プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「2歳戦で穴を獲りやすいメカニズム」について”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
阪神ジュベナイルフィリーズは阪神芝1600mで施行。初角までの距離は400m以上あるので、先行争いにおける内外の有利不利は少ないコースです。
登録馬が26頭と多いので、現段階で展開面の話はしにくいのですが、人気馬を中心にしっかり差す競馬をしている馬が揃っている点に目がいきます。それだけ、レベルが高いことを意味しているので、今から来年のクラシックが楽しみになりますね。
1番人気想定はボンドガール。2着チェルヴィニア、3着コラソンビートがのちに重賞を制しているように、新馬戦は超ハイレベルな一戦でした。それを思えば前走は案外ですが、7番手としっかり差す競馬を覚えさせた点は評価できます。前走勝っていれば断然人気が予想されたので、敗戦で妙味が出ると捉えるなら、◎にする価値はあるでしょう。
シンプルに好位差しを狙うならアスコリピチェーノ、コラソンビートの2頭でしょうか。ともに前走で好位から脚を使って重賞を制しています。特にアスコリピチェーノが想定通り10倍前後なら期待値は取れるのではないでしょうか。
さらにシンプルに、前有利と見込むのであればキャットファイト。人気どころが牽制しあう展開になれば粘り込む可能性も。新馬戦はボンドガールに完敗でしたが、無理をさせない新馬戦での戦歴はあまり気にしなくてもよいでしょう。
G1レベルの戦いではタフな経験が生きてきます。それだけに、1800m以上の距離を使ってきた馬は見逃せません。例えば上位人気勢であれば、未勝利戦で1800mを勝ち切っているサフィラ。少し人気し過ぎの感はありますが、当然、上位争いの資格がある一頭でしょう。
1800mの新馬戦で、外に張られる不利を受けながらも勝利したステレンボッシュにも注目。2戦目は4-6-6と道中で脚をためる競馬を試みて2着し、前走はしっかり勝ち切りました。能力的にも足りる馬で長い距離への経験も豊富。そして想定オッズの9倍前後なら、狙いやすい存在ですね。
さらにタフな経験に着目するならルシフェル。デビュー3戦が1800m→2000m→1800mで、特に2戦目は8-8-2-1と捲る強い内容でした。デビュー2戦はローカル場だったので、京都コースの萩Sを勝ち切った点も魅力。こちらも11倍あるなら楽しみです。
冒頭に書いた通り、ハイレベルなメンバーが揃った一戦。レベルが高いということは、各馬が勝ちに来るということなので、紛れが生じやすくなります。つまり波乱の余地があるということなので、しっかり精査して正解に辿り着きたいですね。
【枠順確定後注目馬】
1 コスモディナー
7 アスコリピチェーノ
10 コラソンビート
13 カルチャーデイ
14 サフィラ
15 ナナオ
牡馬相手の重賞で差して勝ち上がって来たアスコリピチェーノやコラソンビートが居て今年の牝馬はかなりレベルが高く楽しみなレース。
並びからは10コラソンビートが有力も1人気で配当妙味があるかに焦点。穴馬台頭の可能性も模索したい。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言109
2歳戦で穴を獲りやすいメカニズム
★ピックアップレース★
11月11日 京都11R デイリー杯2歳S(芝1600m)
◎10エンヤラヴフェイス
○4ダノンキラウェア
▲8フルレゾン
△9カンティアーモ
☆2ジャンタルマンタル
注6テイエムチュララン
[参考買い目]
単 勝 10
ワイド 10 – 4、8、9
馬 連 10 – 4、8、9、2、6
3連複 10 – 4、8、9 – 4、8、9、2、6
──今回はデイリー杯2歳Sについてお話を伺います。◎エンヤラヴフェイスが8番人気2着と好走して☆◎の馬連は42.7倍でした。
みねた:感想としては『2歳戦は逃げハサミがよく決まるなぁ』ですかね(笑)。
──たしかにみねたさんは世代限定重賞に強い印象があります。
みねた:要するに、「前走で差している馬が強い」ということなんでしょうね。これは何度も連載でお話ししていると思いますが、2歳戦において「差した経験がある」「馬込みで競馬をしたことがある」というアドバンテージはとても大きいのです。
──このレースでは、11頭中8頭が「前走3番手以内経験馬」でした。1〜3番人気に支持されていた1戦1勝馬もすべて含まれています。
みねた:対してエンヤラヴフェイスは前走の新潟2歳Sで、8-11と道中で位置を下げながら0.9秒差の7着まで盛り返していて、金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」に該当していました。道中でスムーズさを欠きながらも最後まで走り抜くメンタルは、キャリアの浅い2歳馬同士では大きなアドバンテージになりますよね。
──その新潟2歳Sでは3番人気に支持されていた馬ですから、この8番人気は人気を落とし過ぎだったのかもしれません。
みねた:新馬戦は0.8秒差の圧勝で、前走欄を手で隠して予想したら、1番人気になってもおかしくないですよね。1戦1勝馬が過剰に人気しがちで、その馬が負けた途端に、これまた過剰に人気を落としがちというのは、2歳戦の一つの特徴でもあります。
──ほかに、2歳戦ならではの特徴ってありますか?
