プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「前走位置取り×前走距離で展開読みの精度を上げる」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
8月27日札幌11R・キーンランドC(芝1200m)
キーンランドCは札幌芝1200mで施行。初角となる1コーナーまでは400m以上、距離があるので先行争いにおける内外の有利不利は大きくありません。
フルゲートは16頭で、現状の出走順位上位17頭(出走順位16位の2頭で抽選)中、前走の通過順位に3番手以内があるのはサトノアイ、シナモンスティック、ジュビリーヘッドの3頭。サトノアイは抽選対象なので、先行馬の占有率は13%、または19%となりますが、いずれにしても割合は低く、スプリント戦ながらペースは落ち着く可能性が高いでしょう。
先行3頭で目を引くのはジュビリーヘッド。前走の函館SSは5番手→3番手と自分で動いての2着と価値ある内容でした。先行力と自在性を兼備しており、今回想定される流れは向くでしょう。
シナモンスティックは前走1着なので、そこで全力を出していること、今走では過剰人気になりやすいことが懸念材料ですが、想定通り20倍前後なら、もう一丁を期待する手もありそうです。
2桁通過順位の後方馬が多いメンバー構成なので、道中で動いていける馬に注目したいところですが、そういうタイプはキミワクイーンにしてもゾンニッヒにしても勝ち切っており、馬券妙味が薄そう。強いて挙げれば、前走11→10から8着のウォーターナビレラですが、近走が負け過ぎ、道中後ろ過ぎではあるので、大穴でのヒモ候補といったところでしょうか。
1番人気想定のナムラクレアは、格的に一枚上の存在で、1200mに戻るここは、まず好勝負。2番人気想定のキミワクイーンは、道中で動いて勝ち切った前走内容に好感が持てます。3番人気想定のウインマーベルもまた、G3なら格上の馬で、好位から中団につけられるタイプなので展開も向きそう。上位人気馬の大崩れは考えにくいでしょう。
コースレイアウト的に内外の有利不利は少なく、並び重視で考えたいレース。数少ない先行馬が離れて配置されれば有利になりますし、その外側の差し馬もスムーズに運べる可能性が高まります。
週中段階ではジュビリーヘッドに妙味を感じていますが、上位人気と想定している馬に、望外の甘いオッズがついていれば、そちらを軸にする手も。枠順、オッズで結論が大きく変わりそうな一戦なので、しっかり精査したいと思います。
【枠順確定後注目馬】
5 ウインマーベル
9 ジュビリーヘッド
10 ゾンニッヒ
11 ヴァトレニ
14 ナムラクレア
16 シュバルツカイザー
前走道中3番手以内での通過歴のある馬が16頭中3頭と少ない組み合わせ。基本的には前に行ける馬が有利。少ない先行勢が並びで入った為、前に行く馬目標に好位から抜け出せる馬を狙う。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言94
『前走位置取り×前走距離で展開読みの精度を上げる』
★ピックアップレース★
7月29日新潟7R・3歳未勝利(芝1400m良)
◎13ゴーマックス
○9フォミルマジック
▲18ピーエムギャレット
△15ウインアイオライト
☆16エリーズダイヤ
注11オースピス
[参考買い目]
単勝 13 2000円
ワイド 13-9.18.15 各1000円
馬連 13-9.18.15.16.11 各500円
3連複 13-9.18.15-9.18.15.16.11 各300円
──7月29日新潟7Rは◎→☆→△の決着で、単勝、ワイド、馬連、3連複という参考買い目の4券種が全て的中。54,280円の払い戻しとなりました。
「前走道中3番手以内での通過歴のある馬が18頭中5頭と先行比率が少なく前走前目で競馬をした馬を中心に考える。本命は13ゴーマックス。前走前に行った馬の中で距離短縮ではない馬が同馬のみで普通のスタートなら先手取れる可能性が高い」
という見解文も面白かったので、このレースの思考を掘り下げたいと思います。
みねた: 見解文に書いた通り、このレースの先行馬比率は36%。40%を切っているので、やや先行有利と取りました。
──そして次の手順は「先行馬の並び」のチェックですよね。このレースの先行馬は、13番、14番、15番、16番、18番でした。このコラムや単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』を読み込んでいる方は、ここで疑問に思うのでは? 13ゴーマックスは先行馬並びの最内という最も苦しい並びですから。この並びだと、「逃げハサミ」の17エスタビエンを狙いたくなります。
みねた: 言いたいことは分かりますよ。「先行馬並びから選ぶなら外」が基本セオリーですし、並び的には「逃げハサミ」の17エスタビエンが魅力的に映ります。17エスタビエンを軽視した理由は、(1)連続で馬券絡み中という期待値が取りにくい臨戦過程であったこと、(2)斤量減で前進した前走が馬券的には狙うべきタイミングだったこと、という2点です。前走2桁の通過順位という「後方馬」であったのも、赤オッズ(単勝1桁オッズ)で狙うには躊躇しますよね。
──だとしても、先行馬並びの内枠というのは、外から被せられるので不利なはず。どうして13ゴーマックスを狙えたのでしょうか?
