プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「みねた流・レース回顧」について”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
朝日杯フューチュリティSは阪神芝1600mで施行。初角までの距離は400m以上あるので、先行争いにおける内外の有利不利は少ないコースです。
先週の阪神ジュベナイルフィリーズは「人気馬を中心にしっかり差す競馬をしている馬が揃っている」と書きましたが、今回は、前走で3番手以内を取っている馬が9頭と揃いました。そこには上位人気が目される馬も含まれています。
展開面を考えると、しっかり差せる馬が良く、捲りタイプよりも道中で脚をためるタイプに分がありそうです。
想定1番人気のダノンマッキンリーは、数少ない「差して勝ってきた」人気馬。あとは昇級戦、距離延長がどうか。
シュトラウスは前走の東スポ杯2歳Sで3番手からの抜け出し。ただ、この馬は距離短縮ローテのぶん、前走先行が不利には働かないとみます。折り合いが難しいタイプなので、先行馬が揃った点はむしろプラスでしょう。5倍前後なら期待値が取れるのでは。
ジャンタルマンタルは新馬→デイリー杯2歳Sと連勝中。デビュー戦で1800mを使われていることから陣営の期待度の高さが窺えます。同距離ローテも悪くなく、大きな減点材料は見当たりません。買い目からは外しにくいタイプで、オッズ次第というところ。
道中で脚をためられるタイプで真っ先に目がいくのはエンヤラヴフェイス。前走のデイリー杯2歳Sでも8番人気2着と◎の期待に応えてくれましたが、再度、手頃な人気に落ち着きそう。そのデイリー杯2歳Sは4-6-6から2着と、しっかり脚をためる競馬でした。
脚をためられる差しタイプという意味では、デイリー杯2歳Sの3着馬ナムラフッカーと新潟2歳Sの3着馬クリーンエアも該当。ただ、この辺りを狙うのであれば、相対的に、前走で実際に先着しているエンヤラヴフェイスの方が上かなという印象はあります。
2、3歳の世代限定戦では、戦法がさだまっている馬にも注目。デビューから3戦続けて逃げているのがセットアップです。先行馬が揃っているので、距離短縮ローテになるのも悪くありません。後続が牽制しあうようなら一発の可能性は十分あるでしょう。
メンバー構成をみる限り、比較的、狙うべき選択肢は限られている印象なので、並びや人気も踏まえて、結論を導き出したいと思います。
【枠順確定後注目馬】
2 ミルテンベルク
3 ジャンタルマンタル
5 タガノエルピーダ
6 セットアップ
8 ダノンマッキンリー
15 エンヤラヴフェイス
17 シュトラウス
並びからは人気馬が良さそうで的中率と回収率のバランスという観点からはかなり難しい1戦になった。
ただ期待値という点では想定していたより人気馬に人気が偏って高配当を狙うなら面白いレース。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
■みねたの金言110
みねた流・レース回顧
★ピックアップレース★
12月3日 中京11R チャンピオンズカップ(ダート1800m)
◎4テーオーケインズ
○2メイショウハリオ
▲9クラウンプライド
△14アイコンテーラー
☆6グロリアムンディ
注15レモンポップ
注11ハギノアレグリアス
[参考買い目]
単 勝 4
ワイド 4 – 2、9、14
馬 連 4 – 2、9、14、6、15、11
3連複 4 – 2、9、14 – 2、9、14、6、15、11
──みねたさんのレース回顧を聞きたいというリクエストの声を耳にしました。そう言われると、当コラムでもレースを振り返っていますが、「的中へ至る思考」中心で、レースそのものの回顧はあまりしていないなぁと。
みねた:なるほど。たしかにそうかもしれませんね。
──そこで今回は、的中レースではなく、直近のG1レース、チャンピオンズカップについてレース回顧をお願いしたいと思います。
