プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“中央の投票行動、地方の投票行動”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月21日 小倉11R 中京記念 芝1800m
今年の中京記念は小倉芝1800mで施行(混乱しますね、笑)。初角となる1コーナーまでは300mを切っており、先行争いにおいては内枠が有利なコースです。
登録馬16頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。開催後半、先週からの雨を考慮すると外差し馬場の可能性もありますが、現状では先行して直線では馬場の真ん中に進路を取る形が良さそう。内枠の先行馬が恵まれるかもしれません。
1番人気想定はエルトンバローズ。毎日王冠を勝ちマイルCSでも0.2秒差・4着。前走の安田記念でも0.6秒差の競馬をしており、このメンバーでは格上の印象です。前走の二桁着順で断然人気にならないのもいいですね。想定オッズ通りの3.1倍では100%は超えないように思えますが、4.5倍~5倍ぐらいのオッズなら1番人気でも期待値は取れるかもしれません。
2番人気想定がエピファニー。小倉コースは巧拙が出やすいので、同舞台の小倉大賞典を勝っているというだけで注目に値します。ただ、エルトンバローズとともに差し脚質なので人気で両立があるかというと微妙。馬券的にはどちらか選択する必要がありそうです。
3番人気想定はセオ。3勝クラス→リステッドを連勝しています。ともに先行抜け出しで、G3でも前受けから押し切れるかは未知数。やや過剰人気かもしれません。
ニホンピロキーフはマイラーズCで0.4秒差の実績。前走の鳴尾記念を先行バテからの短縮ローテはいいですね。鳴尾記念の大敗がオッズを甘くしてくれそうです。若武者・田口貫太騎手の手腕にも期待(余談ですが、田口騎手のファンのことを「保護者会」と呼ぶとか。確かに、田口騎手はみんなの息子的なビジュアルなので納得です)。
単体の期待値だけならセルバーグ。3走前に小倉大賞典で3着した後でも11番人気、12番人気にとどまっている人気になりにくいタイプです。内枠をひけるようなら穴で一考も。
小倉大賞典に着目するなら2着のロングランも忘れてはなりません。10-11-10-9から2着した内容は強く、8番人気14.3倍なら期待値が取れそう。
明確に期待値がありそうな馬が何頭かいて、馬券的に楽しみな一戦。現段階では保護者会に入るか(ニホンピロキーフ)、小倉大賞典2着のロングランの巻き返し狙いに気がありますが、枠順や並びを見極めて、しっかり最適解を導き出したいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言139
中央の投票行動、地方の投票行動
★ピックアップレース★
7月13日 函館11R 函館2歳S 芝1200m
◎7サトノカルナバル
○5ニシノラヴァンダ
▲1エンドレスサマー
△3リリーフィールド
☆13エメラヴィ
注10カルプスペルシュ
注9ヴーレヴー
[参考買い目]
単勝 7
ワイド 7-5.1.3
馬連 7-5.1.3
3連複 7-5.1.3-5.1.3.13.10.9
―先週行われた世代最初の重賞函館2歳Sは◎7サトノカルナバルで、◎→○→▲の完璧決着。ワイド8.9倍&5.1倍、馬連22.8倍、3連複37.8倍的中となりました。まさに「重賞のみねた」「2歳戦のみねた」らしい的中でしたね。
みねた)新馬戦勝ち、未勝利勝ち、格上挑戦に東京や福島からの転戦組など、ステップレースが多岐にわたる上に、出走馬14頭中13頭が前走の通過順位に3番手以内がある馬。おっしゃる通り、「重賞」「2歳戦」を象徴するメンバー構成でしたね。
―「重賞で期待値が取りやすい理由」については金言135、136で伺いました。「重賞はステップレースが多岐にわたるので“実績の割にオッズが甘い”という現象が起こりやすい」とのことでしたが、今回は2歳最初の重賞なので「実績馬」は存在していません。
みねた)重賞で期待値が取りやすい理由は色々ありますが、最大の理由は、「参加者が多い」ということですね。そのため、「このオッズなら買おう」からのオッズ急落というシーンが少ないです。平場は「想定よりも売れちゃった」というシーンが多いですから。
―売上が上がればオッズの急変が起きにくいというのは理解できます。これはみねたさんに限らず、馬券参加者誰にとってもメリットではありますが。
みねた)重賞しか参加しないという方も一定数いますよね。また、予想家も重賞だけは必須で出す人も多いので、オッズの偏りというか歪みが生まれやすいという側面もあると思います。言うなれば、重賞は、期待値予想がハマりやすい。これは“中央競馬の宿命”も関係あって…。
―中央競馬の宿命、ですか。
みねた)ちょっと大袈裟に言い過ぎましたね(笑)。中央競馬の宿命とは、「土日しか開催していない」ということです。つまり、日曜が終わったら挽回のチャンスが6日後までないので、土日のうちに「当てたい」という心理が強まるわけです。
―確かに、地方競馬であれば毎日どこかで開催していますし、「今日がダメでも明日は…」と切り替えやすいような気はします。
みねた)私は平日もずっと地方競馬に取り組んでいますが、地方は単勝オッズ5~6倍程度でも期待値を取れる馬がチラホラいるんですよね。それに対して、中央競馬は5~6倍のオッズ帯で期待値が取れることが少なく、それよりも人気薄のゾーンの期待値が取りやすいことが多い。この違いは、今お話しした人間心理が関係しているのだと推測しています。
―当てにいってしまう。
みねた)例えば、AIで割り出した「危険な上位人気馬」がいるレースだけに絞って馬券を買えば回収率はかなり上げられるはずなのですが、該当馬のいるレースが1日4レースだとすると中央競馬では土日で8レースしか買えないことになります。期待値的にいえば、この8レースの間に1回8倍以上を当てられればプラスなのですが、「8レースに絞って外れたら楽しめない」「これが終わったら、5日間は馬券を買えない」という心理が生まれて、人気サイドに寄せてしまったり、他のレースに手を出してしまったりする。まぁ、人間なので仕方のないことではあるのですが。
―重賞だけ参加するような人は、より一層「当てたい」という心理は強くなるでしょうね。その結果、好走率はそれほど高くなくても期待値は高いタイプの馬が、そのまま放置されやすくなるということか。
みねた)毎日開催している地方競馬と土日しか開催のない中央競馬ではファンの投票行動も異なると思うので、そこで生じるオッズの歪みは意識しておく必要があるでしょうね。
―重賞の期待値を入り口に、中央と地方の違いまで言及していただき興味深かったです。さて、話を函館2歳Sに戻して、「2歳戦のみねた」についてもお聞かせください。
みねた)これは一言「2歳戦では差し経験の有無が重要」ということに尽きます。このレースは14頭中13頭までもが前走の通過順位に3番手以内がありました。そして唯一の例外だったのが◎7サトノカルナバルです。
―ある意味、究極の「逃げハサミ」ですね(笑)。
みねた)そうですね(笑)。「2歳戦では差し経験の有無が重要」については、このコラムでも何回か触れていますし、同様の主張を目にする機会も増えてきましたが、それでもまだ期待値が取れます。正直、このレースにおける7サトノカルナバルは単勝2倍台もやむなし、場合によっては1倍台もあり得るかと思っていたのですが、この馬が3.4倍にとどまったという事実が、それを裏付けているのではないでしょうか。
(次回に続く)