プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“人気が偏りやすい2~3歳こそ期待値重視で”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月14日中山11R 皐月賞 芝2000m
皐月賞は中山芝2000mで施行されます。初角となる1コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける内外の有利不利はほとんどありません。ゴール前直線が短いため直線一気は決まりにくく、3角から押し上げ、勢いをつけて直線を迎えられるタイプが走りやすいコースです。
登録20頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは12頭。出走ボーダー内の18頭中11頭と、先行馬占有率は50%を超えることになりそうです。先行馬占有率が高かった昨年はソールオリエンスの直線一気が決まりました。今年も先行馬よりも差しタイプに分がありそうなメンバー構成です。
今年の皐月賞の難しさは、コース形態とメンバー構成において、有利になるタイプが逆ベクトルである点です。コース形態的には捲りタイプが有利、メンバー構成的には脚をためて差せるタイプが有利なので、狙いが絞りにくいのです。
注目は、なんと言っても牝馬で果敢に挑戦してきたレガレイラでしょう。14-14-11-10と捲り気味に差し切ったホープフルSが示すように、脚質は今回も有利に働きそう。理想はもう一列前でしょうか。ただ、さすがにテン乗りでルメール騎手からの乗り替わりは割引です。もし、大手サイトの予想オッズ通り、8.8倍つくのであれば◎の一手ですが、おそらく一番人気。そうなると期待値が見合うかどうか。
ホープフルSで3-4-5-5から3着、若駒Sは5-5-6-7から差し切りと、今回の激流を味方にできそうなのはサンライズジパング。想定32倍なら期待値はありそうです。
人気どころで安定感がありそうなのはシンエンペラーでしょうか。ホープフルSでは3-4-3-2と脚をためてから捲っており、どんな競馬にも対応できるのが強みです。もう少し後ろから進められれば、ベストポジションに収まれそう。
コスモキュランダは9-7-2-2と捲った弥生賞が、まさに中山向きの勝ち方。アルアイン産駒で、中山向きの血筋でもありますね。想定8番人気はナメられている印象ですが、モレイラ騎手騎乗だと人気は上がりそうです。
前走の毎日杯で1秒差の圧勝劇を演じたのはメイショウタバル。「前走逃げて圧勝」は期待値の取りづらい臨戦過程ですが、能力が抜けている可能性も秘めています。この馬以外の逃げタイプはそれほど強くないため、先行集団の中では比較的に楽に運べるかもしれません。強い逃げ馬であることは間違いないので、この馬の外に入った馬は恵まれそうです。
週中展望からは、「これだ!」という馬は見つかりませんでした。非常に馬券的には難解で面白いレースですね。枠順と並びをしっかり吟味して、正解に辿り着きたいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言125
人気が偏りやすい2~3歳こそ期待値重視で
★ピックアップレース★
3月23日 阪神11R 毎日杯 芝1800m
◎1ノーブルロジャー
○4メイショウタバル
▲6ナイトスラッガー
△3ベラジオボンド
[参考買い目]
単勝 1
ワイド 1-4.6.3
馬連 1-4.6.3
3連複 1-4.6.3
―今週からは3月第4週の重賞レースを取り上げます。まずは、3月23日阪神11Rの毎日杯から。このレースは、○→◎→△の決着で、参考買い目は、ワイド4.5倍&4.5倍(3点)、馬連13.6倍(3点)、3連複25.5倍(3点)の的中となりました。10頭立てで1番人気の1ノーブルロジャーに◎というのは、見栄えを気にする穴予想家にはできない予想ですよ(笑)。
