プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“オッズの答え合わせ ~その品物をいくらで買うか~”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
2月25日 中山11R 中山記念 芝1800m
中山記念は中山芝1800mでの施行。初角までの距離が200m程度と短く、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。
登録19頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。最終的な出走メンバー次第ですが、開幕週であることも加味すると、内枠・先行をベースに考えるのが良さそう。好位差しのタイプに安定感を感じます。
この点を踏まえると、1番人気想定のソールオリエンスは脚質面に不安が残ります。フルゲートの開幕週、あまり後方からでは差し損ねる可能性も。中距離では4歳世代トップクラスの能力の持ち主で、1番人気の支持を集めるのも納得なのですが、本命に推すには怖さがあるのも確かです。
馬場とメンバー構成を考えると向きそうなのが、距離短縮となる先行馬。ショウナンバシット、テーオーシリウス、ボーンディスウェイなどが該当しており、いずれも人気薄が見込まれます。能力的に通用するかは微妙なラインですが、有利な内枠なら期待値があるかもしれません。
2番人気想定のエルトンバローズはマイルCSからの距離延長となりますが、6-8と脚をためて4着した内容はここに繋がりそう。今年の飛躍が期待される一頭です。
3番人気想定はヒシイグアス。2走前の天皇賞(秋)が4番手からの競馬で、まさに「好位差し」タイプです。香港カップからの距離短縮ローテもいいですし、中山記念はリビーターが強いレースでもあります。
単体で期待値が高そうなのは、ダートの直近2戦で3.2秒、4.4秒の大敗を喫しているジオグリフでしょうか。3走前の宝塚記念は7-7-8-6から0.7秒差の9着で、位置取り的にも恵まれそうです。
注目馬として名前を挙げた馬たちは、いずれも追い込みタイプではないだけに、内枠が欲しいところ。ただ、それがオッズに織り込まれ過ぎてしまうと期待値が取りにくくなるので、先行馬並びの外になった方が買いやすい場合も。しっかり枠と並びとオッズを見極めて、最適な結論へと辿り着きたいと思っています。
▼みねたの金言118
オッズの答え合わせ ~その品物をいくらで買うか~
★ピックアップレース★
2月11日 東京11R 共同通信杯 芝1800m
◎9ジャンタルマンタル
○1ベラジオボンド
▲10エンヤラヴフェイス
△8ジャスティンミラノ
☆7パワーホール
注4ミスタージーティー
[参考買い目]
単勝 9
ワイド 9-1.10.8
馬連 9-1.10.8.7.4
3連複 9-1.10.8-1.10.8.7.4
―前回に引き続き、◎9ジャンタルマンタルでワイド4.3倍、馬連10.5倍、3連複203.7倍的中の共同通信杯を取り上げます。前回の最後で、「オッズの答え合わせ」についてお話しいただくとのことでしたが、その前提として、印を打った馬に対する思考から教えていただけますか?
みねた)わかりました。前回、3歳戦はキャリアの浅い馬が多いから、過剰人気や過小人気が生まれやすいという話をしました。それでいうと、ジャンタルマンタルはしっかりキャリアを3戦積んでおり、それぞれ内容のあるレースでG1を含む3戦3勝。1戦1勝の1番人気馬などとは、明らかに経験値が違います。外目の9番枠ではありますが、先行馬の外という並びはプラス。初角までの短いコースの場合、先行馬は外枠のロスが大きいですが、差し馬であれば、内に入れられさえすれば問題ありません。8ジャスティンミラノは3頭しかいない先行馬のうちの1頭で、しかも1頭だけ離れた配置ですから、すんなり先行できる可能性は高く、そうなれば、ジャンタルマンタルもその後をなぞる形で内に入れられる可能性は高い。キャリア的にも並び的にも9ジャンタルマンタルの信頼度は高いと考えました。
―1番人気馬に◎を打つ一方で、2番人気の4ミスタージーティーは注、3番人気のエコロヴァルツは無印。
みねた)このレースは先行馬占有率30%で、前有利と見込んでいたので、前走二桁の通過順位から距離短縮となる4ミスタージーティーや前走4角17番手のエコロヴァルツは展開的に評価できません。対抗評価の1ベラジオボンドは、先行馬かつ有利な内枠でした。そしてもう一頭の1戦1勝馬の8ジャスティンミラノは、先ほどお話しした通り、先行馬かつ、1頭離れた並びが良かったですね。6.6倍・単勝4番人気で期待値が十分あるかは微妙なラインですが、◎9ジャンタルマンタルにとって理想とする展開は、8ジャスティンミラノがスムーズに先行して抜け出し、それを目標に追いかける形。8ジャスティンミラノがハイペースに巻き込まれて早めに垂れたり、前に行けない展開だと9ジャンタルマンタルにとっても不利になります。◎9ジャンタルマンタルが馬券に絡む展開からの逆算で、8ジャスティンミラノは△評価となりました。
―そして、▲10エンヤラヴフェイスと☆7パワーホールはともに単勝150倍超えの超大穴。この2頭については、前回の原稿で、「1回の敗戦で人気が急落している」と教えてもらいました。
みねた)これも前回話しましたが、“情報”により過剰人気になる馬がいる裏返しで、過小人気になる馬もいます。例えば、4ミスタージーティーの前走ホープフルSは直線不利の連続で、強い5着だったことは間違いないでしょう。ただ、レース後に矢作調教師が、「完全に騎乗ミス。勝ちまであった」という強いコメントを出したことが人気に拍車をかけた部分があったことも否定できません。
―私も、4ミスタージーティーを高く評価していましたが、確かに「まともなら勝っていたはず」という先入観に捉われて、「スローペースを後方から外を回して差し切れるか?」という検証が疎かになっていたような気がします。
みねた)結局、「その品物をいくらで買うか?」。要するにオッズとの答え合わせに尽きるんですよね、競馬は。
1ベラジオボンド 7.3倍
2ディマイザキッド 62.4倍
3フォスターボンド 29.5倍
4ミスタージーティー 4.8倍
5ショーマンフリート 8.5倍
6エコロヴァルツ 5.3倍
7パワーホール 151.2倍
8ジャスティンミラノ 6.6倍
9ジャンタルマンタル 2.5倍
10エンヤラヴフェイス 178.6倍
これを眺めて、オッズ(=商品の値段)が適正かどうか。私は、7パワーホールの151.2倍や10エンヤラヴフェイスは178.6倍はオッズが甘い(=商品の価格が安い)ように、追い込み一辺倒の4ミスタージーティー4.8倍や6エコロヴァルツ5.3倍はオッズが辛い(=商品の価格が高い)ように感じました。この原稿のために改めてオッズを見直すと、2ディマイザキッドの62.4倍も悪くないように思えます。先行馬の2頭並びでは「内枠+先行」の1ベラジオボンドを高く評価した分、2ディマイザキッドには印を回さなかったのですが、4着まできていましたね。
―それぞれに、枠や並び、能力などの材料があって、それに対してオッズが見合っているかどうかということですね。
みねた)買い物の際に値段を見るように、馬券を買う上ではしっかりオッズを見て欲しい。連載開始当初から一貫している、思考の原点ですね。