プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“「実は適性があるのに知られていない」ところに期待値がある”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
5月12日 東京11R ヴィクトリアマイル 芝1600m
ヴィクトリアマイルは東京芝1600mで施行。初角となる3コーナーまでは500m以上あり、先行争いにおける有利不利はありません。
先週のNHKマイルCが目移りするような好メンバーだったのに対し、ヴィクトリアマイルはフルゲートに満たない登録頭数で、実績馬とそれ以外の馬にやや開きがある印象。
登録15頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのが5頭なので、やや先行有利、好位組に展開が向きそうです。
1番人気想定はナミュール。昨年のマイルCSを制し、香港マイル、ドバイターフでも実績を積んでの参戦となります。実績、能力的に、このメンバーでは最右翼の存在であることは間違いないでしょう。ただ、追い込み一辺倒で、比較的、人気になりやすいタイプであることを考慮すると、2.1倍というオッズは微妙。この馬に限らず、追い込み馬の単勝2倍はなかなか買いづらいところではあります。
2番人気想定のマスクトディーヴァは、前走の阪神牝馬Sで4-4から快勝。これまでとは全く違う戦法ですぐに結果を出すあたり、能力の高さが窺い知れます。好位の競馬をこなせたのは今回に繋がるはずで、2番人気4.0倍なら期待値が見合う可能性はあります。
阪神牝馬Sは相手に恵まれた感があり、この勝利でマイルを完全にこなしたとは言い切れない面はありますが、そこで負かした相手が上位人気になるメンバーであれば杞憂に終わるかもしれません。
阪神牝馬S組なら、2着ウンブライルの3番人気8.9倍よりも3着モリアーナの4番人気13.5倍の方が相対的に美味しく映ります。ウンブライルがグレードレース未勝利であるのに対して、モリアーナは2走前に牡馬相手の中距離G2で0.2秒差・4着という実績があり、昨秋にはG2の紫苑Sにも勝利。地味ながら実力は十分です。
「買い時」という意味では、阪神牝馬S(2番人気5着)から人気が急落しそうなドゥアイズに注目。阪神JF10番人気3着など、元々、人気薄での激走が目立つタイプです。
中山牝馬S(1番人気9着)から人気を落としそうなフィアスプライドは、「前走僅差の6着以下」「前走捲り」と、「単体で期待値が取れそうなパターン」に複数該当しています。しかもルメール騎手騎乗。それで17倍を甘いとみるなら狙えますし、3走前の府中牝馬Sで11番人気だったことを思えば17倍でも甘くないともいえます。判断の難しい一頭ですね。
別路線組では大阪杯組の2頭が面白そう。スタニングローズは大阪杯で0.5秒差・8着。秋華賞を制しており実績も十分で、この相手でこのローテーションは目につきます。
有馬記念→大阪杯からここに挑むハーパーは、ここ2走より大幅に相手弱化となります。中距離馬のイメージが強いですが、マイル自体は2-1-0-1で、クイーンC勝ちかつ桜花賞4着と十分に実績アリ。想定通り8番人気・21.7倍で買えるなら、かなり魅力的な穴馬です。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言129
「実は適性があるのに知られていない」ところに期待値がある
★ピックアップレース★
4月20日 福島10R 尾瀬特別 ダート1700m
◎4クリニクラウン
○1クリオミニーズ
▲10サヴァビアン
△13タガノリバイバー
☆11ニホンピロハーバー
注2ヒドゥンキング
[参考買い目]
単勝 4 2000円
ワイド 4-1.10.13 各1000円
馬連 4-1.10.13.11.2 各500円
3連複 4-1.10.13-1.10.13.11.2 各300円
―前回に引き続いて4月20日福島10Rの尾瀬特別を取り上げます。◎4クリニクラウンが8番人気3着で、ワイド1000円×33.1倍&3連複300円×233.3倍が的中し、10万円オーバーの払い戻しとなりました。今回のテーマは「初ダート」「ダート替わり」です。
