プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“数字であたりをつけてレース映像で裏付けを取る”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
7月28日 札幌11R クイーンS 芝1800m
クイーンSは札幌芝1800mで施行。初角となる1コーナーまで200m未満で、いわゆる「コースパターンA」のコース。先行争いにおいて内枠が有利です(コースパターンの詳細は単行本『競馬場と前走位置取りだけで恒常的に勝つ方法』をご覧ください)。
登録14頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは7頭。先行馬占有率50%ですから、ペースは厳しくなってタイムトライアルとなる可能性が高そう。メンバー構成的にも内枠有利と考えていいでしょう。
1番人気想定はドゥアイズ。前走のヴィクトリアマイルでは0.3秒差の4着と、クラシック戦線で中核を担ってきたのが伊達ではないところをみせました。位置取り的には中団ぐらいになるでしょうか。捲りがハマるメンバー構成でもありませんが、4.0倍のオッズなら期待値は取れるかもしれません。
2番人気想定はボンドガール。“伝説の新馬戦”の勝ち馬ですね。ただ冷静に戦績を振り返るとまだ1勝馬の身。大きな不利があったとはいえ前走のNHKマイルCは17着。6.1倍という想定オッズは評価され過ぎの印象が否めません。ただ、今回はG1→G3で斤量51キロとパフォーマンスを上げる要素があるのも事実で、買えるかどうかはオッズ次第。「2番人気6倍では買えないけれど、5番人気9倍なら検討の余地あり」といったイメージです。
3番人気想定のウンブライルは重賞勝ちこそありませんが、G1、G2での2着が3回あり実績は十分。過剰人気感はありません。
4番人気想定のスタニングローズは3戦続けてG1を使われ0.8秒差、0.5秒差、0.8秒差と着順ほど負けていません。先行馬占有率が高く、中距離実績が生きてきそうなメンバー構成でもあります。先行力があるので内枠が欲しいところ。
5番人気想定のモリアーナも実績上位で過剰人気感はなし。ただ、脚質的に展開に恵まれる感じはありません。
穴で面白そうなのはコンクシェルでしょうか。早々とトップジョッキーの横山武騎手を確保しているのは心強く、ここも自分の競馬に徹するのみ。前走のG1で7番人気だった馬が、G3のここで8番人気想定なら期待値は高そうです。
昨年も1枠1番、2枠2番が馬券絡みしているように、まずは「内枠先行」を予想の起点にしたい一戦。枠と並びを吟味して結論を出したいと思います。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言140
数字であたりをつけてレース映像で裏付けを取る
★ピックアップレース★
7月13日 函館11R 函館2歳S 芝1200m
◎7サトノカルナバル
○5ニシノラヴァンダ
▲1エンドレスサマー
△3リリーフィールド
☆13エメラヴィ
注10カルプスペルシュ
注9ヴーレヴー
[参考買い目]
単勝 7
ワイド 7-5.1.3
馬連 7-5.1.3
3連複 7-5.1.3-5.1.3.13.10.9
―前回に引き続き、函館2歳Sについてお話を伺います。◎7サトノカルナバルで、◎→○→▲の完璧決着で、ワイド8.9倍&5.1倍、馬連22.8倍、3連複37.8倍的中となりました。
みねた)このレースは出走14頭中13頭が前走の通過順位に3番手以内がありました。唯一、4番手以下から競馬していたのが◎7サトノカルナバルです。このコラムでもお伝えしてきた「2歳戦では差し経験の有無が重要」を知っていれば、必然の◎でしたね。
―それにしても14頭中13頭が先行馬というのは強烈ですね。
みねた)先行馬占有率が高いレースでは、
1内枠の馬
2差し馬
3距離短縮馬
といったところが狙い目になります。7サトノカルナバルは2と3に当てはまっています。差し馬が自身だけということは、当然ながら自身の内側は全て先行馬で、「逃げハサミ」にも当てはまるので並びも有利。新馬戦の内容も後続に1.1秒差をつける圧巻の内容でしたし、正直、3.4倍というオッズの甘さは不可解ですね。みねた理論なら、この馬がかなり有利であるのは明白でしたから。
―このレースでは対抗に8番人気2着の5ニシノラヴァンダを抜擢したのもお見事でした。そして単穴が3着の1エンドレスサマー。
みねた)これだけ先行馬が揃えばタイムトライアルになるので内枠が有利。7サトノカルナバルより内枠で前にいけそうな馬を重視したら、すんなり○▲△が浮かび上がりました。
―実際にレースは、○5ニシノラヴァンダがハナを切って▲1エンドレスサマーが2番手の内、そして4番手につけた◎7サトノカルナバルが差し切りました。
みねた)14頭中13頭が先行馬。そして今回のレースでも先行できるのは3頭だけ。そう考えると、必然的に残りの10頭は未経験の競馬を強いられることになります。有利な内枠の馬が前に行き、実際に好走したのは当然といえば当然です。
―ただ、内枠の馬同士での優劣というのも難しかったと思います。みねたさんは、実際のレース映像なども確認した上で、どの馬がハナに行きそうかなどを考えているのですか?
みねた)ライブで観た時の記憶が頭に入っています。押して押してハナを切ったのと、二の脚の速さでハナを奪ったのでは全く違いますし、レース映像を確認するのは大事だと思いますよ。5ニシノラヴァンダの二の脚が速いのは確認できていたので、少々ゲートのタイミングが合わなくても、前目につけられるだろうと想定していました。ただ、この馬の優秀性は出馬表の数字からも読み取れます。
―具体的に教えてください。
みねた)5ニシノラヴァンダの上がり3Fが35.2で全体時計が1.09.3。1エンドレスサマーは上がり3F34.6で全体時計が1.09.4。この比較からも、5ニシノラヴァンダは前半から厳しいペースで飛ばしていったことが窺えます。こうして数字であたりをつけてから、実際のレース映像で二の脚の速さを確認できれば、より自信をもって評価することができるでしょう。
―内に入った先行馬3頭(○5ニシノラヴァンダ、▲1エンドレスサマー、△3リリーフィールド)の序列についても教えてください。
みねた)まず、○5ニシノラヴァンダと▲1エンドレスサマーの比較は単純に「オッズがつく方」です。○5ニシノラヴァンダの二の脚も評価していましたが、ラチ沿いをロスなく走れることが確定的な▲1エンドレスサマーも同等に評価できました。どちらが上かわからないならオッズがつく方を上位に、ということですね。
△3リリーフィールドについても、最終的な判断材料はオッズに尽きます。この馬は前走ダートという“イレギュラー”な要素があったので、そのリスクを何倍だったら許容できるか?という話になります。前年もダートステップのゼルトザームが勝っていますが、同馬は単勝オッズ29.8倍でした。△3リリーフィールドも30倍前後のオッズがあれば、芝替わりのリスクを飲み込んで対抗評価する手もあったでしょう。
―買い目という点では、馬連を印全馬に流さず、ワイドと同じ相手3頭にとどめたところが気になりました。
みねた)「差し馬2頭分のスペースは空きにくい」というお話は何度かしていますよね。既に1頭分の枠を7サトノカルナバルが埋めているので、自身より外の☆13エメラヴィや注10カルプスペルシュまで連対圏に入ってくる可能性は低いと考えました。今回のような先行馬が多くタイムトライアルになるレースでは、差し馬は内を捌いてくる1頭までで、先行馬が2頭以上絡むことがほとんどです。差し馬2頭が馬券に絡むとすれば、スローペースでの瞬発力勝負や極端な外差し馬場になった時ぐらいじゃないでしょうか。