プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“どんなレースでも買い目は絞っていい”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月7日 福島11R 七夕賞 芝2000m
今年の七夕賞は7月7日。例年以上に枠連7-7が売れそうです。
その七夕賞は福島芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは500m以上あり、枠順による内外の有利不利はありません。
登録馬16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは5頭。先行馬占有率32%で、やや前目が有利かなという印象で、好位差しできるタイプに安心感があります。
1番人気想定はキングズパレス。常に道中で押し上げていく競馬で、周りが格下に思える走りをしています。まさに高い能力がなせる業なのですが、今回は人気なので馬券的妙味は薄そう。ただ、こういう捲りタイプの馬は普段からロスの多い競馬をしているので、捲り切れず大敗から人気落ちした時に狙えます。普段ロスの多い競馬をしている分ロスなく立ち回った時に非常に強い競馬を見せる事が有ります。一つの穴パターンとして覚えておいて損はないでしょう。
2番人気想定はレッドラディエンス。10走連続で馬券内という無類の安定感を誇っています。ただ、前走もリステッド競走を先行して0,3秒差・3着という内容で、特に強さは感じません。現状では格下感は否めず、2番人気という評価は売れ過ぎのように思えます。
3番人気想定はリフレーミング。2走前には福島芝2000mで13番手からの差し切り、前走も14番手から0.5秒差の5着まで追い上げており、高い能力を感じます。ただ、今回のメンバー構成を考えると脚質的には後ろ過ぎの感もあるので、展開のハマり待ちといったところ。ハマり待ちにオッズ7倍が妥当かという判断になります。
同じハマり待ちならバビットが面白そう。3走前に京都記念3着があり、衰えは感じられません。要は気分良く行けるかどうか。想定オッズは26倍ですが、同じメンバーで26回やれば、展開や並び一つで1回は勝てるはず。期待値はあるでしょう。
アラタは前走の金鯱賞で5着。重賞に使われ続けているところに、陣営の高い期待を感じます。ここ4戦は馬券圏外ですが、巻き返しの余地は十分に残されています。
前走G2組ということならダンディズムも見逃せません。前走の目黒記念は0.3秒差・6着。それも8-10-10-10から盛り返したものでした。敢えて一つ一つ詳しくは説明しませんが、このコラムで紹介してきた「期待値の取りやすいパターン」が詰まっており、現時点では有力な◎候補です。
上位人気馬が絶対視できず、波乱ムードの一戦。しっかり吟味して正解に辿り着きたいと思います。少しでも期待値を積むなら、自身の◎が7枠以外に入った場合、枠連の活用も検討したいですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言137
どんなレースでも買い目は絞っていい
★ピックアップレース★
6月9日 函館7R 3歳以上1勝クラス ダ1000m
◎9ミッキースピナッチ
○6レアグリフォン
▲2ヨドノゴールド
[参考買い目]
単勝 9 2000円
ワイド 9-2.6 各1500円
馬連 9-2.6 各1200円
3連複 9.2.6 2500円
―今週取り上げたいのは6月9日の函館7R。ダート1000mの1勝クラスです。○→◎→無という決着で、馬連1200円×8.3=9960円とワイド1500円×2.7=4050円ですから回収率自体は140%程度で特筆すべきものではありません。ただ、3連複1点、馬連ワイドも2点ずつといういわゆる“鬼絞り”だったので、そのあたりの考え方を伺いたいなと。
みねた)回収額については、しっかり回収しつつ、大きい当たりで一気に伸ばすスタンスなので問題ないのですが、◎9ミッキースピナッチの単勝はまず当たると思っていただけに、2着止まりだったのは誤算でしたね。
本題の“鬼絞り”云々については、特に極意があるわけではありません。このレースの場合は、「◎9ミッキースピナッチはまず堅い」「相手も買い目に入れた2頭以外で買いたい馬が見当たらない」という状態だったので、“結果的に絞れた”ということです。ただ、そもそも論として、本来はどんなレースも絞っていいんですよ。
―どんなレースも絞っていい?
みねた)極端な話、最も期待値がある目に絞っての一点買いでもいいんです。ある程度、手を広げるのは、予想に乗ってくださる方がいる以上、一定の的中率も求められると考えているからで、個人で馬券を楽しむ分には絞ってもいい。ただ、この函館7Rは、「先行占有率が高く、紛れが起きにくい」レースだったことが絞ることに背中を押してくれました。
―では「◎9ミッキースピナッチはまず堅い」「相手も買い目に入れた2頭以外で買いたい馬が見当たらない」について、順を追って教えてください。
みねた)このレースは10頭中7頭が前走3番手以内を経験しており、先行馬占有率が70%もありました。下級条件でこれだけ先行馬が揃った以上、しっかり差せる馬が有利なのは明白ですよね。シンプルに上位人気5頭のうち唯一差していたのがミッキースピナッチでした。しかも内容を精査すると、前走6-6-5という通過順位でロングスパートして0.4秒差は強いですし、先行馬が揃っているので距離短縮ローテも有利。これだけでも買えますが、この馬にはさらに買い材料がありました。それが並びとコース替わりです。
―並びというのは8と10が先行馬なので「逃げハサミ」ですよね。コース替わりというのは、福島ダート1150m→函館ダート1000mが良かったということですか?
みねた)単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』の巻末に、「先行馬占有率30%未満時の枠順別データ」を掲載しましたが、私はこのような「位置取り」と「枠順」のデータを全コース分持っています。◎9ミッキースピナッチの前走は
「福島ダート1150m」「先行馬割合30%未満」「8枠先行馬(前走1~3番手)」
という複勝回収率47.6%しかない条件でした。一方、今走は
「函館ダート1000m」「先行馬割合50%以上」「8枠準先行馬(前走4、5番手)」
という複勝回収率135.6%もある条件。条件が大幅に好転している馬が「逃げハサミ」の恩恵も受けたら、それは期待値があるのは明白ですよね。
―そんなデータも精査していたのですね。続いては「相手も買い目に入れた2頭以外で買いたい馬が見当たらない」についてお願いします。
みねた)上位人気の6レアグリフォンと10オオゾラヒバリがともに、「先行勝ちからの昇級」という期待値の取りにくいローテでした。ただ、そうはいっても上位人気の先行馬が全部沈むことは少ないというのは、この連載で何度もお話していますよね。そこでこの2頭を比較した場合、6レアグリフォンの方が「内枠」「前走から斤量4キロ減(オオゾラヒバリは2キロ減)」という有利な条件が重なっていました。6レアグリフォン>10オオゾラヒバリと判断した以上、自分の競馬に持ち込めないであろう10オオゾラヒバリを高く評価する理由はありません。
相手は、6レアグリフォンと前走3-4と脚をためて伸びた▲2ヨドノゴールドの2頭だと判断しました。結果的には、オオゾラヒバリが3着と思ったよりも頑張ったため一点買いの3連複は不的中に終わりましたが、○6レアグリフォンと◎9ミッキースピナッチの馬連8.3倍はかなり甘かったと思います。
―10頭立てで単勝1、2番人気を組み合わせた馬連と聞くと地味ですが…。
みねた)馬連では3番人気で、9ミッキースピナッチを軸にしていたら十分に期待値が取れそうなオッズでしたよ。