みねた)前回で予告した内容ですね。
―このレースでみねたさんが「危険な人気馬」だと評していた3グランドカリナンは今回が初ダート。一方、対抗評価だった1クリオミニーズは、いわゆる「出戻り馬」で、デビュー以来8戦全て芝を使われたのち、園田のダートを4戦(2勝)し中央再転入を果たしましたが、そこからの8戦も全て芝のレースでした。つまり、中央では初めてのダートで、実際に競馬新聞の着別度数には全ダ【0000】という表記になっています。◎の4クリニクラウンも今回芝→ダート替わりで、さながら「登場人物、全部“前走芝”」という様相を呈していました。
みねた)初ダートの取捨選択は簡単ですよ。人気ならば「消し(軽視)」、人気がなければ「買い」です。人気馬=オッズが低い馬を買う以上、それが期待値に見合っている明確な根拠が必要です。だから、3グランドカリナンに関しては、「2番人気の4.2倍だから」というのが消した理由です。消した理由がオッズですから、もし単勝オッズ20倍だったら、◎にするかはわかりませんが、少なくともヒモとしての購入対象にはなるでしょうね。
―1クリオミニーズは14.9倍の6番人気でした。
みねた)「この人気なら未知の魅力に賭けても期待値は見合うよね」という判断です。このレースは前回も触れた通り、前走大敗馬がたくさん出走していました。要するに、ダートで結果を出せていない面々が揃っているということですから、「初ダートを狙ってみよう」という判断は間違いではありません。ただ、多くの人がそう考えて、芝でも実績のある3グランドカリナンに目をつけて4倍のオッズになってしまったら、予想のアプローチとしては悪くないものの、馬券としては不正解です。既成勢力のだらしなさを根拠に未知の馬を狙うなら、15倍ついている1クリオミニーズの方が期待値を取れそうですよね。
―とにかく「初ダート馬は人気のない時に買え!」ということですね。
みねた)その考え方は、他のあらゆる「初モノ」に応用できますよ。「初芝」「初コース」「初距離」…どれであっても、「実は適性があるのに知られていない」ことで生じるオッズ差に期待値があるわけです。
―このレースは、4倍と15倍のオッズ差が大きかったわけですね。
みねた)そうですね。ただ、「地方出戻り馬を侮るな」というのは覚えておいて損はないと思います。1クリオミニーズは園田で4戦していて、その4戦からダート適性などを評価するのは難しいのですが、「地方を経由してでも中央再転入を目指した」という事実に価値があります。馬の維持費は安くないので、素質のない未勝利馬をいつまでも所有するのは馬主さんにとってリスク。地方出戻りを目指したところで、再転入時にはクラスも上がります。それでも引退させずに現役を続行するということは、それだけ力を評価している証拠であり、最終的には稼げるだろう、元が取れるだろうと考えているわけですよね。
―馬主経済的な視点ですね。
みねた)そうですね。「地方出戻り馬」として馬柱に地方の成績が並んでいると舐められがちですが、それがかえってオッズを甘くしてくれる要因にもなります。馬券的には魅力的な存在ですよ。
―「初ダート」の話に戻りますが、こういう「初モノ」を狙う時に、陣営のコメントは参照されますか?ちなみに3グランドカリナンは「攻めでも動くのでダートが駄目だとは思わない」、1クリオミニーズは「走法的にダートはこなせると思う」というものでした。
みねた)全く参考にしていませんね。結局、陣営コメントは話す人の性格にもよるし、それを記者がどう受け取るかという問題もあります。根拠もなくビッグマウスを叩く人もいれば、自信があっても控えめな人もいるじゃないですか。
―確かに、みねたさんもむちゃくちゃ自信ありげな時でも、かなり言葉を選んでお話しされていますよね(笑)。
みねた)ははは。そうかもしれませんね。今回の2頭についても、どちらも「ダートは走れそう」とコメントしているので、結局、判断がつきません。陣営コメントを予想に取り入れたいのであれば、まずは、各陣営のコメントの精度などを検証する必要があるでしょうね。