みねた: ゴーマックス個体として狙える理由は後述するとして、並び的にも狙えたのでそちらから説明していきますね。といっても、そんなに難しいことではなくて、見解文に書いた通り、先行馬の中でこの馬だけが「距離短縮ではないローテ」だったのです。
──各先行馬の前走使用距離は次の通り。確かにこの馬だけが「同距離」ローテですね。
13.ゴーマックス 芝1400m(3-3)
14.トラヴォルジェンテ 芝2000m(3-3-3-3)
15.ウインアイオライト 芝1800m(3-3-2-2)
16.エリーズダイヤ ダ1700m(2-2-2-2)
18.ピーエムギャレット 芝1600m(1-1-1-1)
みねた: 18ピーエムギャレット以外の4頭は「中距離」カテゴリーからの大幅な距離短縮で、特に自身のすぐ外の14トラヴォルジェンテは芝2000mからの大幅短縮。被せられるリスクはかなり軽減されていると考えられます。
──確かに14トラヴォルジェンテの前走のテン3Fは38.3秒という超スローですね。そこで3番手から6.2秒差の大敗を喫しているので、ここは中団以降から脚をためる競馬になりそうだというのは、私でも想像できます。
みねた: そう考えると、実際に前に行けそうなのは、芝1600mを逃げていた18ピーエムギャレットぐらいです。18頭中2頭で、馬番13番と18番と考えたら、実はそんなに不利な並びでもありません。
単行本のタイトルは『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』ですが、基準を一つ作る事でオッズの歪み、トレンドが把握できる様になり、恒常的に勝つための考え方が学べるといった内容になっています。実際に活用する場合、「前走位置取り」の中身を精査する事で回収率の底上げが出来ます。前走の通過順位が3番手だったとしても、どの距離で、どんな枠順から、どんなレースだったのかをチェックすることで、より一層、今回のように展開予測の精度は高まります。
──レースは、13ゴーマックスが2番手から抜け出し。2着に7番手から差した16エリーズダイヤ、3着には先行した15ウインアイオライトが粘り、馬連52.2倍、3連複32.6倍がズバリ的中しました。
みねた: 16エリーズダイヤは先行馬並びの外側ですし、今回はダート→芝替わりでしたが、芝スタートの東京ダート1600mでも良績があり、7番人気なら押さえておく価値がありました。このレースもそうですが、やはり先行馬比率が小さいレースのほうが、馬券は組み立てやすいですね。
──それは以前から、よく仰っていますね。改めて説明していただけますか?
みねた: 先行馬比率が小さい=ペースが緩む、ということなので先行有利になりますよね。距離短縮はペースが上がってタフなレースでプラスに働くので、先行馬比率が小さいレースは向きません。つまり、距離短縮の先行馬の評価を下げることができるのです。一方、先行馬比率が50%を超えるようなレースになると、どうでしょうか?
──まずは差し馬から軸を探すと思いますが…。
みねた: そうですね。ただ、タフなレースになると距離短縮の先行馬を狙うケースも出てくるので、こちらも精査しなければなりません。また、競馬は先行有利が基本なので、相手には強い先行馬を選ぶケースも多い。先行馬比率が高いレースは見るべき対象が増えるので、レースの難易度が高いのです。
──だから「初心者の方は、先行馬比率が小さいレースから」ということなのですね。ここまででかなりのボリュームとなったので、「ゴーマックス個体として狙える理由」については次回、教えてください。