プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は「期待値を取りにくい前走1.5~1.9秒差負け」です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください!
▼今週の重賞ピックアップ
1月14日京都11R 日経新春杯 芝2400m
日経新春杯は京都芝2400mでの施行。初角となる1コーナーまで600mほどあるため、先行争いにおいて、内外の有利不利はありません。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはサヴォーナだけ。メンバー構成的には先行馬が有利、即ち、展開的にはサヴォーナに分がありそうです。
菊花賞組が上位人気を形成し、サトノグランツが1番人気に推されそうですが、その比較で考えた時、サヴォーナの推定2番人気は、十分に妙味があるように思えます。
対して、サトノグランツやハーツコンチェルトは、先行馬の少ないメンバー構成ではあまり有利とはいえない「道中で脚をためるタイプ」という点がどうか。
大手サイトの推定オッズを眺めて目がいくのはヒンドゥタイムズの12番人気・34.8倍という数字。前走の京都大賞典は0.2秒差4着と期待値の取れる負け方でもあり、このオッズならかなり期待値を持っていそう。実際にはこれより売れると思うので、オッズ次第という結論になりそうです。
同じ京都大賞典組ならブローザホーンも面白そう。その京都大賞典は心房細動で競走中止でしたが、一般的に心房細動で大敗後の馬は、期待値を取りやすい傾向があります。この馬の場合、大敗ではなく競走中止なので、度外視するファンも多いと思いますが、それでも2走前の圧勝劇の印象は多少なりとも薄れるでしょう。能力は高い馬なので、巻き返しに期待する手も。
前走が煙幕になるという意味ではリビアングラスにも注目。菊花賞4着後、前走の3勝クラスでよもやの7着でした。不可解な敗戦ではありますが、能力を出し切れば前出の菊花賞4着やサトノグランツにタイム差なし(京都新聞杯3着)の走りができることも確か。その点に賭けて、本命候補にすることもできるでしょう。一方で、このまま不振に陥っていくケースもあり得るだけに、今回が試金石の一戦となりそうです。
仔細な分析はこれから行っていきますが、明け4歳勢のレベルが低いと判断できた場合、アルゼンチン共和国杯0.4秒差7着のレッドバリエンテあたりも狙い目となってくるでしょう。
今年から、競馬放送局での勝負レース提供時間を遅らせていただき、午前のオッズを確認できるようになりました。その分、人気薄を狙いやすい環境になったので、このレースもギリギリまで妙味を見極めたいと思います。
【当日注目馬】
6 ディアスティマ
7 ハーツコンチェルト
9 カレンルシェルブル
11 ヒンドゥタイムズ
12 シンリョクカ
13 サヴォーナ
14 サトノグランツ
3歳馬の斤量が恵まれた印象のレース。前走前で競馬した馬が少ないメンバー構成で早め動ける馬か前で競馬出来る馬が有利と見る。荒れそうハンデ戦で穴馬も絡ませて勝負したい。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言112
期待値を取りにくい前走1.5~1.9秒差負け
★ピックアップレース★
12月9日 阪神10R 赤穂特別 ダ1800m
◎8ワンダフルトゥデイ
○5テーオーサンドニ
▲10サンライズジャスト
△12ヒノデテイオー
☆9ワンダーブレット
注13エアメテオラ
[参考買い目]
単勝 8 2000円
ワイド 8-5.10.12 各1000円
馬連 8-5.10.12.9.13 各500円
3連複 8-5.10.12-5.10.12.9.13 各300円
――今回が新年一発目の更新、あけましておめでとうございます。
みねた:あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
――スケジュールの関係上、昨年のレースを取り上げます。12月9日の阪神10Rは◎8ワンダフルトゥデイが4番人気2着で、クビ差で単勝こそ逃しましたが、ワイド8.8倍&28.5倍、馬連38.2倍、3連複240.2倍を見事に的中し、参考買い目で128,460円の払い戻しになりました。このレースの予想手順について伺っていきたいと思いますが、まずは◎8ワンダフルトゥデイにした思考からお願いします。