みねた:わかりました。ただ、チャンピオンズカップに関しては「レモンポップが強かった!」に尽きるかなと。
──初距離、大外枠という課題を克服して、1番人気のレモンポップが逃げ切りました。
みねた:初角までの距離が短い「コースパターンF」で問題なのは、道中で外を回らされるリスクです。内を取り切れるかどうかが鍵なので、行き来ってしまえば、そのマイナスは解消されますよね。菊花賞のドゥレッツァも同様で、17番枠は厳しいかと思いましたが、ハナを切って内に入れることでマイナスを消してしまいました。
──並び的にはすぐ内にも先行馬のケイアイシェルビー、アイコンテーラーと並んでいたので、雁行状態になって苦しいかなと思っていました。
みねた:アイコンテーラーが控えるのは予想外でしたが、おそらく先行馬が多いこともあって、差しに回ったほうが勝てる可能性が高いと踏んだのではないでしょうか。
それとは対照的に、レモンポップの坂井騎手は強い気持ちで出していきましたね。テン12.5秒で行き切れたのは幸運だったと思いますが、2ハロン目に11.0秒を刻んでいるので、やっぱり強かったということです。
ただ、初距離と大外枠が不安要素であったことには変わりなく、例えば、内の馬に張られて外の3〜4番手だったら、「好位まま」という競馬に終わったかもしれません。未知の要素は人気薄であれば目を瞑れますが、1番人気では看過できないので、私には、3.8倍では(◎にするのは)難しかったですね。
──2着のウィルソンテソーロについてはいかがですか?
みねた:前走差しの馬はメイショウハリオ、ウィルソンテソーロ、アーテルアストレア、ハギノアレグリアス、セラフィックコールの5頭しかいなかったので、穴で押さえておいて損はない馬でした。特にメイショウハリオ、ウィルソンテソーロ、ハギノアレグリアスは「逃げ馬の外」だったのでなおさらです。◎レモンポップであれば、この馬連は手が届くし、届かないといけないでしょう。
──もう少し詳しく教えてください。
みねた:「対抗以下は◎によって変わる」「展開から逆算して印を組み立てる」という話です。レモンポップが◎なら、この馬がほかの先行馬を潰す展開が想定できますよね。強い逃げ馬→差しの穴馬というのは、基本パターンの一つです。
◎レモンポップであれば、先ほど名前を挙げた「差し馬」かつ「逃げ馬の外」だったメイショウハリオ、ウィルソンテソーロ、ハギノアレグリアスは有力な相手候補に入ってきます。
──そして◎の期待をかけたテーオーケインズは4着でした。
みねた:ロスなく完璧に乗ってくれました。それで4着なら仕方ありません。競馬というのは相対的な競技なので、いくら自分の◎が100%の競馬をしたとしても、人気馬たちにも100%の競馬をされてしまったら敵いませんから。
今回なら、レモンポップが強いのはわかっていましたが、枠や並びから100%の競馬はできないだろうと見込んでいました。それが、坂井騎手の強い決意での逃げ、そして内の馬が控えたことも相まって、結果的に100%の力を出されてしまった。ただ、「高期待馬を狙う」というのは、人気馬が負けるのを狙う行為なので、人気馬がうまくいったケースは諦めるしかありません。
──では最後に、全体的な総括みたいなものがあればお願いします。
みねた:2番人気のセラフィックコールは、この枠だと外を回ることになって厳しいだろうと想定していましたが、その通りの結果になりました。やはりこのコースは、道中で外を回る形はかなり不利ですね。
2着のウィルソンテソーロは13番手からの追い込みでしたが、スタートで出負けしたこともあり、道中はイン追走でした。3着の5ドゥラエレーデは外の2番手で、4着5着のテーオーケインズ、メイショウハリオも内で脚をためる形。道中の位置取りは競馬新聞などの通過順位をみればわかりますが、内外についてはわかりません。
このレースは「どこを通ったか」の重要性が凝縮されていたので、ぜひ、レース映像やパトロールビデオでチェックしてみてください。