プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「みねた流・レース回顧」について”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
※次回の更新は1/9(水)を予定しています。お楽しみに!
今回が年内最後の更新ということで、ご愛読いただいている皆様に、まずは御礼申し上げます。
2021年に予想業に復帰して以来、ずっと『亀谷競馬サロン』にはお世話になっていて、『ここはパワースポットだ!』なんて話してきましたが、2023年もそれを一層、実感する一年でした。
サロンのゲストとして呼んでいただいた際には、たくさんのエネルギーをもらっていますし、このコラムが出発点となって、単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』を送り出すこともできました。
2024年も、皆様のお役に立てるよう、一層、自分自身を高めていきたいと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします。
★今週の重賞ピックアップ★
12月24日中山11R 有馬記念 芝2500m
いよいよ今週末はグランプリ有馬記念。競馬ファンなら、誰もが特別な思いを持っているレースですよね。
私が最も印象に残っているのは2000年。厳しい包囲網で4コーナー11番手と絶望的な位置にいたテイエムオペラオーが、馬群を切り裂いてハナ差で差し切ったレースです。これぞ展開無視。観たことがない方には、ぜひ、動画で観て欲しいレースです。
馬券的に嬉しかったのは2002年。13番人気のタップダンスシチーを高く評価していたため、148.3倍の馬連と405.7倍の3連複を仕留めることができました。
今年はどんな有馬記念になるのか、今からレースが楽しみです。
有馬記念は中山芝2500mでの施行で、初角までの距離は200mを切っており、先行争いにおいて内枠が有利なコース。枠順抽選で、内枠をひいた陣営が喜び、外枠をひいた陣営が落胆する姿は、一種の風物詩です。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。メンバー構成的には、前に行ける馬が有利といえるでしょう。ただ、暮れの開催で馬場の内側が荒れるせいか、近年は捲りも決まっている印象。イメージとしては、序盤の1500mぐらいは内で脚をためて、3コーナーから進出していく競馬が理想でしょうか。
素直に前有利で取るならタイトルホルダーに注目。先行馬が少ないメンバーなので、ため逃げをするよりも速いペースを刻んで捲りを打たせないタイプの逃げがベター。そしてその競馬ができる逃げ馬がタイトルホルダーです。同様に、自力で動ける先行馬ならプラダリア。想定12番人気はナメられ過ぎという印象です。
ジャスティンパレスは前走こそ10番手からの差しでしたが、あれは全体の流れが速過ぎただけ。本来は、道中で捲り上がっていけるスタミナ型で、このレースの傾向に合致しています。問題は、大レコードとなった天皇賞(秋)の上位組は、イクイノックス以外は軒並み、次走で凡走している点。反動さえなければ好勝負になるでしょう。
スルーセブンシーズも捲れるタイプで当然注目。凱旋門賞は惜しかったですね。イクイノックスとタイム差なしの実績は光るものがあり、想定通り6番人気前後なら。
3歳の総大将はタスティエーラでしょうか。前半ためて、後半は自力で動いていける自在性に富んだタイプ。それだけに、枠順の影響を受けにくく、安定感があります。斤量56キロは有利で、鞍上はムーア騎手。人気でも切るのは難しそうです。
ソールオリエンスも菊花賞では自力で動いて3着と進境を感じさせました。3歳牡馬2頭の比較ならタスティエーラがやや上という印象もありますが、キタサンブラックの血は侮れません。
1番人気はスターズオンアースでしょうか。G1のルメール騎手というだけで外せない印象ですが、17番枠から3着に突っ込んできたジャパンカップをみても、非常に能力の高い馬。ただ、今回はかなりメンバーが揃った印象なので、そこで1番人気が見合うかどうか。
色々と御託を並べてきましたが、有馬記念ですから、「好きな馬を買う」で良いと思います。
最近は差し有利の傾向も相まって、外枠でも乗り方次第では何とかなる印象もあるので、外枠という理由だけで、簡単に諦める必要もありません。
ただ、自分の買いたい馬は、やっぱり内に入って欲しいですけどね(笑)。
【枠順確定後注目馬】
1 ソールオリエンス
4 タイトルホルダー
5 ドウデュース
10 ジャスティンパレス
11 ハーパー
13 タスティエーラ
16 スターズオンアース
枠に左右されるレースではあるが朝4時時点のオッズで16スターズオンアースが7人気、13タスティエーラが5人気と必要以上に枠による不利がオッズに反映されてしまっている印象。
ここまでオッズに枠の不利が反映されているなら逆張りをするのも一手。馬券的にかなり面白い並びになった。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
みねたの金言111
「条件好転」とその逆
★ピックアップレース★
12月17日 中京9R 寒椿賞 ダート1400m
◎8サフランヒーロー
○10ラムジェット
▲5オコタンペ
△4ニシノアウェイク
☆3レオテミス
注1ディーノサンライズ
[参考買い目 ]
単 勝 8
ワイド 8 – 10、5、4
馬 連 8 – 10、5、4、3、1
3連複 8 – 10、5、4 – 10、5、4、3、1
──先週の寒椿賞は○◎▲の本線決着となり、ワイド7.5倍&12.5倍、馬連28.3倍、3連複51.9倍の的中となりました。1番人気の6タイセイリアルを無印にしての○◎▲決着は、会心と言っていいのではないですか?