みねた:これはいわゆる「逃げ横」ですね。逃げ・先行馬の外側は内の馬が進路を作ってくれるので、スムーズに運びやすく、内にも潜り込みやすく有利です。そしてこのレースでは、「前走の通過順位に3番手以内がある馬」が、4サンライズグルーヴ、5テーオーサンドニ、6マルベリーシチー、7フェブランシェと4頭も並んでいました。内からこの馬たちが先行していけば、すんなり内に潜り込めるであろうことは予測できました。
――金言18「同型脚質並びの隣の別脚質馬」ですね。
みねた:この時には、「同じ脚質の馬が並ぶと不利」とお話ししました。私は、単純なペースの速い遅いよりも、競り合いの有無が消耗度に繋がると考えています。極論すれば、1頭で気持ちよくハナを切った33.0秒よりも、雁行状態で記録した34.0秒の方が馬にとっては厳しいということですね。先行馬が並んで配置されると、どうしてもポジション争いのための競り合いが生じやすくなりますし、差し馬同士が並んだ場合でも、スムーズな進路取りを巡っての争いは生じやすくなります。
――レース映像をみると、まさに内側にいた先行馬が揃って出していき、◎8ワンダフルトゥデイはノーストレスでレースを進めることができています。
みねた:内側に空間があったのに、砂を被りたくなかったからか、内に入れずに進めたのは誤算でした。結果的には、道中で内に潜り込んだ10サンライズジャストにクビ差負け。単勝に厚くいっていたので残念です。
――実際に、レース後の(サンライズジャストに騎乗した)藤岡康太騎手の談話をみると、「前がやりあうと思っていた」と書かれていて、狙い通りの騎乗だったようですね。お聞きしたいのは、「予想の優先度」についてなんです。というのも、このレースには、3トウキチロウと14ラブスピールという、2頭の「逃げハサミ」がいました。ですが、みねたさんは2頭ともに印を打っていません。読者の中には、「逃げハサミ」の馬を◎にして馬券を組み立てた方もいらっしゃると思うので、説明していただければと。
みねた:もちろん「逃げハサミ」なので◎候補として検討していますよ。そして、「逃げ横」も◎候補として検討しています。どちらも同じレベルで重視していますが、発生頻度を考えると「逃げ横」の方が使い勝手は良いかもしれませんね。このレースの場合、単純に「逃げ横」である8ワンダフルトゥデイの方が期待値を取れると判断したのが、◎にした最大の理由です。
――詳しく教えてください。
みねた:先ほどお話しした通り、この馬の場合、単なる「逃げ横」ではなく、4頭並びの「逃げ横」です。シンプルに、自身の内側に入る先行馬が多ければ多いほど、内に進路を取りやすく、かつ並んでいる先行馬たちは消耗しやすくなるので有利ですよね。
――パチンコの連続予告じゃないですが、並びの頭数は多ければ多いほど良いと。
みねた:はい。その解釈で問題ありません。毎回、先行馬のカウントをされている方は実感されていると思いますが、先行馬の4頭並びは結構なレアケースなので、その段階で期待値がありました。加えて、0.9秒差・11着と金言9「前走僅差の6着以下」にも当てはまっています。さらに、2走前、3走前には現級で2着3着があり、能力が足りることも証明されています。
――並び+αの買い材料があったわけですね。
みねた:そういうことです。「逃げハサミ」や「逃げ横」だけで◎に選ぶわけではなく、そこに期待値を取れるファクターが加わって、はじめて◎になるという感じですね。このレースの場合、「逃げハサミ」の2頭をみてみると、3トウキチロウの前走は1.5秒差・4着、そして14ラブスピールは1.6秒差の3着でした。8ワンダフルトゥデイの0.9秒差・11着とは対照的ですよね。一般的に、1.5秒差~1.9秒差程度の負けは期待値が取りにくい傾向があり、まさにそのゾーンに当てはまっていました。おそらく、「着差の割にあまり人気が下がらず、それでいて好走率は高くない」ということなのでしょう。
――「逃げハサミ」と「逃げ横」の3頭を比較して、+αの要素が最も多かったのが8ワンダフルトゥデイということですね。
みねた:例えば、このレースの場合は先行馬占有率が高かったので、有利な並びで、金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」に当てはまっている馬がいたら、その馬が◎候補になったかもしれません。このように、今回、どのファクターの+αが大きいかは、コースやメンバー・並びによって変わってきます。
――8ワンダフルトゥデイが◎だった理由はよくわかりましたが、「逃げハサミ」の2頭は無印でした。☆や注ぐらいは回してもいいのではと思ったのですが…?
(次回に続く)