プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“少頭数ほど、枠連オッズのチェックを忘れずに”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
3月10日 中京11R 金鯱賞 芝2000m
金鯱賞は中京芝2000mでの施行。初角となる1コーナーまでは400m以上あり、枠順による先行争いにおける有利不利はあまりありません。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのはエアサージュ、ドゥレッツァ、ヤマニンサルバムの3頭。先行馬が少なく、開幕週ということもあり、展開面では前が恵まれそう。また、脚をしっかりためて伸びるタイプよりも、道中で動いていける機動力のあるタイプの方がベターです。
1番人気想定はドゥレッツァ。菊花賞では、大外枠ということで▲まで評価を下げてしまったのですが、それを嘲笑うかのような圧勝劇でした。大外枠からハナを奪い、外を回る距離ロスを無くした上で脚をため、上がり最速を記録。まさに1998年の金鯱賞でサイレンススズカがみせたような「逃げて差す」圧巻の競馬でしたね。
展開面の心配もなく、能力の高さは折り紙付き。牡馬なので59キロも問題ないでしょう。ただ、想定通りの2倍で期待値を取るのは難しく、消せない存在ではあるものの、本命候補は他から探したいところです。
2番人気想定はプログノーシス。こちらは先行馬ではありませんが、札幌記念では13-11-5-2という大捲りを決めています。機動力があり、こちらも能力の高さは間違いなく、有力候補でしょう。
開幕週であることを考えると先行勢に一発の期待をかけたいところですが、エアサージュは3勝クラスからの昇級、ヤマニンサルバムは脚をためるタイプが得意で、今回の狙い目とは少しズレている感。
捲れるタイプならブレイヴロッカーが面白そう。4走続けて道中で動いており、2走前は3勝クラスを勝利。前走の京都記念も10-9-7-6から6着で、昇級戦としては及第点の内容でした。
オッズで期待値がありそうなのはショウナンバシット。2走前のAJCCは2番手から0.5秒差、3走前のジャパンカップでは8-8-8-6と道中で動く競馬をみせていました。想定通りの70倍なら、期待値はありそうです。
人気馬が強力で馬券的には一工夫が求められそうですが、春G1を占う大事な一戦。熱い戦いを期待しましょう。
▼みねたの金言120
少頭数ほど、枠連オッズのチェックを忘れずに
★ピックアップレース★
2月25日 小倉10R 国東特別 芝2000m
◎6スピーディブレイク
○7フロムナウオン
▲2シャドウソニック
△4ヴィンセドリス
[参考買い目]
単勝 6 2000円
ワイド 6-7 3000円
馬連 6-7.2.4 各800円
3連複 6-7-2.4 各800円
3連単 6.7-6.7-2.4 各200円
―先週に引き続き、2月24日、25日の「厳選勝負レース」について伺っていきます。まずは、レース回収率440%となった2月25日小倉10Rの国東特別から。「少頭数でスルーされがちでしたが、ヒモをしっかり絞れたことで、的中率も回収率も見込めると判断しました」とのことでした。
みねた)9頭立てという少頭数でしたが、実質的には◎と○のダブル本命ぐらいまで読み切ることができたので、しっかり回収することができました。
―予想の思考から教えてください。
みねた)前走の通過順位に3番手以内があったのが、9頭中5頭。先行馬占有率56%ですから、少頭数とはいえ、先行馬には厳しいタフな流れが見込まれました。そうなると狙うべきなのは…?
―差し馬か、タフな流れに強い先行馬、ですね。
みねた)正解です。6スピーディブレイクは前走の芝2600m戦で3-6-4-2と脚をためる競馬をしていました。距離短縮なので相対的に今回は楽ですし、速い流れになっても脚をためられるので、いたずらにハイペースに巻き込まれることはありません。
―先行馬が少ない時は道中で動けるタイプ、先行馬が揃っている時は道中で脚をためられるタイプを狙うというのは、何度も聞いています。
みねた)ですよね。普通にみねた理論を当てはめれば、この馬は導き出せるでしょう。この馬の場合、距離短縮ローテだったため、前走よりもポジションが下がる可能性が高く、結果的に「周りに馬がいない」スムーズな状況で走れそうだという見立てもありました。競走馬にとって、数字的な速い遅い以上に、「周りに馬がいるかどうか」の方が、レースでの消耗度にかかわってくると考えているので。
―確かに、ハイペースでも、単騎先行なら結構粘るし、スローペースでも、先行馬が凝縮していたり、ポジションが入れ替わるようなレースではバテてしまうシーンを目にします。
みねた)「道中でスムーズに走れるかどうか」は、ほぼ、「周りに馬がいるかどうか」と同義です。周りに馬がいなければ、自分都合でのびのび走れますが、周りに馬がいたら、周囲の動きに合わせて競馬しなければなりません。それは騎手にとっても同じで、馬群の中にいると「馬群を捌く」というミッションが生じますが、周りに馬がいなければ、自由に仕掛けられます。周りに馬がいる場合、騎手の技量がモノをいう、という言い方もできますね。
―それもイメージが湧きます。馬群を捌けるような騎手は人気になりやすいので、期待値は取りにくく、期待値を取るためには人気にならない地味な騎手の方がいい。そして、周りに馬がいなければ、そういう騎手でもマイナスにならない、と。
みねた)そういう側面はありますよね。騎手のファインプレーに期待しなくても、周りに馬がいなければ、普通に乗ってくれるだけで大丈夫ですから。
―「逃げハサミ」こそ、「周りに馬がいるかどうか」という考え方の最たるものだと思うのですが、このレースでもシンプルに「逃げハサミ」を狙う手もあるのではないでしょうか?
みねた)それも間違いではないでしょうね。だから、2頭いる「逃げハサミ」のうちの1頭である7フロムナウオンを対抗にしました。「逃げハサミ」かつ距離短縮ローテで、しかも「本命馬の横」という並びでもあります。セットで考える発想なら、6スピーディブレイクが◎なら、7フロムナウオンが○というのは、自然な発想ですよね。この2頭の期待値は高いのですが、そうはいっても9頭立て。2頭を◎にすると、さすがに単勝で期待値は取れません。ですが、相手筆頭が絞れているので、他の券種を使うことでしっかり回収率を出すことはできます。
―レースは、6スピーディブレイクが2着、7フロムナウオンが3着で、ワイド3000円×4.2倍、馬連800円×14.7倍、3連複800円×24.6倍を的中。44040円の払い戻しとなりました。
みねた)「買い目を絞ることで、回収額を上げられる」を体現することができました。これができてこそ、少頭数レースが勝負レースになり得るのですが…ただ、反省点もあります。
―反省点、ですか。
みねた)枠連の方が(オッズが)ついていました。2-6の組み合わせは、馬連が14.7倍、枠連が18.8倍だったのです。4倍以上の差がついているので、回収額でいえば3280円変わります。ここをしっかり枠連していれば、単日の回収率も100%を超えていました。オッズは変動するので、事前予想で反映しきれない部分はありますが、実際に購入される場合、特に少頭数のレースではしっかり枠連と馬連のオッズは見比べるようにしてください。こうした積み重ねで、回収率は底上げされていきますから。
(次回に続く)