みねた)出発点はみねた理論の基本、「先行馬占有率」です。このレースで、前走の通過順に3番手以内があったのは3ベラジオボンド、4メイショウタバル、5トラジェクトワール、8スマートワイス、9サトノシュトラーセの5頭。先行馬占有率が50%もありました。先行馬占有率が高くなるほど、そのレースはタイムトライアルになりやすくなるので、道中で外を回るロスが大きくなる=外枠不利・内枠有利、でしたよね。前回取り上げた、アネモネSと同じです。先行馬占有率が高いレースだという認識のもと、もう一度、このレースの出馬表を眺めてみてください。
―1番人気のノーブルロジャーが最内枠の1枠1番、2番人気のニュージーズが大外枠の8枠10番、3番人気のサトノシュトラーセが8枠9番…。
みねた)内外に綺麗に分かれていますよね。この3頭を枠順と脚質の観点からみていきましょう。1ノーブルロジャーは「内枠」の「差し馬」です。有利な内枠かつ、展開が向きそうな差し馬ですよね。唯一の懸念は距離延長ローテでしょうか。
―先行馬占有率の高いレースでは、激しく流れる消耗戦になりやすいので、スタミナの裏付けがある距離短縮ローテの方がベターでしたよね。
みねた)続いて9サトノシュトラーセ。この馬は「外枠」の「先行馬」です。不利な外枠で、展開も向きそうにない先行馬。外枠から先行しても外目を回されることになり、道中でなし崩し的に脚を使ってしまう可能性が高く、3番人気ですが評価できません。これは消しが妥当でしょう。
―そして最後が10ニュージーズ。正直、外枠とはいえ、展開が向きそうな差し馬ですし、無印というのは意外でした。
みねた)前走で4-4-5-4と脚をためる競馬をしていて、展開自体は向きそうですよね。外枠から枠なりに外を回して、最後は前と同じ脚色になってしまうパターンが懸念される一方で、内に潜り込めれば、差してくる可能性はあります。評価をする理由もあるなかで無印にしたのは、展開面の整合性ですね。タイムトライアルになれば有利な内枠にノーブルロジャーという実力のある差し馬が入っていて、大外枠のニュージーズと比較して、単勝オッズも2.9倍と3.5倍なら大差はありません。ノーブルロジャーに◎を打つということは、内枠が有利になる流れになっているわけですから、大外枠との両立は考えにくいですよね。2.9倍の1番人気に◎を打って、3.5倍の2番人気まで上位評価していては、期待値を取るのはかなり難しいでしょう。あるとすれば、もう一頭が「逃げハサミ」などかなり有利な並びになっていて、2頭軸が組めそうなケースぐらいです。このレースの場合、1と10の2頭軸を組むよりも、有利な内枠から相手を探した方が期待値を取れるだろうと判断しました。
―金言4「決着形を意識して買い目を組み立てる」に通じる話ですね。
みねた)最内と大外の差し馬で決着するパターンって、なかなか想像できませんよね。例えばこのレースで10ニュージーズを評価するのであれば、9サトノシュトラーセが外からスムーズに先行して、10ニュージーズが内に潜り込んでいるパターンだと思うので、9サトノシュトラーセも高く評価することになります。まさに、「決着形を意識して買い目を組み立てる」ですね。
―対抗評価の4メイショウタバルについても教えてください。なぜ、先行馬の中でも、この馬を最上位評価したのでしょうか?
みねた)強いんですよ(笑)。2走前の未勝利戦が6-7-8-6から1着という、金言27「位置取りを下げながら巻き返した馬」のパターンでした。そして昇級戦も連勝。そのつばき賞は1-3-1からの1着で、道中で捲られて、さらにもう一頭外から被せられるという、かなり厳しい展開を凌いでいます。この2戦の通過順位からは読み取れるのは、「スタートセンスが良い上に、道中でも脚をためられる」ということ。これはかなり能力が高くないとできない芸当です。本命にできなかったのは、先行馬並びの真ん中で、5トラジェクトワールに被される懸念があったからでした。あと、1ノーブルロジャーの軸として信頼度が高かったというのもありますね。
―それにしても、昨年は◎ノッキングポイントで3連複14510円、一昨年は◎ベジャール馬連253.7倍的中と、毎日杯は相性がいいですね。
みねた)2~3歳戦は人気が偏りやすいので、期待値重視がハマりやすいのでしょう。また、少ない情報で人気が形成されるので、全レースをしっかり観ているアドバンテージが発揮されやすいという側面もありそうですね。
―気が早いですが、来年の毎日杯も楽しみにしています(笑)。