プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「厳選勝負レース」の選定基準”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月3日 中山11R 弥生賞ディープインパクト記念 芝2000m
弥生賞ディープインパクト記念は中山芝2000mでの施行。スタンド前直線半入口付近からスタートし、初角となる1コーナーまでは400mほど。枠順による先行争いにおける有利不利はあまりありません。
登録12頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは6頭。先行馬占有率50%なら、中山コースでも差し馬に十分にチャンスがあるでしょう。上位人気が見込まれている先行馬はいずれもオープン以上で好走しており、高い能力の裏付けがあります。それだけに、このメンバー相手に差し切るようなことがあれば、その馬はクラシックで大いに注目すべき存在になるでしょう。
1番人気想定はシンエンペラー。先行馬の一角ですが、前走のホープフルSが3-4-3-2から2着としっかり脚をためる競馬でした。G1→G2への格下がりにもなるここは、当然、有力候補だと考えます。問題はオッズが見合うかどうか。
2番人気想定のトロヴァトーレは、しっかり差してデビュー2連勝中。能力は高く、展開面は向きそうですが、少頭数の経験しかない点は一つの課題でしょう。
3番人気想定のサンライズジパングは、直近2走とも道中で位置取りを下げながら差してくる強い内容。ホープフルSは直線で寄られる不利もありました。そう考えると、シンエンペラーとオッズほどの差は感じられず、期待値が見込めそうな存在でしたが、残念ながら本日、回避が発表されました。
戦績的に期待値がありそうなのはシリウスコルト。ホープフルSは0.6秒差・6着という「前走僅差の6着以下」に当てはまる負け方でした。この馬も道中で位置を下げながら盛り返しており、レース内容は悪くありません。
ファビュラススターの前走は9-9-8-6から1着と、道中で捲って押し切る強い勝ち方。ただ、中山のコース形態は捲って直線を迎えるのが理想なのですが、強い先行馬が揃っている今回のメンバー構成では捲りは不向き…と微妙なラインです。
レースは「強い先行馬」であるシンエンペラーを中心に展開されることになりそうです。先行馬が多いだけに並びは非常に重要。また、不確定要素の多い3歳戦なので、オッズ次第という側面も大きいでしょう。しっかり吟味して、正解を導き出したいと思います。
▼みねたの金言119
「厳選勝負レース」の選定基準
★ピックアップレース★
2月25日 小倉10R 国東特別 芝2000m
◎6スピーディブレイク
○7フロムナウオン
▲2シャドウソニック
△4ヴィンセドリス
[参考買い目]
単勝 6 2000円
ワイド 6-7 3000円
馬連 6-7.2.4 各800円
3連複 6-7-2.4 各800円
3連単 6.7-6.7-2.4 各200円
―先週の「厳選勝負レース」は2月24日阪神11Rの仁川Sがレース回収率460%、2月25日小倉10Rの国東特別がレース回収率440%を記録。土日通算でも回収率100%超えとなりましたが、伺いたいのは日曜日のことで、この日は「厳選勝負レース」を5レース出されていましたよね?(通常は4レース)
みねた)5レース出したのは、率直に「勝負できる日」だったということです。結果的に、的中したのは国東特別と中山10R春風Sのマニバトラ単勝だけだったので単日の収支は僅かにマイナスになりましたが、それは結果論。期待値があるなら、1日4レースという固定観念に捉われることなく、5レース出しますよ。
―「勝負できる日」というのが具体的にどういうことか、言語化していただけますか?
みねた)「厳選勝負レース」に選出するにあたって、いくつか基準があります。その基準をクリアしているレースが「厳選勝負レース」の候補になるのですが、候補が5レース以上あることは稀で、むしろ4レースに満たないことの方が多いのです。基準を満たしているのが3レースならば、そのレースに加えて、比較的、期待値が取れそうなレースを総合的に判断してもう1レース選び、4レースにしています。
―確かに今まで、「厳選勝負レース」の基準や定義について、詳しく聞く機会がありませんでした。
みねた)順番に解説していきますね。1つは「危険な人気馬がいるレース」です。危険な人気馬が存在するレースというのは、その馬が人気を吸っている状態ですから、その段階で期待値が取りやすいのはご理解いただけますよね。
―はい。これは多くの予想家さんも意識されているところだと思います。
みねた)危険な人気馬がいるレースで、他の上位人気馬で信頼度の高い軸馬がいれば、これは有力な「厳選勝負レース」候補です。さらに、穴になりそうなヒモがいればよりいいですね。例えば、中山10Rの春風Sは、2番人気のサザンエルフが危険な人気馬だと判断したので、有利な大外枠をひいたマニバトラが1番人気でも期待値があると考え◎にしました。結果的に、サザンエルフが2着に食い込んだため単勝のみの的中となってしまいましたが、2着3着のクビ差が入れ替わっていたら馬連18.1倍的中で、これは勝負の“綾”の範疇でしょう。
―目論見通り、サザンエルフが沈んでいたら、3連複まで届いていましたが、人気馬なのである程度、好走されてしまうのは仕方ないですよね。
みねた)2つ目のパターンとしては、「オッズ的に、明らかに期待値のある穴馬がいる」です。予想の提供時間を遅らせたことにより、このタイプの穴馬を拾えることが増えました。2月25日でいえば、中山9Rデイジー賞のテリオスルルみたいなパターンですね。
―このレースは見解文が印象的だったので覚えていますよ。引用すると
「現状10人気になっている11テリオスルルを大穴で狙ってみたい。東スポ杯、阪神JFと強い相手が揃う重賞に果敢に挑戦して大きく敗れはしたが先手奪い見せ場はあった。並びは良くないが自己条件に戻り10人気なら期待値は高い」
と書かれていました。前日予想だと、並びが悪い馬を敢えて狙うケースはほとんどないですもんね。
みねた)テリオスルルは直近2戦の重賞で大敗していましたが、その前は1勝クラスで3着。前売り10番人気は舐められ過ぎでした。結果的には、並びに泣く形になりましたが。同日の阪神8Rラブベティーも「オッズ的に、明らかに期待値のある穴馬がいる」パターン。ただ、このパターンは大穴なので、どうしても的中率は下がります。「厳選勝負レース」は一定の的中率も重視しているので、このパターンばかり選ぶわけにはいきません。
―「厳選勝負レース」ですもんね。
みねた)私のコラムや単行本を読まれた方は、厳選勝負レース=期待値の取りやすいレースであることはご理解いただけていると思いますが、一般的に「厳選」「勝負」というフレーズだと、「堅い馬にドカン!」みたいなイメージになってしまうので、違うワードを選ぶべきだったかなと思ったりもします。
―的中率も担保するために、他の「厳選勝負レース」でバランスを取っている感じですか?
みねた)それは意識しています。小倉10R国東特別は少頭数でスルーされがちでしたが、ヒモをしっかり絞れたことで、的中率も回収率も見込めると判断しました。
(次回に続く)