みねた:AIが参入しにくい、というのはあるのかもしれません。AIの強みの一つは、膨大な過去データも見逃さずに精査できる点だと思いますが、情報の少ない2歳戦ではその強みが生きません。結果として、シンプルに展開読みや期待値の取りやすいパターンでの穴馬狙いがハマりやすいという部分はあると思います。
──キャリア1戦の馬の取捨選択は難しいですよね。あっさり1戦1勝の人気馬が勝つことがある反面、あとから振り返ると「なんでこの馬がこんなに人気していたのだろう?」と思うようなケースもあったりして。
みねた:ちょっとした情報で過剰なまでに人気することが多いように思います。良血馬はもちろんですが、インフルエンサー的な人が推したとか、騎手が「乗り心地がいいよ」と褒めたとか。
──たしかに、札幌2歳Sのガイアメンテ(1番人気6着)も、新馬戦の後に武豊騎手が絶賛していた記事を目にした記憶があります。
みねた:武豊騎手のコメントは影響があるでしょうね。その結果、人気が人気を呼ぶような状況も生まれてきます。2歳戦はAIが苦手な分野であり、それを人間の脳みそで判断するとなると、どうしてもエモーショナルな要素に引っ張られがちですが、しっかり自分の目で見て、自分で考えて判断をくだすようにしたいですよね。
──自分で判断というのもなかなか難しいですが、例えば2歳戦だとラップタイム分析などを使ったりするのでしょうか?
みねた:仔細にラップを分析することはあまりしませんが、使える最大の脚をみるという発想は持っています。例えば、1800m走ってのラスト3F34.6秒と1400m走ってのラスト3F34.4秒ならどちらの価値が高いのだろう、みたいな考え方ですね。
──デイリー杯2歳Sに話を戻しますと、1番人気の☆2ジャンタルマンタルが勝利し、エンヤラヴフェイスが2着。2列目以降に、1〜3番人気の1戦1勝馬は3頭とも入れていましたね。
みねた:8番人気馬が◎なので、人気馬を無理に消しにいく必要はないですからね。上位人気3頭のうち2頭は、粘りを補完するという意味で、距離短縮ローテというのも良かったので消しにくかったです。とはいえ、仮に、上位人気馬の1戦1勝から選択して◎を打っていたら、ほかの1戦1勝馬の評価は下げていたはずです。
──最後に3着馬ナムラフッカーについて。この馬が拾えていたら3連複395.8倍が拾える未来もありましたが。
みねた:この馬は未勝利勝ち時に単勝万馬券を出しているように、穴属性を持つタイプではあるんですよね。先行馬並びの中枠という苦しい並びではありますが、距離短縮ローテで相殺できるという見方もできます。馬単体でみたら買える要素はありました。
ただ、先ほども申し上げた通り、人気薄◎から入っている分、届かなかったというのが正直なところです。もし、上位人気勢を危険と判断できる根拠があれば、大穴を狙う選択肢も出てきたでしょう。それぐらい、馬券の買い目というのは複合的な要素が絡み合っているので、本当に奥が深いものなんですよね。まだまだ勉強です。