プロ馬券師・みねた氏が実践例を交えながら予想理論の金言を伝える『馬券師・みねたの金言』。今回の金言は“今までやっていなかった競馬での好走=覚醒の兆し”です。
なお、『競馬放送局』ではみねた氏の厳選勝負レース、重賞予想を公開しております。今週末の予想にもぜひご期待ください。
▼今週の重賞ピックアップ
8月4日 札幌11R エルムS ダート1700m
エルムSは札幌ダート1700mで施行。初角となる1コーナーまで約240mと短く、先行争いにおいて内枠が有利です。
フルゲート14頭に対して登録18頭。現時点ではヴァンドゥラン、サーマルソアリング、サンテックス、ドゥラレジリエントが除外対象となっています。
登録18頭中、前走の通過順位に3番手以内があるのは9頭。ペースは流れそうですね。いわゆるタイムトライアルになって、“内前パターン”になるかもしれません。
1番人気想定はドゥラエレーデ。ドバイワールドカップ5着、チャンピオンズカップと東京大賞典で3着という実績はメンバー随一のもので、能力上位は明白です。時計が速くなるほど強い馬に有利に働くので、そういう意味でも最有力候補の一頭といえるでしょう。内枠なら好勝負の可能性は高そうです。
2番人気想定はミトノオー。こちらはマーチS2着、平安S1着と充実一途。逃げ馬なので外からハナを奪いにいくと消耗しそうで、やはり内枠がベターでしょう。厳しい流れになりそうなので距離短縮ローテはプラスです。
3番人気想定はナチュラルハイ。大沼S2着、マリーンS1着という上がり馬です。想定オッズ通りの8.3倍だとミトノオー(4.4倍)の半分ほどの勝率が必要になりますが、実績を考えるとそれは少々疑問。マリーンSの勝ち方も特筆するほどではありません。ただ、8-7-8-6から2着した大沼Sの内容には価値があり、過剰人気とまでは言えないか。
ペースが流れると考えたら、道中で脚をためられるタイプに目がいきます。サヴァは4-3-5-6から大沼Sを1着。前出のナチュラルハイに先着しました。3番手にいく先行力に加え、道中で脚2回脚を使える操作性も光ります。9-9-12-11から5着したアンタレスSの内容からも、いかにも重賞の流れが合っていそうなタイプ。11番人気・29.7倍なら期待値はあるでしょう。
期待値だけならヴィクティファルスにも注目。3走前の東海S(3着)だけ走れば、十分にチャンスはあります。ここ2走は14着、15着と大敗続きで、想定オッズは71.2倍(14番人気)です。
3~5走前にかけて重賞で3連続6着と期待値の取れそうな負け方をしていたのがベルダーイメル。ここ2戦はOPで着順を落としていますが、この馬も重賞のペースの方が良さそうなタイプです。15番人気・85.7倍なら。
実績なら1、2番人気想定の2頭にヒケを取らないのがプロミストウォリアです。今回は1年1ヶ月ぶりが課題ですが、重賞2勝、帝王賞5着と実力は折り紙付き。想定通り、5番人気・13.7倍なら、「いきなりから」に賭けてみても良いでしょう。
なお、枠順確定後の最終結論および買い目は『競馬放送局』をご覧ください。
▼みねたの金言141
今までやっていなかった競馬での好走=覚醒の兆し
★ピックアップレース★
7月28日 新潟7R アイビスSD 直線1000m
◎15モズメイメイ
○17テイエムスパーダ
▲12ウイングレイテスト
△13チェイスザドリーム
☆10ファイアダンサー
注4ジャスパークローネ
注14デュアリスト
[参考買い目]
単勝 15
ワイド 15-17.12.13
馬連 15-17.12.13
馬単 15-17.12.13.10.4.14
3連複 15-17.12.13-17.12.13.10.4.14
―前回と前々回は◎→○→▲の完璧決着だった函館2歳Sについて伺ったわけですが、またまた重賞で完璧決着が飛び出しましたね。◎→▲→○で決まり、単勝7.6倍(買い目1点)、ワイド8.8倍&17.8倍(買い目3点)、馬連25.7倍(買い目3点)、馬単46.8倍(買い目6点)、3連複95.6倍(買い目12点)の的中となりました。函館スプリントSも▲→○→◎の決着でしたし、“重賞のみねた”の異名は伊達ではありませんね!