みねた:ありがとうございます。これは◎8サフランヒーローにかなり自信がありました。朝4時の時点で36倍あった単勝オッズが20.1倍まで下がってしまいましたが、それでも十分に期待値が取れていたと思います。ただ、予想の手順としては、これまでお話ししてきた通りだったはずです。
──では、順を追って教えてください。
みねた:このレースのポイントは、中京ダート1400mという「芝スタートのダートコース」であること。スタートしてから180m近く芝を走るので、全体の7分の1弱は、ダート馬が得意ではない芝を走らなければならないわけです。しかも、スタート直後というポジション争いに大きな影響を及ぼす区間がそれに該当しているわけですから、「芝の走りがどうか?」という視点が重要になりますよね。
──◎8サフランヒーローは芝でデビューして2着を2回続けた後、ダートに替わって勝ち上がっています。
みねた:芝の新馬戦では3番手を取れるスピードをみせていました。今回は、距離延長でもあり、前走よりも楽にポジションを取れる可能性は高かったですね。さらに、勝ち上がり直後に芝のOPを使われ0.9秒差の7着、そして前走は中山ダート1200mの1勝クラスを6着という臨戦でしたが、この「昇級後の自己条件で敗退」というのは期待値が取りやすいパターンでもありました。▲5オコタンペも同様ですね。
──よくみてみると、▲5オコタンペも◎8サフランヒーローとそっくりな臨戦過程ですね。芝で2戦好走後にダート替わりで勝ち上がり。そして昇級初戦で敗退。
みねた:昇級後の1回の敗戦で人気を落とす馬は多いですよね。ただ、昇級初戦はペースの変化に戸惑ったけれど、クラス慣れして走れるようになるケースはザラにあります。昇級初戦で人気になりながら掲示板前後で負けた馬は、オッズを落としたところで狙いやすい存在ですよ。
──馬はクラスに慣れてパフォーマンスが上がるのに、人気は落ちるなら好都合ですよね。
みねた:一方で、「逃げ切り圧勝での昇級初戦」みたいな馬は、オッズが下がり過ぎて期待値が取りにくい存在です。といっても、逃げ切りからの昇級戦がすべてダメということではなくて、このレースの6タイセイリアルも2.6倍では期待値は取りにくいよね、という話です。あと、6タイセイリアルの場合は、前走が東京ダート1600mで大外16番枠からの勝利だったという点もマイナス材料でした。
──初角までの距離が長くて芝スタートでもある東京ダート1600mは外枠有利のコースですもんね。
みねた:前走から条件が良くなることを「条件好転」と言いますが、このレースの6タイセイリアルは、前走が有利過ぎる枠で、今回は特に有利ではない中枠と逆ベクトルですから。その点、8サフランヒーローの前走は外枠有利の中山ダート1200mで1番枠からの敗戦でした。不利な枠で後方からの競馬を強いられた前走から、今回は、外目の7枠8番なので、文字通りの「条件好転」です。
──今走の枠の有利不利という概念はかなり浸透してきている印象ですが、前走の枠から今走の枠の変化をチェックする視点は、まだそれほど意識されていないのかもしれません。
みねた:特に人気馬の取捨において大事だと思います。「有利な16番枠で勝って人気しているなら、過剰人気の可能性が高いよね」という判断材料ですね。
──○評価の10ラムジェットについても一言お願いします。
みねた:これは「逃げハサミ」です。加えて言えば、この馬も昇級後に人気で2戦負けての臨戦でした。前走はゴール前で不利があって1番人気を裏切ってしまいましたが、「逃げハサミ」のメリットは「不利を受けにくい」ですからね。外枠の逃げハサミであれば、今度はスムーズな競馬ができるだろうと考えましたが、2番人気とは、皆さん、馬券が上手だなぁと感心しました(笑)。