プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「前走海外」の取扱説明書”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
4月28日京都11R 天皇賞(春) 芝3200m
天皇賞・春は京都芝3200mで施行。初角となる3コーナーまでは400m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
登録21頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。長距離戦にしては前に行く馬が揃った印象で、タフなレースになりそう。メンバー構成的には、道中でしっかり脚をためられる馬に向くでしょう。ただ、京都は3〜4コーナーで加速して直線を迎えたいコースなので、コース形態とメンバー構成で有利になるタイプが異なる難しい一戦となりそうです。
1番人気想定はドゥレッツァ。前走は9-8-6-5と後方から押し上げる競馬でした。菊花賞が1-1-3-2、日本海Sは8-10-9-7と脚をためる競馬ができており、G1の厳しい流れで真価を発揮するタイプといえそう。有力候補です。
2番人気想定のテーオーロイヤルも長距離では強い…って、誰でも知ってますね(笑)。優等生の競馬ができるので、大きく崩れるイメージは湧きません。バッサリとは消しづらいので、頭以外で買うのが良いかも。
3番人気想定タスティエーラは現4歳世代でトップクラスの能力の持ち主。ここ2戦の内容から成長力にはやや疑問が残り、前走11着を思うと、もう少し人気を落として欲しいところです。ただ、何といっても鞍上モレイラは魅力で、買うなら頭、あるいは2着までの券種に絞る手もありそうです。
穴候補も多士済々。昨年2着のディープボンドの想定9番人気は、さすがに人気を落とし過ぎの印象。前走2-3-3-3と脚をためる競馬でG2のAJCCを勝ち切ったチャックネイトも8番人気なら妙味があります。
阪神大賞典2着のワープスピードも6番人気20倍前後なら面白いですし、阪神大賞典で1番人気だったブローザホーンが5番人気まで評価を下げるなら十分に狙えます。一般的に、長距離戦は着差がつきやすいので、阪神大賞典の結果だけで勝負付けが済んだとみるのは早計です。
サヴォーナは阪神大賞典で5-5-8-7と脚をためる競馬。菊花賞では15-15-3-2と大捲りを打っており、いまいち、レースの流れと戦法が噛み合っていない感があります。とはいえ、能力自体は高く、ハマれば頭まで突き抜けても不思議ではありません。
上位人気馬は有望ながら、穴候補にも面白い馬が揃い、馬券的に楽しみなレースになりそう。なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言127
「前走海外」の取扱説明書
★ピックアップレース★
3月24日 中京11R 高松宮記念 芝1200m
◎2マッドクール
○6ルガル
▲5トウシンマカオ
△13ウインカーネリアン
☆15ディヴィーナ
注3ナムラクレア
注14ママコチャ
[参考買い目]
単勝 2
ワイド 2-6.5.14.15
馬連 2-6.5.13.15
馬単 2-3.14
3連複 2-6.5.13.15-6.5.13.15.3.14
―先週に引き続き、3月24日中京11Rの高松宮記念を取り上げます。◎→注の決着で、参考買い目では、馬単49.2倍的中となりました。前回では主にナムラクレア2着付けの馬単について伺いましたが、今回は2マッドクールに◎を打った思考について教えてください。
みねた)この6番人気9.6倍は美味しかったですね。
―実は、当欄の週中展望ではこの馬について触れなかったんですよね。週中展望では、レース自体の展望をしつつ、上位人気馬+穴馬候補について触れるという流れが多いので、マッドクールは取り上げなかったのですが、その馬が美味しい◎になるわけですから、いかに「枠」や「並び」が重要なのかがよくわかります。
みねた)初角までの距離が比較的短めな中京芝1200m、しかも頂上決戦のG1であることも加味すれば内枠はかなり有利。1枠2番という絶好枠で、単勝9.6倍もらえるなら、この馬しかないよね、という印象でした。
―週中展望の段階では、前走の香港スプリント8着が目眩しみたいになって、この馬について伺うのを忘れてしまいました…。
みねた)前年のスプリンターズSでタイム差無しの2着ですから、週中展望の段階でも「この馬はどう?」と聞かれたら、「有力候補でしょうね」と答えたと思いますが、私もパッと出馬表を眺めて見落としてしまったのは、やはり前走着順の影響でしょう。週中展望を起点に週末のメインレースを考え始めることが多いのですが、その際、まずは前哨戦の勝ち馬から見ていきますからね。ただ、この一件からも、いかに人気を形成する上で「前走着順」の影響が大きいかが、再確認できたのではないでしょうか。
―確かに、スプリンターズSからの直行ローテだったら、おそらくもっと人気を集めていたでしょうね。
みねた)前走1着だと見逃されにくいですよね。このレースなら、6ルガルとか5トウシンマカオが、前走1着で普通に優秀なので、順当に評価される分、前走大敗の2マッドクールへのマークが薄くなったということです。それに加えて2マッドクールの場合は、前走が海外(での大敗)だったというのもポイントでしょう。海外というのは、負ける時は、得てして大敗するものなので。
―ドウデュースが凱旋門賞19着から帰国緒戦の京都記念を勝利したのを思い出しました。
みねた)海外競馬は実力以上に大敗しやすいんですよね。人間の競技でも、慣れない環境で行われる海外の大会で、普段通りの力を出すのは簡単ではないですよね。競馬の場合、調教施設が変われば、普段通りの仕上げパターンを取れないケースもあります。それに、単純に移動時間が長い分、疲労も溜まりやすい。結果的に実力以上の大敗を喫してしまい、その悪い着順に引っ張られてオッズが甘くなるという構図ですね。ですから、私は基本的に海外からの帰国緒戦を理由に評価を下げることはなく、むしろ期待値を取りやすい要素だと考えています。
―ちなみにこのレース、外国馬の10ビクターザウィナーに印が回っていれば、3連複万馬券(100.2倍)まで手が届いていたわけですが、その点についてはいかがお考えでしょうか?
みねた)基本的に、外国馬が単勝オッズ10倍を切っていたら、切ることがほとんどなので、この3連複が獲れなかったことに悔いは無いですね。これは、先ほど、マッドクールについてお話ししたことの裏返しで、海外からの参戦は色々と不利がありますし、ましてや日本の高速馬場は特殊でもあります。宝塚記念で10番人気2着だったワーザーのように人気がなければ全然狙う価値はあると思うのですが、日本のファンに評価されてしまっている場合は、期待値的には見合わないことが多いと思いますよ。
―この馬、大手サイトの週中での想定では二桁人気だったんですよね。SNSでは「なんでこんな人気しているんだよ!」と怒っている人もみかけました(笑)。
みねた)我々は直前までオッズを見て馬券を買えるので、怒るのはおかしいですよね(笑)。「二桁人気なら美味しい」と思っていたなら、単勝9.6倍しかつかないのであれば見送りが正しいと思います。もちろん、この馬をエアロヴェロシティぐらい強いと評価していて、単勝9.6倍が甘いと思ったなら買うべきです。結局、自分の見立てとオッズのバランスに行き着くんですよね。