プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“変えるべきこと、変えてはいけないこと”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月14日 函館11R 函館記念 芝2000m
函館記念は函館芝2000mで施行。初角となる1コーナーまでは約475mあり、枠順による内外の有利不利はありません。
登録馬は20頭で現時点ではショウナンバシット、グリューネグリーン、キャプテンシー、カネフラが除外対象。前走の通過順位に3番手以内があるのは8頭(除外対象のキャプテンシー含む)。16頭中7頭だと先行馬占有率は44%で、芝の中距離重賞にしては先行馬が揃った印象です。
先行馬占有率が高い=消耗度の大きなレースになりやすいということなので、距離短縮ローテは有利。サヴォーナは天皇賞(春)からというローテーションがよく、直近5走ともG2以上と格上感もあります。3走前が4-3-4-4から2着、2走前が5-5-8-7から6着としっかり道中で脚をためられるのも今回のメンバー構成からは向きます。2番人気6倍なら、十分に期待値がありそう。
トップナイフは菊花賞からの距離短縮ローテ。3歳時に札幌記念で2着しており、能力上位ですし、洋芝に対する適性も担保されています。5番人気12倍なら面白そう。
期待値が取れそうなパターンに該当しているのはマイネルクリソーラ。直近2走が5着→7着と一息で馬柱の見栄えは悪くなっていますが、3走前に中山金杯で3着と重賞で好走しています。前走も7着と着順こそ奮いませんが、9-10と道中で脚をためて0.8秒差・7着なら上々の内容といえるでしょう。好走された後に「しっかり精査してみたら人気薄だったのが不思議」と思われるようなパターンです。
ハヤヤッコもいかにも期待値を積んでいそうなパターン。一昨年の函館記念を7番人気で勝利し、昨年12月の中日新聞杯でも13番人気2着しているように、白毛ながら持ち人気がないタイプです。今回も、前走二桁着順(12着)、斤量58.5キロと買いにくいベクトルでのインパクトが重なっているので、人気にはならないでしょう。前走は12着とはいえG1で0.8秒差ですから、悲観する内容ではなく、12番人気22.8倍なら妙味あり。
1番人気想定はホウオウビスケッツ。巴賞を逃げ切って参戦する上がり馬です。正直、人気では狙いづらい印象ですが、5.5倍ならギリギリ期待値があるかもしれません。オッズ次第でしょう。
単体で期待値を持っていそうな馬が多く迷ってしまうという、ある意味、贅沢な悩みを抱えそうな一戦。それだけに、オッズ、展開、組み合わせの妙味をしっかり見極める必要がありますが、波乱ムードで楽しみですね。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言138
変えるべきこと、変えてはいけないこと
★ピックアップレース★
7月7日 函館10R 横津岳特別 芝2600m
◎9シリアルノヴェル
○2オールナット
▲3カナオールウェイズ
△5ノーブルクライ
☆1アドマイヤサジー
注7ヴェルミセル
[参考買い目]
単勝 9 2000円
複勝 9 3000円
馬連 9-2.3.5 各800円
3連複 9-2.3.5-2.3.5.1.7 各300円
―今週取り上げたいのは7月7日函館10Rの横津岳特別。◎→☆→△という決着で、単勝2000円×6.6倍=13200円、複勝3000円×5.3倍=15900円、3連複300円×77.1倍=23130円で、合計52230円の払い戻しになりました。この週は「厳選勝負レース」の◎が8レース中6レースで馬券に絡んだにもかかわらず、ヒモが取り切れずにヤキモキする展開だったので、溜飲を下げる的中となりました。
みねた)◎は馬券に絡んでくれていて、取り切れる取り切れないは“運”の要素が大きいので仕方ありません。ただ、この週から開発しているAIのアップデートと共に自身の過去の予想を検証して微調整を加えたところだったので、こうしてヒットが出てくれたのは良かったです。
―微調整と言いますと?
みねた)「厳選勝負レース」の選び方の部分ですね。単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』を出したことで、正直、その内容との整合性を気にしていた部分がありました。例えば、単行本に「同脚質並びはマイナス」と書きましたよね。
―はい。同じ脚質の馬が並ぶとポジション争いで競り合うので不利になりやすいんですよね。先行馬同士だとペースも上がりやすい。
みねた)そうです。好走率において「同脚質並びはマイナス」なのは確かなのですが、例え同脚質並びになっていたとしても、その馬に期待値があると判断したのであれば狙うべき。ところが、これまでは「単行本でマイナスだと書いたパターンを勝負レースに選ぶのもなぁ」という意識が働いて、勝負レースから避けていた部分があったのは否めません。でも、単行本で伝えたかったのは第1章の「全ては期待値に通じている」に尽きるので、その原点に帰ったということです。
―このレースの◎9シリアルノヴェルが、まさに“3頭並んだ先行馬の真ん中”という最悪の並びでしたね。
みねた)ですよね。ただ、細かい条件の説明は省きますが、検証の結果、今回の◎9シリアルノヴェルのようなパターンは並び関係なく期待値があることがわかっていたので、「厳選勝負レース」に選びました。検証前だったら、勝負レースの候補には挙げていたと思いますが、最終的には並びを気にして勝負レースに選んでいない可能性が高いと思います。
―なるほど。9シリアルノヴェルを高く評価できた理由について、少し教えていただけませんか?
みねた)ひとつは前走の位置取りですね。前走4-3-5-4から2着と道中で動きのあるロスの大きい競馬をしていました。先行馬占有率が大きなレースで、道中で脚をためて伸びることができるのはプラスに働きますよね。
こういった、道中で二度加速するような競馬だった馬は期待値が取れることも今回の検証でわかっていました。もちろんそれだけでなく、メンバー構成やオッズなども含めた上で、今回のシリアルノヴェルのようなパターンは過去に121回のサンプルで単勝回収率119%、複勝回収率108.9%出ていました。121回くらいだと、単勝では上振れの可能性も高いのですが、複勝がついてきているのでそこまで下げる事はないという判断です。
―ここまで結果がちゃんと出ているのに、柔軟に軌道修正できるのが凄いなと。
みねた)資金管理などは、不変のものとして徹底して守っていく必要がありますが、予想に関しては固定観念にとらわれることなく、柔軟に変えていく必要があります。期待値を追うためには甘いオッズを買い続けるしかないわけで、そのためにはファンのマインドの変化を敏感に読み取っていかなければなりません。そういう意味では、このレースで1番人気を裏切った2オールナットと6番人気で3着だった5ノーブルクライにも、トレンドの変化が現れているのかもしれません。
―どういうことですか?
みねた)「前走1着馬は昇級なのに人気になりやすいため期待値を取りにくい」という考え方は、今やかなり浸透している印象があります。ただ、それが浸透すればするほど、人気になりにくくなって、むしろ期待値が取れるようになるケースもあります。
このレースでは前走1着から昇級の2オールナットが単勝1.5倍と断然人気になる一方で、同じく前走1着から昇級だった5ノーブルクライは単勝29.1倍の6番人気にとどまりました。この2頭の違いは、2オールナットは3-2-1からの押し切り、5ノーブルクライは8-8からの差し切りだった点です。「先行圧勝」の昇級馬は売れ過ぎる反面、「差して昇級」のパターンは、必要以上に嫌われ過ぎて期待値があるのかもしれません。
私も基本的に「前走1着は期待値が取りにくい」というスタンスですが、「差して昇級はオッズが甘くなる」と判断できれば、躊躇なく改める準備はできていますよ。