテスヴューも、ここならチャンスはありそう。過去の戦績から、ためれば確実に脚を使えるタイプなので、あとは届くかどうかの勝負です。
先行争いにおいて内外の有利不利は少ないコースだとはいえ、混戦なので枠順や並びは重要。逃げの手が濃厚なジャングロの外をひいた馬は、恵まれる可能性が高そうです。
【当日注目馬】
2ソネットフレーズ
3ソリタリオ
4セリフォス
5キングエルメス
13ジャングロ
15オタルエバー
逃げ先行馬が競馬し易い配置で戦って来たメンバー含め疑問視されて人気評価が低くオッズがついている。差し優勢の長い直線ではあるがオッズほどの開きが有るようには見えず今回は先行馬に張る。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言27
『位置取りを下げながら巻き返した馬』
★ピックアップレース★
5月1日東京11R スイートピーS(芝1800m稍重)
注目馬:9コントディヴェール
─スイートピーSは、『競馬放送局』で「軸、穴候補」として1頭だけ挙げられていた9コントディヴェールが6番人気2着。同日福島5Rのウインクルシャープ(6番人気1着)、阪神12Rのクリノサンレオ(8番人気2着)、さらには単勝万馬券となった土曜福島11Rのキムケンドリーム(13番人気1着)など、先週も「軸、穴候補」がたくさん波乱を演出してくれました。私は全レース買いたい人間なので、かなり重宝しています。
みねた) ありがとうございます。期待値が取れそうなパターンをピックアップしているので、直前オッズを確認して、妙味がありそうなら積極的に狙ってみてください。
スイートピーSのコントディヴェールについては、前走でアネモネS3着とリステッド競走なら通用する力をみせていた馬が、6番人気止まりなら美味しかったです。そして何より、この馬は東京コース替わりが魅力でした。
─東京替わりが魅力。その理由を教えてください。
みねた) 前走の通過順位をみてください。5-8-8と道中で位置を下げながら、最後は盛り返しての3着でした。こういった「前走で位置取りを下げながら巻き返した馬」は期待値が高いんです。
─20年以上前に発表された『Vライン』という馬券術が、まさしく、この考え方でした。
みねた) そうなんですね。私は、馬券術の類いをほとんど知らないので、『Vライン』も存じ上げなかったのですが、この考え方は、間違いなく今でも通用しますよ。
─なぜ、このパターン(前走で位置取りを下げながら巻き返した馬)は期待値が取りやすいのでしょうか?
みねた) 第3回で説明しましたが、競走馬というのは、基本的に1回抜かれると戦意を喪失することが多いんです。それは、逃げ馬が外から被されると失速することが多いのをみても明らかですよね。それだけに、一旦抜かれた馬が、そこから盛り返すというのは、充実度の証明だといえます。
─確かに、人間のマラソン大会でも、一旦、抜かれたら、なかなかもう一度追い上げる気持ちにはなりません。
みねた) それはわかりやすい例えですね。付け加えるなら、勝負どころで位置取りを下げるというのは、包まれて動けなかったとか、騎手がペースの変化に対応しきれなかったなど、何かしらの不利があるケースがほとんどなので、そういう意味でも期待値が蓄積されていると考えていいでしょう。
─「前が詰まった」みたいな目にみえる不利ではないので、オッズに織り込まれにくいのかもしれませんね。
みねた) コントディヴェールに話を戻すと、この馬の前走アネモネSは中山のレースでした。これも何度かお話ししていますが、中山はコーナーで勢いをつけて直線を迎えたいコースです。つまり、勝負どころで8番手と順位を下げている=コーナーで勢いをつけられていない、ということなので、そこから追い込んでの3着は、数字以上に価値があります。
─ありきたりな表現ですが、「負けて強し」ということですね。
みねた) 道中で位置を下げながら盛り返すということは、一気にギアを切り替えられるということでもあります。直線だけでトップスピードに乗れるので、直線の長い東京コース替わりは大いに魅力ですよね。冒頭のNHKマイルC展望で名前を挙げたマテンロウオリオンも同様で、通過順位5-5-7で2着したニュージーランドTから、東京コースに替わっての前進が期待できます。
─金言13「差し馬には2つのタイプがある」で、差し馬には「コーナー手前から自力で動いていけるタイプ」と「道中は動かず待っていて直線だけで差してくるタイプ」の2タイプいると教えてもらいましたが、後者に近いタイプと考えてよさそうですね。
みねた) そうですね。なので、機動力を求められる条件で負けた後は、特に狙い目でしょう。基本的にコーナーで外を回って位置を上げるというのは負荷が大きいので、能力差があってこそ成り立つ戦法。一方、「前走で位置取りを下げながら巻き返した馬」はコーナーでは脚をためて、直線だけで伸びてくる競馬なので、適条件を得た時に能力差を埋められます。
─「前走で位置取りを下げながら巻き返した馬」は、馬自身が充実している上に、オッズ的にも期待値が取りやすいということがよくわかりました。ちなみに、スイートピーSのコントディヴェールも道中は後方で動かず、4コーナー10番手から直線だけで追い込んで2着という競馬でしたね。
みねた) 下げた位置の程度の差こそあれ、冒頭で名前の挙がったウインクルシャープにしても、キムケンドリームにしても、近走に道中で位置取りを下げながら盛り返した経験がありました。穴馬のピックアップとして、簡単かつ有効な手法なので、ぜひ、チェックしてみてください。