プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“考える時は弱気に、賭ける時は強気に”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月21日東京11R フローラS 芝2000m
フローラSは東京芝2000mで施行されます。初角となる2コーナーまでは130m弱と非常に短く、先行争いにおいて内枠が有利なコースです。開幕週ということもあり、内枠有利になる可能性が高いでしょう。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行馬占有率の高いレースが見込まれます。これまでにも何度も触れている通り、先行馬占有率が高い=タイムトライアルになりやすく、一層、ロスの少ない内枠有利の傾向が強まります。
先述のコース形態も加味すると、白帽、黒帽には最大限の注意を払いたいですね。
出走馬を見渡すと、1勝クラスを勝っているオープン馬が2頭だけ。メンバーレベルは高くありません。それを裏付けるように、想定1番人気のアドマイヤベルも前走1勝クラス2着からの臨戦。当時が3番人気で、G2の今回が1番人気という人気推移は、期待値が見合わないように思えます。
2頭いるオープン馬のうちの1頭が2番人気想定のクリスマスパレード。「先行勝ちからの昇級」という一般的に期待値が取りにくいパターンの臨戦過程です。ただ、格上挑戦馬が大半というメンバー構成で、先行馬占有率の高いレースでは有利となる短縮ローテ。相対的に買いやすい材料が揃っているのはこの馬ぐらいにも思えます。
もう1頭のオープン馬がコガネノソラ。先行しての昇級かつ距離延長ローテは好ましくありませんが、この相手で6番人気14.6倍なら、オッズだけで狙う手もあるでしょう。
3番人気想定のバロネッサは、未勝利から二段階の昇級となる上に、前走は先行しての勝利。あまり推し材料はありません。
メンバーレベルを考えると、エルフストラックのフラワーカップでの0.2秒差・5着は上位に評価できる内容で、「逃げ」脚質は気になりますが、7番人気19.4倍なら面白そう。
そのフラワーカップを9番手から差して0.3秒差・6着のカニキュルは、前走内容だけならエルフストラックと互角以上の評価ができます。ただ、想定4番人気としっかり人気にも反映されており、このオッズは対エルフストラック比較で、あまり美味しくない印象は拭えません。
癖が強く、枠順の影響が大きなコースでメンバーレベルも低調。その分、馬券妙味はありそうです。どの馬が内に入るのか、どの馬が逃げ馬の横に入るのかで大きく最終結論は変わってくるでしょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言126
考える時は弱気に、賭ける時は強気に
★ピックアップレース★
3月24日 中京11R 高松宮記念 芝1200m
◎2マッドクール
○6ルガル
▲5トウシンマカオ
△13ウインカーネリアン
☆15ディヴィーナ
注3ナムラクレア
注14ママコチャ
[参考買い目]
単勝 2
ワイド 2-6.5.14.15
馬連 2-6.5.13.15
馬単 2-3.14
3連複 2-6.5.13.15-6.5.13.15.3.14
―今週は3月24日中京11Rの高松宮記念を取り上げます。◎→注の決着で、参考買い目では、馬単49.2倍が的中。上記の買い目の通り、◎から注の2頭だけは馬連ではなく馬単にするという一工夫が功を奏したレースです。
みねた)これは、週中に当コラムで展望した通りになりましたね。以下に、引用します。
ナムラクレアは自力で捲れる格下相手に強いタイプ。その裏返しで、G1の舞台では、道中で押し上げ切れずに差し損ねるケースも。勝ち切るには枠や好位付けなどの後押しが欲しいところです。前哨戦でしっかり走れるので、本番でも人気になりやすく、ここも想定では1番人気になっていますが、2倍台で単勝の期待値があるかは微妙。安定感はあるので、2着、3着付けが向きそうです。
実際は2番人気でしたが、タイプとしてG1では2着付け、3着付けが有効なタイプであることに変わりはありません。
―注を2頭打つという珍しいパターンで、◎から注以外の馬には馬連&ワイド、◎から注へは馬単のみという変則的な買い目になっていました。
みねた)注3ナムラクレアについては、先ほどの説明の通りです。自力で動けるタイプというのは格下相手に取りこぼしが少なくなる一方で、トップレベルの争いになると道中で押し上げるのに発生した距離ロス、ロングスパートする事で最後の一押しが甘くなったりなどで結果、惜敗が多くなります。もう一頭の注14ママコチャについては、このレースは内枠有利というアプローチだったので、その点で14番枠は大きなマイナスでした。週中展望の段階では、「3番人気8倍なら妙味があるかも」と書きましたが、他の有力馬が内枠をひいていたので、相対的に妙味は薄れています。「積極的な買い要素もないけれど、枠以外に消し要素もない」という立ち位置でした。ですから、ニュアンスとしては3連複要因として注を回した、という感じです。
―この2頭に関しては、「上位人気だけど1着はないだろう」という考えを馬券に反映したということですよね?
みねた)そうですね。力が有るので勝ち切られてもおかしくはないですが期待値的には2、3着付けでこそ旨味があるタイプで、馬連で買うのは勿体無いですからね。一「危険な人気馬」と言われる馬でも、1着の期待値は低いけれど、2着3着なら期待値は取れる、というケースがあるので、むやみに消してしまうのは危険です。このレースのように◎に自信がある場合はなおさらですね。
―読み通り、ナムラクレアは2着止まりでした。
みねた)今回は、最後まで伸び続ける一味違うレースをしていましたから、一皮剥けた印象はあります。今後は、一概にG1なら2着付け、3着付けとは言えないかもしれません。
―ちなみに、このレースでナムラクレアが差し切っていたら、払い戻しはゼロ円でした。
みねた)悲しいことにそうなりますね(笑)。馬連なら21.1倍が当たっているので、リスクを取って馬単にするのは勇気が要ります。ただ、そこに飛び込まないと競馬は勝てませんから。ゼロが怖いから馬連にしておこうという人がたくさんいるから、馬単が有効になる。人が買わない馬券を買わないと。
―その勇気の対価が49.2倍。
みねた)22.1倍と49.2倍。27倍という差は大きいですよ。27個分の買い目の差が出るということですから、普段の買い目だと、馬連で3レース分ぐらい違います。これを獲れれば、3レース外せるという言い方もできますから。
―馬連にしていても22.1倍が当たっているので、考えとは違う馬券を買ってしまっても、その差の27倍分をロスしていることには気付きにくいですよね。
みねた)大事なのは、「考える時は弱気に、買う時は強気に」ということです。予想の段階では、思考停止するのではなく、「本当にこれでいいのだろうか?」と疑いながら進める方が精度は上がります。そして、考えた末の結論であれば、日和ることなく、自分の考えと整合性が取れる券種を買う。「ナムラクレアは2、3着付けなら期待値がある」と結論付けたなら、その考えに矛盾しないように、馬単を買うのが正しい姿勢だと思います。
(次回に続く)