プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回は毎日王冠の展望と連載100回記念インタビュー「今、狙えるオッズ帯」をお届けします。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
★今週の重賞ピックアップ★
10月8日東京11R 毎日王冠・芝1800m
毎日王冠は東京芝1800mで施行。初角まで約157mと極めて短い「コースパターンA」のコースで、先行争いにおいては内枠が有利です。
前走の通過順位に3番手以内があるのはウインカーネリアン、エルトンバローズ、バビットの3頭。先行馬の占有率は23%と低く、この3頭が内枠をひいたら、かなり有利になるでしょう。
この3頭の比較なら、前走の安田記念で0.7秒差・8着と期待値の取れそうな負け方をしているウインカーネリアンが面白そう。G1→G2と格が下がりますし、展開利も見込めるここで、想定通り10倍前後あるなら期待値は取れそうです。
エルトンバローズは目下3連勝。連勝馬は一般的には期待値を取りにくい存在ですが、想定オッズの6番人気・14倍前後なら、狙ってみる価値はあるでしょう。
人気を分け合うのは現役のトップマイラーの2頭、シュネルマイスターとソングラインでしょうか。先行馬が少ない今回、完全な後方待機型であるシュネルマイスターよりも、展開的には道中で動いていけるソングラインに分がありそう。
ソングラインはテレグノシスを彷彿とさせる東京巧者で、個人的にも好きな現役馬の一頭。牝馬で57キロを背負う点、そしてどちらかといえば叩き良化型で前哨戦から仕上げていくタイプではない点が懸念材料ですが、それでも2番人気で買えるなら。
一方のシュネルマイスターは、脚質的にはペースが上がりやすい本番向きのタイプではありますが、フレッシュな状態の時に走る傾向もあり、能力で好勝負に持ち込む可能性は十分にあります。
道中で動ける差し馬ということであれば、ジャスティンカフェも有力候補。ここ2戦は、9-8-7から2着、15-14-11から1着と、自分で動いて勝ち負けに持ち込んでいます。
メンバー全体を見渡すと、先行馬3頭の後ろを取りそうな、道中で4~6番手を走っている馬がいないのがポイント。前を行く馬が恵まれやすいのは当然として、スムーズに加速しやすい分、捲りタイプも乗りやすそうです。
いずれにせよ、「コースパターンA」という特徴あるコースなので、枠順が大きな鍵を握ることになるでしょう。先行馬は内枠が欲しいところです。
【枠順確定後注目馬】
1 シュネルマイスター
4 アドマイヤハダル
6 エルトンバローズ
7 ウインカーネリアン
8 ジャスティンカフェ
10 ソングライン
1シュネルマイスターは最内枠を引いてロスなく立ち回れそう。10ソングラインは7枠で抜けた1人気なら取りこぼしを期待して高めを待ちたい。マイル路線で現役屈指の力を持っている2頭が出走するが、脚質的にどちらかが差し届かずの場面を狙った方が期待値は高いと見る。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言100
連載100回記念インタビュー(1) 今、狙えるオッズ帯
──このコラムをもって、連載100回となりました。おめでとうございます!
みねた: ありがとうございます。100回というと…約2年ですか。1度も休まず、100回を迎えられたのは嬉しいですね。そういう場を作っていただいた亀谷さんには本当に感謝しています。そして何より、読者の皆さんに感謝しなければなりません。もし、皆さんが読んでくださらなかったら、とっくの昔にコラムは打ち切りになっていたでしょうから。
──実際にコラムや予想配信をここまで続けてみて、率直にどのような感想をお持ちでしょうか?
みねた: 「予想家って大変だなぁ」と再確認しました。もし、自分が予想家ではなく一般の馬券ファンという立場だったら、前日オッズをチェックしたら22時には就寝して、翌朝6時から直前オッズを見つつ馬券を買っていく…というスタイルだったはず。事前予想でも精度を高めるためには、予想提出のギリギリまでオッズを確認する必要があるので、そこは体力的に大変な部分ではあります。
とはいえ、それは予想家であれば当然のことなので苦にはなりません。ただ、明け方に、瞼が重くなりながら、予想原稿を執筆するのは苦行だな、と思う時はありますけど(笑)。
──私も元出版社の人間なので、明け方に作業する辛さはなんとなく想像できます。
みねた: ただ、原稿を書くのは大変ですが、このコラムも含めて思考を言語化する習慣ができたのは、自分にとっては非常にプラスに働いています。そうすることで、考えを整理できる部分はありますし、見たくない部分とも嫌でも向き合うことになるので。
──見たくない部分とも嫌でも向き合う?
みねた: やはり、外れたレースというのは目を背けたくなりますし、自分の中で失敗したと薄々感じているのであれば尚更です。
例えば、先日のセントウルSは、4頭しかいない「先行意識の高い馬」が馬券内を独占したのに、唯一、馬券に絡まなかった馬を選んでしまいました。週中に事前に展望して予想原稿で言語化をしていると、こうした失敗を嫌でも直視せざるを得ませんから、それは自分のレベルアップに役立っている実感はありますね。
──連載開始から約2年、この間にもAIの普及やインフルエンサーの登場など、さまざまな変化がありました。「以前よりオッズが辛い」なんて言葉もよく耳にします。
みねた: もちろん情報が増えて、全体のレベルアップは図られているように思います。だからこそ、私も遅れを取らないよう、自分が予想しやすいツールを開発することで時短して、予想の精度を上げられるよう頑張っているつもりです。
ただ、パリミュチュエル方式という日本競馬の本質を考えると、「以前よりオッズが辛い」という意見に全面的には賛同できません。以前より売れている馬がいれば、その反対に、以前よりも売れていない=オッズが甘い馬が存在するからです。「以前よりオッズが辛い」のは、その方が活用されている特定のファクターが浸透したということでしょう。
──それ以外のファクターで、甘くなっている部分を探すべきということですね。
みねた: そうですね。スロットも時代によってルールも変われば機種も変わるので、勝ち続けるためには変化が求められます。情報をアップデートする必要があり、そのためには正しい知識が必要になります。これは、ギャンブルで食べてきた経験がある人間にとってはごく当然のことなのですが、そうでないと状況の変化に戸惑ってしまうでしょうね。
──今、その変化を肌で感じている部分はありますか?
みねた: 単勝50倍以上の大穴が甘くなっている感覚はありますね。中穴ゾーンともいえる単勝10倍前後の馬が4~5倍しかつかないケースが増えている一方で、40倍前後と想定していた馬が50倍以上ついているケースが目につきます。50倍以上のゾーンは好走率が低く、オッズでカットされやすい傾向があるので、結果的に甘くなっているのではないかと睨んでいます。
ただ、難しいのは、いくらオッズが甘く期待値があるといっても、好走確率が50回に1回ぐらいのゾーンなので、ここに「厳選勝負レース」の照準を当ててしまうと、2か月に1回当たるか当たらないというレベルになってしまう。配信予想は的中率にもこだわっているので、「配信には向かないオッズ帯に期待値がある」というジレンマがあるのです。
──確かに、ユーザー目線だと、コンスタントに的中して欲しいというニーズがありますもんね。
みねた: だから、「厳選勝負レース」で単勝50倍クラスに馬を◎にして仕留められた時は気持ちいいし、それを信じて乗ってくださったユーザー様には「信じてくれてありがとう」という気持ちにもなります。
いずれにせよ、現状は50倍以上のオッズ帯が甘くなっているので、個人で馬券を楽しむ際は、少し穴目に寄せるほうが長期的には回収率が取れるのではないかと思っています。
(次回に続く)