みねた)ありがとうございます。重賞が期待値を取りやすい理由については、その函館スプリントSについて触れた第135回、136回で解説しているので、そちらも参照してください。このアイビスサマーダッシュも、基本的な考え方は同じです。
―重賞だとステップレースが様々で比較が難しく、格上なのに甘いオッズの馬などが存在しやすいというお話でしたよね。では、このレースについても、◎から順を追って思考を解説してください。
みねた)直線1000m戦ですから、基本は“外枠”ですよね。外枠の中から期待値のある馬を探すというアプローチで、◎15モズメイメイ、○17テイエムスパーダに行き着きました。
―外枠というのは重々、分かっているんですけどね(苦笑)。ただ、二桁馬番の馬だけでも9頭いるので、なかなか正解に辿り着けません。
みねた)◎15モズメイメイについては、「今までやっていなかった競馬での好走=覚醒の兆し」という論理で狙いました。モズメイメイといえば葵Sでのロケットスタートが印象的ですが、ゲートの速さを生かした逃げを武器としていました。その馬が不振(6戦連続二桁着順)を経て、前走の北九州記念では9-5と道中で押し上げる捲りの競馬で3着に入線。これは価値があります。
―ただ、16番人気でしたし「マグレかな?」「フロックかな?」と疑ってしまいました。
みねた)前残りとか無欲の追い込みなど、展開に恵まれての好走ならともかく、自力で動いての好走にフロックはありませんよ。競馬の内容にかかわらず、人気薄での激走だとフロック視する方が多いので、この馬のような捲り競馬で新境地を拓いたような馬は、四の五の言わずに「買っちゃっていい」と思います。
―私のように考える人間が多いから、期待値が保たれやすいということですね。
みねた)そういうことです。予想文にも書きましたが、今回は本来のゲートを生かして外ラチ沿いを取り切る想定での◎でした。ですから、内斜めに切り込みながら差し切ってしまったのは想定外で、まさに“覚醒”の賜物なのですが、その兆候は前走内容に現れていたということです。
―○17テイエムスパーダについてはいかがでしょうか?
みねた)この馬もまた、抜群のダッシュ力が自慢のタイプで、この枠ならラチ沿いを取り切れると考えました。この馬がラチ沿いでハナを切り、その後ろにモズメイメイがつけて差し切るイメージだったのです。マウンテンムスメにラチ沿いこそ譲りましたが、ほぼイメージ通りの競馬で、そのスピードを遺憾無く発揮してくれましたね。
この馬は有利とされる8枠でしたが8番人気の16.0倍。やはり人間の心情として、“有利な外枠”という理由だけで前走18着馬に大金を張るのは難しいのでしょう。それがこの人気に現れている気がします。「(背中を押す)買い材料がある馬+外枠」というパターンが凄く売れるのが直線1000m戦の特徴の一つだと思います。
―▲12ウイングレイテストについても教えてください。
みねた)これは単純に実績上位で、どんな競馬でも上位には来るだろうと考えていました。単勝6.5倍というのはかなり甘いオッズで、こちらを◎でもいいぐらいです。ここまでオッズが甘くなった理由のひとつが斤量でしょうね。第136回でお話しした内容と完全に重複してしまいますが。
―「59キロ」という数字のインパクトが強過ぎて、無条件に嫌われやすいというお話でした。
みねた)実績上位のこの馬が、初距離の函館スプリントSでも2着。この臨戦過程なら、もっと人気を集めてしかるべきなのに6.5倍にとどまったのは、今回も59キロという斤量を気にしたファンが多かったからでしょう。ただ、そういうファンが多いからこそ期待値が乗る。買いたい馬の斤量が59キロだったら、あれこれ悩まず「買っちゃっていい」と思いますよ。
―上位3頭は人間の思惑というか、「買いにくい」と思ってしまいがちなパターンだったのですね。
(次回に続く)